泰助VS魔物
はっ… ヤバイヤバイ… 朝のHRが始まっちゃってた。
登校途中も教室に入ってからも意識が朦朧としちゃう。
でも、しょうがないよね。
だってぇ~ あれだけ私に気をかけなかった泰助がいきなり抱きしめてくるし、頭撫でてくれるし…
しかも2日連続… ってか、晩に抱きしめられて次の日の朝も…。
なんか箍が外れたって言うか… 一度抱きしめたら毎日なんだもん… びっくりしちゃう。
そんなに好きなんだったらもっと前からしてくれればよかったのに~ もう~。
でも今朝はホントにびっくりした。
昨日は初めてで、もしかしたらその場の雰囲気で?… って思う所もあったけど、今朝のは間違いない。
もう絶対だ。泰助は私の事が好き。
そうじゃないと朝の出会いがしらにいきなり抱き寄せたりしないよね。
もっと早く言ってよ~ん こっちはいつでも準備できてたんだからぁ~
それに昨日キスもしちゃったし…
どうしよ、どうしよ… 昨日今日と泰助は積極的だ。
このペースで行ったらあっという間に最後まで… キャァ~~~~~~~~~ッ♡
………い、いいよ 泰助。 私も心の準備をしておくね。
「………らすま、…烏丸!」
「は、はい」
「言ってみろ」
「えっ… いいんですか?」
「いいに決まってるだろーが、早く答えろ」
「ちょ、ちょっと早いかなぁ~って思うけど、心の準備はしておこうかと…」
「何が早いんだ? もういい、取り敢えず正解だ」
「せ、正解?」
1時限目:現代国語
質問内容 → 主人公はこのとき何を考えてたのか?
菫の解答 → 心の準備をしておこう
結果 → 正解
び、びっくりしちゃったな~ もう授業始まってたんだ…
でも… 正解なんだ… と、言うことは…
や、やっぱり心と体の準備を早くしておかないと!
菫は一体何をやってんの? 昨日は殺人鬼で今日はゆるゆるの風船か?
暫くあいつから離れた方が無難だな…
あ、だめだ… 俺の昼飯が無くなる。
それからも菫の態度は異常を極めたが、泰助には非常に大切な最終確認を行うという計画があったので、菫の異常も気にすることなく計画に没頭していた。
最終確認の相手はあいつしか考えられない。
あいつをクリアしたらこの技は伝説の究極奥義として世界中から称賛されるだろう。
緊張する… はっきり言って高校の入学試験の時より緊張するぜ。
チラッ… (恰好つけて隣の尾賀さんを見る{でも尾賀さんには完全無視されてる})
尾賀さん… この技が完成した暁には俺はこの技を使い全力で君に挑むよ… 待っててくれ。
でも… い、いいの? ほんとにいいの?
技が決まれば本当に揉んじゃうよ?
くぅ~~~~~っ! たまらん。 あ、よられが…(ズズッ) よだれが出てしまった。
泰助がこよなくドス黒い妄想を勝手に膨らませていると気が付けばお昼休みの時間となっていた。
取り敢えず昼飯を食ってからが決戦だ! まずは腹ごしらえを…
「菫、昼飯を食うぞ」
「……………」
「すみれ… すみれ! 腹減った… 食べたい」
「え、え! えぇっ~~~! こ、こんなところで」
「こんなところって…普通でしょ? じゃあ どこで食えばいいんだ?」
「も、もっと人の少ない… ううん、誰もいない所…」
「そんなとこねーよ、俺は待てねー もう食うぞ」
「や、やっぱり服は脱がなきゃダメ?」
「……何で弁当食うのに服脱ぐわけ?」
「………べ、弁当なんだ、 弁当だよね」
「は? 弁当以外に何食うの?」
そう言うと菫の顔はお猿さんもびっくりというレベルで真っ赤になった。顔から湯気が出ている。
慌てて弁当の用意をするが… 教科書を持っても鞄を持ってもぽろぽろ落として落ち着かない。
昨日からの菫は泰助が今までに見たことがないほど変であった。いつもは落ち着いた様子で泰助の保護者のような振る舞いを見せていた菫が、今日はおどおどして落ち着きがなくどこを見ているのか目線も定まらない。
もはや常人と変人の境界線上をさまよっている…
菫、本当に大丈夫か? 俺に心配されるなんて… 人として本当にヤバいぞ。
でも菫、悪いけど今はお前に構っていられない… 俺は今から最終決戦に向かわねばならないんだ。
泰助は弁当を食べ終えると立ち上がりざまに気合を入れる…
「おっしゃ~!」
そして闘志にみなぎった鋭い目をしてある教室へと向かうのであった。
そこに待ち受けている者… それは最強のラスボス、伝説の魔物。
泰助は今、最強のラスボスが根城としている敵の本拠地の前に立っている。
少しの間瞑想し、呼吸を整え、いざラスボスに宣戦布告!
「佳蓮、ちょっと話がある」
「はぁ? なに? なんで用なんかあんの?」
ゴミクズを見るような蔑んだ眼差しでラスボス(佳蓮)はその挑戦者を見下した。
「何でもいいからちょっと来いよ」
「はぁ? 行くわけないだろ、このド変態!」
相変わらずの口の悪さだ… 安心したぜ。
だがしかし、そんな大口をたたいていられるのも今のうちだけ。
「秀雄の事なんだが… やっぱもういいわ。 じゃ…」
「それを先に言いなさいよ」
ラスボス(佳蓮)は一気に食いついた。 やはりラスボス(佳蓮)の弱点は秀雄のようだ。
泰助は廊下に出て階段を上り始める。
屋上に到達する最上階の踊り場付近まで来ると泰助はおもむろに振り向きラスボス(佳蓮)と向き合う。
今こそ決戦の時、体得した秘奥義を使うのは今しかない!
はたして泰助は伝説の魔物(佳蓮)を倒せるのか!?
「佳蓮、ちょっと…」
「…なに」
呼ばれた佳蓮は俺の方に近付いた… 今だ!
俺は左手を佳蓮の背中に回し、右手を花蓮の頭にあてて、佳蓮の頭を俺の胸元へ引き寄せる。
そして佳蓮の体を抱きすくめるようにして俺の胸中に固定する。
急げ、早く次に移行せねば魔物(佳蓮)に反撃される…
俺は神の速さで究極の秘奥義「あたま撫で撫で」を発動させた。
すると……… 魔物(佳蓮)の荒ぶる妖気は一気に減少し、弱体化していく。
ここだ!
ここで究極技発動… おっぱいモミ練習で培った驚異の撫で撫でを仕掛ける。
それは… おっぱいをこよなくいたわるような究極の優しさを込めた撫で撫で…
その名は… 究極技「パイパイ撫で撫で」
これが俺の最大奥義だ! くらえ~ 魔物(佳蓮)、そして滅せよ!
泰助の最大奥義を受けた魔物(佳蓮)はその動きを完全に停止した。
やがて魔物(佳蓮)は意識が薄れていき、俺の腕の中でもじもじし始めた。
やったー! こいつも成敗できた! 俺の究極奥義は完成した!
勝利の余韻に浸り、感動を味わっているとちょっとした異変に気付いた。
俺の腕の中にはまだ魔物(佳蓮)がいる。
だが… さっきまでもじもじしていたはずの魔物(佳蓮)が、何故か今はプルプルしている。
おれは疑問に思った。 もじもじの発展形はプルプルなのか?
やがて魔物(佳蓮)のプルプルは増大していき、大いなるうねりとなってきた。
そしてついに… 魔物(佳蓮)は復活した!
「あ、あ、あ、あんた! なにしてんの!!!」
復活した魔物(佳蓮)は最強となった。
泰助の究極技「パイパイ撫で撫で」で封印されかかったその恨みを晴らすがごとく、まずは右ストレートで泰助の体勢を崩すとそこから怒涛の10連コンボを炸裂させる。
途中、コンボ解除の特殊入力を試みたが魔物(佳蓮)の凄まじい怒りの前では何も通じなかった。
コンボを決められた泰助の残りHPはわずか1… 泰助の命は風前の灯。
そしてとどめの一撃、泰助の左顔面を襲うハイキック… 勝負は決した。
そこには無残に敗れ去った挑戦者(泰助)の屍がよこたわっていた。
魔物(佳蓮)は帰り際に捨て台詞を吐いた。
「絶対秀雄に言いつけてやるから!」
泰助の意識は朦朧としていた。もはや立ち上がる気力もない。
だが… (読者の)みんなに伝えなければと思い、最後の力を振り絞って言った…
「か、か、佳蓮が履いてたパンツは… し、白とブルーの縞パン… やや… 白の面積が大きかった… ガクッ」
泰助はとどめに食らったハイキックが炸裂する瞬間、みんなのためにとそのパンツの色を記憶していた。
チャレンジャー泰助はここに敗北した。
やはり誰にでも通用する訳ではなかったのか…
究極の秘奥義「あたま撫で撫で」は敗れた。
なぜ秀雄の時は通じるんだろう?……… そうか、…フッ、まだまだ俺も修行が足りないって事か。
ということは… 秀雄はもうこの技に関して神の領域に居るってことか。
さすが秀雄… これからは神と呼ばせてもらう。
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