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やっぱり暗殺?



昼休みも終わり午後の授業が始まった。


俺は今、満身創痍の状態で授業を受けている。

ちなみにボロ雑巾のようにズタボロになって教室に戻ってきた俺を見たやつらは一様に言葉を失っていた。


特に菫は「た、泰助… どうしちゃったの?」と言って真っ青な顔色になり心配していたが、


「魔物(佳蓮)にやられた」


と俺が言うとしきりと首をかしげて不思議そうにしていた。



5限目が終了、俺が早く傷を治そうと薬草とコテージのどちらを使おうか悩んでいると隣の女神が話しかけてきた。


「柳瀬君、ホントに大丈夫?」

「尾賀さん… 俺の事心配してくれるんだね」


 おっぱいクイーンの優しい瞳に見つめられると俺の傷は10倍速で治っていった。

もし、傷ついた俺をそのSランクのおっぱいで癒してくれたら3秒で傷は完治すると思う。


暗殺拳を極めた菫に勝てないのは分かるが、たかが魔物(佳蓮)ごときに敗北するなんて…

あの縞パン女、いつか絶対成敗してやる!



 だけど確認だけでもできて良かった。調子こいて未完成状態で奥義「あたま撫で撫で」を尾賀さんに使わずにすんだ。秀雄並みに技を極めるまではまだ使えないな。


でも… やっぱいいわ。 癒される… 本当に癒される。

尾賀さんのおっぱい見てるだけで傷が完治できそうだ。



そう言えば…

俺は昨日初めて尾賀さんと話した時にふと疑問に感じたことを思い出した。

学校ではいつも眼鏡をかけ、長すぎる前髪で顔を隠すような風体をしている。


普通JKになれば色気づいて服装や髪形に気を使うのは当たり前で、茶髪にしたり化粧をすることもよくあることだ。でも尾賀さんを見て見るとそれらは一切ない。 一切ないと言うかワザとダサいように見せてるんじゃないか? そう感じる。


 本屋のレジに立っているときの彼女の服は、別に地味でもないしよく似合ってる。

髪型も綺麗にまとめて顔を隠すこともないし、それに表情も明るい。


それでいて学校では地味で顔も隠してあまり喋らず大人しい。

どっちが本当の尾賀さんなんだ?



 泰助は何となく感じていた違和感の正体について考えてみたが、やはりしっくりた答えは出なかった。ただ、彼女がいわゆる人見知りで根暗な性格ではないことは理解していた。

昨日、初めて話しかけてきた彼女の喋り方はごく自然だった。



 取り敢えず尾賀さんについては調査が必要だな。

おっぱいクイーンの従者としては姫の全容を知っておかなければ…




 6限目終了、ようやく家に帰れる。

魔物とのバトルで負った傷もだいぶ癒えたが、まだ本調子にまでは戻っていない。こんな日は当然、さっさと帰ってふわふわの布団にくるまり寝っ転がりながら、エロ本のおっぱい美女に慰めてもらうのがベストな選択肢だ。


そんな訳で授業が終わると、俺はさっさとと荷物をまとめて帰り支度を済ませてさあ帰ろうとしていたが、後ろから突然菫に声をかけられた。


「泰助、今日はまっすぐ帰るの?」

「まだバトルの傷が癒えてないんで帰ってさっさと寝るよ」


「それじゃ一緒に帰ろ。家に帰ったら傷も見てあげるから」

「そんじゃ、たのもっかな…」


そんな訳で今日は久しぶりに菫と一緒に帰宅することになった。

別に菫と一緒に帰るとかが嫌なわけではないが、俺が本屋に寄ったりゲーセン行ったりって感じなのでいつもはあまり一緒に帰ることは無い。


それに、どーせ別々に帰ったとしても高確率で菫は俺の家にいる。



 下駄箱で靴を履き替え校庭を通り校門を抜けて一般道にさしかかる。そこから少し歩いて校門が見えなくなったあたりから菫はすこーし、すこーし、といった感じで微妙に俺との距離を詰めてきた。


こ、この距離の詰め方は…… 暗殺モード?… もしや…まだ依頼は生きているのか?

歩き始めた最初は俺との間に1m程度の間隔があり、そして半歩後ろぐらいを歩いていたが、今はお互いの腕がぶつかりそうなくらいまで近づいている。そして今も半歩後ろ…


ヤバい… 完全に後ろをとられている… 完全に狩られる体勢だ…



迂闊だった… そもそも一緒に帰ろうなんておかしいと思った。

今日の菫は何もかもおかしかったので、逆にこういう状況を予想できなかった。


もしかしてあの変な行動すべてがこの瞬間のためにあったのか? 変な行動はカモフラージュ?

だったらすげーよ、あんたすげーよ… おれっち、完璧に罠に嵌ったぜい!


俺の緊張も最高潮まで高まっているとき、「えいっ」小さな声が聞こえ、いきなり俺の手に何かが触れた。


「ぎゃぁあ~~~!」


まるで目隠し状態にされ手探りで箱の中にある変なもの(ヘビとか)を掴まされたときの驚き…

俺は驚きのあまりとんでもない跳躍力を発揮してその場から飛びのいた。


心拍数は3倍まで上昇し、心臓は破裂寸前…

ふと俺がいた場所を見ると顔をほんのり赤らめた菫が立っていた。


状況を見てみると俺の手に触れたのは菫の手のようだ。

しかしなぜ俺の手を取る? もしや… また俺の手首を潰しにきたのか?


「す、すみれ… ど、ど~した、き、きゅうに?」

恐怖で声が震えてきた。


「む、昔みたいに… ちょっと… 手を繋ごうかなぁ~ なんて…」

嘘だ!嘘だ嘘だ嘘だ~! 絶ってー違うでしょ? 怖ぇ~よ~…


俺は何でいつも命の危機を味わいながら生きて行かなきゃならねーんだ?

だ、だめだ… 落ち着け…俺。 と、取り敢えず今は菫の機嫌をとろう…


「と、とにかく… 家に帰ろうぜ」

あ、あかん… 冷静になんてなれへん…


「………て、手… 繋いで帰りたいな…」

菫はまるで小学生の子供のようなあどけない表情で頬を赤らめて俯きかげんでいる。


「お、おう… いいぞ」

繋ぐだけだったらいくらでも繋いでやる。 だから、お願い…手首を… 俺の手首をイジメないで。

俺が手をこわごわ差し出すと、菫は俺の手のひらにそっと自分の手をのせてやんわりと握る。



 それからは菫と手を繋いで仲良く家に帰るという20分間の試練となった。

無事家にたどり着いた時、俺は緊張感から解放された安堵のためおしっこをちびった。

それでも道端で知らない奴に死体として発見されるよりはよほどましだと思う。



玄関に入り家の中に上がると、菫は母さんのいるリビングに向かおうとしたが俺が呼び止めた。


「菫、ちょっと俺の部屋に来いよ」

「え、… うん、わかった」


最初びっくりした表情をしていた菫だったが、直ぐにその表情は何処か緩んだものとなり微笑みを浮かべていた。


俺の目的はただ一つ、いまだに見え隠れしている暗殺者モードを完全に打ち消すこと。

幸い菫には例の奥義が通用する。


今日は時間がある。あの奥義を存分に使って二度と俺様を暗殺しようなんて気を起こさせないようにさせねば。



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