Chapter・・・004 変動する人々
最近人が変わる。急に暴れるわけでもない、叫ぶわけでもない。ただ大事なものを削っていく。
主人公はその変化を「異常」・「事件」とも呼べず、日常が崩れていく感覚を受理しなければならない。
最初は疲れているのだろうと思った。けど同じ変化が連続すると、そうも言えなくなるのが現実だ。
怒らなくなり、笑わなくなり、交流も減る。
何かを失ったわけでもないのに、大事なものを手放す?
急に変わったものではない。少しずつ少しずつ変わったはずだ。
毎日欠かさず連れていた犬を散歩に行かなくなる、楽しみにしていた予定を「別にイイカ」と感じるようになる。
大切にしていた言葉を使わなくなる。
「理由」を聞くと、"別に"と返される。
"別に"という、レスポンスは、冷却されるような気分に導かれる。否定でも、肯定でもない。何も考えないための言葉なのだろうか?
誰も困っていないように見えた。執着がなくなり、期待も抜け、傷つくことも減るけど、変化した人々は、何かを失ったのではない。
何も守らなくなったのだ。
「変わらないね」と言われた。誉め言葉のような口調。
「大変じゃない?」そう、続けて言われて、言葉に困った。大変なのは、変わらない事ではない。
変わらずに、感じ続けてしまうこと。
変わった人々は、苦しまなくなった。それが正しいかどうかは、わからない。
変わる人が増加している。理由を説明する人はいないし、名称もつけられていない。
私は変わらないままでいる、選択がいつまで続くのかは、未定である。




