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佳蓮と菫は上機嫌



梅雨も明けてからっとした夏晴れの朝、今日は午前中だけで授業は終了、明日から夏休みが始まる。


登校してクラスに入るともうみんな夏休み気分になっている。今日は3時間だけの授業なのでみんな昼からどうしようかなどあちらこちらで賑やかに喋っている。


「おはよう、尾賀さん」

「おはよう、柳瀬君」


泰助がクラスに入り席に着くと、既に来ている尾賀さんに挨拶をする。いつもと変わらない光景。


「そう言えば尾賀さんって、夏休みとかどっか行くの?」

「私は行かないんだけど………」


「ん、どうしたの?」

尾賀さんは急に何かを思案し始める。


「………あ、あのね… 柳瀬君って夏休みの予定とかある?」

「全っ然何にもなーし」


「そっか……… あのね、… ちょっと相談があるんだけど…」

「なに?」


「ば、バイト… してみない?」

「アルバイト?」


「そうそう………」

尾賀さんは少し恥ずかしそうに小さな声で答えた。



「あのね、うちの両親が結婚20周年記念とか言っちゃって1週間ほどヨーロッパに行くの」

「へ~っ、それで?」


「その間人手が足りないのでアルバイトを探してるの」

「尾賀さんの家って何やってんの?」


「柳瀬君がいつもエッチな本買ってくれる本屋」


………もっと先に言おうよ、そういう大事なことは。


俺、いっつもエロ本買って尾賀さんの家の売り上げに貢献してたんだ…


「なかなか短期のアルバイトの人って見つかりにくくて…」

「いいよ、やる。是非やらせていただきます。」


「ほんとにいいの?」

「ああ、いいよ。どうせ暇だし」



泰助の返事を聞いて尾賀さんは本当に嬉しそうに微笑んだ。

彼女が嬉しそうにしているのは、探していたアルバイトの人が見つかったからというだけではないようだ…


「あのね、期間は2週間ぐらいで親が旅行に出かける1週間前から始めて欲しいの」

「了解しました」


「詳しい事とかは今度電話で伝えるね」

「おう、その時に教えてもらうよ」


話が決まると尾賀さんはニコニコして上機嫌… そんな尾賀さんを見て泰助が考えていたこと…

これっておっぱいクイーンの私生活を覗ける絶好のチャンス?… こんな好機を逃してなるものか。


もしかしてこれを機会に一気に仲良くなれちゃったりして…

んで、「柳瀬く~ん おっぱい揉んで~」っていうぐらいの関係になっちゃうかも… 


どーしよ? どーしよ? ヤバい…興奮する… い、いかん… 鼻血が…

泰助の顔は時間を追うごとに緩んでいき、しまいには完全な阿呆ヅラになっていた。


そしてその様子に一抹の不安を感じる尾賀さん…

お~い…柳瀬君、…バイトだよ、働くんだよ~ 変なこと考えてないよね~?



結局ボケーと呆けたまんまで授業もすべて終了し、いよいよ明日から夏休みに入る。


「それじゃ、今度電話でバイトの説明するね」

「おう、電話待ってるよ」


尾賀さんはそう言い残すとそそくさと帰っていった。

さて今日はどうしようかと思っていたところに秀雄がやって来て、


「泰助、これから昼めし食いに行かねーか」


そんな感じで秀雄に誘われた。別にこれから何をやる予定もないので取り敢えず行くことに。


「佳蓮と菫ちゃんも一緒だからな」

「別にいいけどお前らのデートの邪魔になんねーか」


「今日は部活もないし、たまには皆で飯でも食おうってだけだよ」

そういや秀雄も大会終わってひと段落だな。秀雄と外で飯を食うのも久しぶりだし…


「だったらさ、ゲーセンとか寄ってかないか?」

「いいな、久しぶりに勝負してみるか」


秀雄とそんな話で盛り上がっている所に帰り支度ができた菫がやってた。


「秀雄君、どこで食べるか決めた?」

「まだ決めてないけど… どっかお勧めある?」


「だったら佳蓮ちゃんと決めていい?」

「別にいいよ、… 泰助もいいだろ?」


「何でも好きにどーぞ」


そんな訳で店屋の選択は女性陣で決定すると言うことで…

それからすぐに佳蓮が加わり俺達は学校を出てみんなで昼飯を食いに行った。



俺と秀雄が前、佳蓮と菫が後ろを歩いているけど、菫と佳蓮は何故か最初からご機嫌で楽しそうに喋っている。不思議に思って俺は秀雄に聞いてみた。


「秀雄、なんであんなに佳蓮はご機嫌なんだ?」

「お前のせいって言うか… おかげだよ」


はて?… 俺なんかしたっけ?


俺がわからんと言った感じで首をかしげていると、秀雄が耳元で


「お前が佳蓮とキスしろって言ったんだろーが」

………そんぐらいであの猛獣がおとなしくなんの?


「それぐらいであんなに?」

「そうみたいだな。俺にも分かんねーけど…」


「でもよかったじゃん、おとなしい方が扱いやすいだろ?」

「…泰助、知ってるか? ああいうのって一度やるとだな…」


何故だか秀雄は少し顔を赤くしてぼそぼそと話し出す。

よく聞こえないので耳をそばだてて聞いてみると…

話を最後まで聞いた泰助は大笑いする。


「いひひひっ… ひ、秀雄… あんまり笑わせるんじゃねー」

「だったら笑うな… 泰助」



秀雄によると一度キスしてしまえばそれが普通になり際限なく要求されるらしい。

そんなに恥ずかしいなら律義に応えなきゃいいだろ… 秀雄。


ん、…まてよ… 一度キスしたら次は向こうから要求してくる…

だったら…オッパイだって同じだよな。


だったらスゲーよ! 一回目さえクリアすればこっちのもんか…


「ひ、秀雄… と言うことはだな、一度オッパイを揉むと次は向こうから揉んでと言ってくるのか?」


「泰助… お前一回死んだほうがいいぞ… マジで…」

「やっぱそう思う?…」


秀雄… それはたまに自分でも思ってる。


そんなバカ話をしていると店屋に到着。ここは結構評判の洋食屋さんらしい。


「佳蓮ちゃんどうする? 私はオムライスに決めた」

「だったら私も同じ」

「だったら僕も同じ~…」


佳蓮の真似してそう言ったら菫から殺意のこもった眼差しを受けた。

何でおれは駄目なんだよ…


仕方ないんで俺と秀雄はハンバーグ定食と言うことで決定。


「泰助、私にもハンバーグ少しちょうだいね」


同じのにすると別の味を楽しめないからと言うことらしい…

確かにおっぱいも1人分よりは2人分の方が楽しめる。



 いつもは秀雄と佳蓮は隣同士で座るのに、今日は菫と佳蓮の話が盛り上がっているので、泰助と秀雄が隣同士で食っている。菫と佳蓮は向かい側の席でずっと楽しそうに喋っているがその様子を見ていた秀雄が、


「菫ちゃんも凄く機嫌がいいな。泰助、お前なんかしたの?」


そんな感じで聞いて来た。理由はある… が、俺が望んでしたわけではない。


「最近菫の頭を手の皮がむけるぐらい撫でさせられたからだよ」


泰助の言葉に秀雄は一瞬目を点にさせる。泰助は普段から菫と付き合う気はないと言っていたのにお前は何やってんの? そんな感じで不思議に思っている。


「何で泰助が菫ちゃんの頭を撫でるわけ?」

「何か知らんけどそうすればすべて丸く収まるんだよ」


 期末試験特訓中、菫は気付いた。泰助に頭を撫でろと言えば泰助は断らない。それをいいことに菫はやりたい放題… 試験期間中は泰助は菫の完全なる下僕と化していた。今でも菫は時折泰助に撫で撫でをねだる。


秀雄はその話を聞いてほほ笑ましいと言うか、何かよく分からない感想を抱く。


そんなことまでやっててなぜ泰助は菫ちゃんを彼女にしようと思わない?

菫ちゃんも何でその雰囲気で泰助に迫らない?


秀雄から見れば不思議なのだが、こうやって楽しくしている菫を見るとまだ今はこれでいいのかと思う気にもなる。



 食事を終えた4人は泰助の希望でもあるゲーセンに行くこととなる。

ゲームセンターに着くと泰助は、あるゲーム機を発見したので秀雄に勝負を持ち掛けた。


「秀雄、あれで勝負だ。負けた方が全員にアイス奢るでどうだ?」

「よかろう。あの手の勝負で泰助が俺に勝てるはずねーだろ」


「秀雄、言っとくが誰が優勝するかを当てた方が勝ちだ」


そして二人は誰が一番になるのかを予想して勝負開始となった。

勝負するゲーム機は「アームレスリング」いわゆる腕相撲。


勝負するランクをきめて機械の腕と腕相撲をするゲーム。

ボクシングの階級みたいにライト級などから始まり最高はスーパーヘビー級。


先ずは秀雄、ミドル級,ヘビー級まで勝利できたが、流石にスーパーヘビー級まで来ると

機械の腕はびくともしなくなった。


そして泰助、ミドル級では勝利できたが、ヘビー級でリタイヤ。

佳蓮はミドル級でリタイヤ。


そして最後に菫、ミドル級を倒した後に泰助が勝手に勝負相手をスキップしてスーパーヘビー級に変更する。


「泰助、私がそんなの勝てる訳ないでしょ」

菫はそう言ったが泰助は完全無視。


そして試合開始。


菫が頑張ってもやはりびくともしない… すると泰助が菫に近寄り何やらもそもそ言う。


「え~~~、泰助ホントに~~~、いやぁ~ん」


次の瞬間、機械の腕は一気に倒される。しかも何故か「ベキベキ…バキッ」と言う変な音のおまけ付き。


その様子を見ていた秀雄と佳蓮は呆然としている。


結局優勝は菫。


秀雄… だから言っただろ? 菫の優勝で間違いないって…


「秀雄、お前の奢りだ」



泰助が用いた餌… 勝てば菫が納得するまで撫で撫でしてやる…

恐るべし… 菫の底力。


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