それぞれの夜
「よし、ついたな」
ヒーターマンの助けを借りてついた火に薪をくべながら、キッドマンはタバコをふかす。
ウシトリグサとの一戦から一時間。日が沈み切り、森中を闇が覆う中、アナ達一行はスピーカーマンが見つけた洞窟で夜を過ごすべく、野営の準備を始めていた。
それぞれが夜を超す準備をする中、アナとC.Cは、近場で薪を拾いつつ、ぽつりぽつりと言葉を交わしていた。
[いまだに信じられんな。君がゼノンを下したとは]
「ギリギリだったよ。……私も一回死にかけたみたいだし」
[そうか……幹部の連中はどうした?]
「ギガスとカナロアは逮捕したけど……セイレーンには逃げられたって。ビルとテリーが戦ったんだけど、ギリギリのところで逃げたみたい」
と、セイレーンの名を聞いたC.Cは不愉快そうに眉をしかめる。
[セイレーン……あぁ、あの女か]
「彼女のこと嫌い?」
[正直苦手だ。我々が何か問うても暖簾に腕押し。それに、他の幹部や配下と違って、どこか忠義が感じられない。まるで蛇のような女だ……得体が知れん]
「もし彼女がここに来たら、仲間に入れるの?」
[いいや。そもそもアンドロイドは我々の敵。ただ、我々のことをも憂いたゼノン達が特別だっただけだ。裏切ったものなど、もはや仲間としてみる必要はない]
「そっか……」
C.Cの言葉を聞いたアナは、どこか寂しげな表情を浮かべる。
[……不満かな?]
「うぅん。ただ……みんな仲良くできたらいいのになって……」
[仲良くねぇ]
「あ、みんなに何があったかもわかってるし、ゼノンたちの想いもわかってる。けど……」
そう言って、アナはうつむく。
「それでも……ちがう。だからこそ話し合えば、お互いに生きていきやすい世界ができると思うの」
[……フフッ]
そんなアナの想いを聞いたC.Cが、こらえきれず笑いをこぼす。そんなC.Cの笑い声を聞いたアナは、少し不機嫌そうにC.Cに顔を向ける。
「なんで笑うの?」
[いや、すまない。あまりにも……ゼノンのようなことを言うものだから、ついな……]
「ゼノンと?」
[ああ見えても、奴は最初は穏便に世界を変えようとしていたんだぞ?]
「そうなの!?」
[そうとも。……もっとも、世界の現状を知ってからというもの、その考えは捨てたがな。何故だか分かるか、アナ]
「……うぅん」
[対話には限界があるということだ。いつの世も、何かを成し遂げるには武力がついて回る]
「それでも……」
[君が道中で話してくれたジャスティスマン。彼だってそうだ。対話で御せぬ相手は、己の力で解決する。ガイラスの一件でもそうだったんだろう?]
C.Cの言葉に、アナは言葉を詰まらせる。
それでもなお、彼は話をつづけた。
[アナ。君の理想は立派だ。否定する気はないし、むしろ称賛する。だが、平和とは薄氷だ。いつ割れてもおかしくない。その薄氷を支え繋いでいるのが、どす黒く巨大な『力』であるということを忘れるな]
話しながら、C.Cは両手いっぱいに木の枝や小さな幹を抱え、立ち上がる。
[さぁ、戻ろう。あまり遅くなっては皆が心配する]
そう言って、C.Cは洞窟へと歩いていく。
そんな彼が横を通り過ぎるとき、アナはすっと立ち上がり、C.Cの背中に言葉を投げかけた。
「私、あきらめない。私が思い描く平和な未来を……ゼノンやジャスティスマンが思うような平和な世界を、きっと作って見せる。作れるって信じてる」
[……いばらの道だぞ]
「最近エリーにこんな言葉を教わったの。『千里の道も一歩から』ってね」
そう言って、アナはC.Cを追い越し走っていく。
そんな後姿を、C.Cは見送ることしか出来なかった。
[平和な世界……か……]
そうつぶやいたC.Cは、少し遅れて足を進めるのだった。
「それじゃあ、お疲れ様~」
サムの掛け声とともに、小さくグラス通しがぶつかり合う。
カチンとグラスが鳴ると同時に、皆は中の飲み物を一気に飲み干した。
「っは~!!これこれ!暑い中で飲む酒は格別だぜ!」
「のんきなもんだな、キッド。一応敵地ど真ん中だぜ?」
「だからこそ、飲まなきゃやってられんさ。心配すんなアレク。この一杯で済ますからよ」
「本当でしょうか……」
「嘘だな。ほら見ろシェリー。いってるそばからスキットル取り出しやがった」
「まぁいいではないか!仲良くなった記念だ!なぁ!」
笑いながら、レオンハルトは隣に座るカメラマンの肩を掴み、ぶんぶんと揺らす。
そんな光景に、ジャンクボットたちも思わず笑いをこぼすのだった。
と、笑っているエリザベスの元に、スピーカーマンの一人が声をかける。
「愉快な人たちですねぇ。彼ら」
「緊張感がないんですよ。それが良いところでもあるんですけど……」
「……もう我々のことは警戒していないのですか?」
「私もそうですが、皆あなた方を信用しているのです。あなた方は、ガイラスや他の凶悪犯のように、思想なく暴れる犯罪者でもなければ、かといってゼノンのように、思想をもとに暴れるテロリストでもない。我々をさらったのだって、皆さんの身の安全を守るため。それを知った今、私達が敵対する理由はありませんから」
「随分とこう……柔軟な考えをお持ちなんですね」
「そうかもしれません。ただ、何よりの理由は……」
そう言って、エリザベスは外へと続く入口に目をやる。
そこには、奥まで入れぬ巨大なジャンクボット達と楽しそうに遊ぶアナの姿があった。
「何よりの理由は、彼女がなついてるからですかね」
「彼女が……」
「素直なんですよ。彼女。だからこそ、悪い心を持つ者にはあそこまではなつかない。そんな彼女があんなに笑顔で遊んでいるのはきっと、皆さんの良心……種族の安全を願う心を見抜いたからだと思います」
「不思議なものですね……いったいどういう理屈で?」
「さぁ、そこまでは……」
[もうよせ、スピーカー]
少し困った反応を見せるエリザベスを見かねて、C.Cが口をはさむ。
[我々を友としてみてくれている証。それでいいだろう。変に勘繰るのはよせ]
「……わかりました」
そう言ってスピーカーマンが立ち去る中、エリザベスは不敵な笑みを浮かべて、C.Cの顔を見る。
「あら、何か探りを入れられていたんですね」
[君も人が悪い。わかっていて会話していたろう]
「まだ全員は信用できてないみたいですね。お互いに」
[そう簡単に変われるのなら、我々もこんなところに何十年も閉じこもってはいないさ]
そう言って、二人は小さく笑いあう。
そんな中、エリザベスは飲み物を一口含み息を整えると、コップを見ながらぽつりとつぶやいた。
「……嘘ではないですよ。アナのこと」
[そうだろうなぁ]
話しながら、C.Cはエリザベスの隣に座る。
[ついさっき……薪拾いの時だ。彼女、私に何と言ったと思う]
「さぁ……」
[話し合いで平和な世を作ると、まっすぐ私に言い放ったよ]
「あら、アナらしい」
[ほう?常々言っているのか、彼女は]
「それがアナの夢ですから。あんな年齢なのに、いろんなことを経験してきました。……だからこそ、そんな夢を持っているんです」
[君は思うかね。本当に叶うと]
「最初からあきらめていたら、叶うものもかないません。どれだけ大きな夢でも、どれだけ現実的でなくても、信じて進む。それが大事なんだと思いますよ」
[信じる……アナも同じことを言っていた]
「彼女の良いところですよ。決して曲げることなく信じるところ。あなたも乗ってみませんか?彼女が信じる夢に」
[フフッ……考えておこう]
「お返事はいつでも。きっと彼女も喜びますよ」
そう言って笑いかけた後、エリザベスは立ち上がり、サムたちの元へと歩いていく。
そんな彼女の後姿を眺め、C.Cは物思いにふけっていた。
(信じること……長くしようとしてこなかったな……我々以外の者を信じようとすることなど……)
と、そんな彼の元に、人影が一つ、ゆっくりと歩み寄ってきた。
「随分と浮かない顔だな。コマンダー」
[ジェネラルか。君こそどうした。嫌に不機嫌そうじゃないか]
「何を分かり切ったことを。当然だろう。人間と同じ場にいるなど、不愉快でしかない」
[そう邪険にするな。彼らに敵意が無いのはもうわかるだろう]
そんなC.Cの言葉を聞き、G.Tから、殺気にも似た何かが漏れ出る。
「……まさか本気で信じるわけじゃないだろうな」
[アナのことをか?]
「奴ら人間が俺たちに何をしたのか忘れたか。どれだけの仲間たちが死んでいったのか、忘れたのか……!!」
[忘れてなどいない。今も昨日のことのようにありありと思いだせる。……ただ……]
「ただ?」
[……そろそろ、未来に目を向けてもいいのかもしれない……そう思ってな]
「……ここで深くは聞くまい。帰ってからゆっくり話そう」
そう言って、G.Tへと歩いていく。
と、ふと彼の足が止まった。
「だがなコマンダー。忘れるな。俺がお前をコマンダーと呼ぶのは、ともに同じ明日を見ているからだ。もし少しでも道を違うこととなった場合、俺にとってお前はコマンダーではなくなる。それを忘れるな……!」
そう言って、G.Tは背を向け、入口へと歩き去っていく。
C.Cは、そんな彼の背をただ見つめることしか出来なかった。
一方そのころ
テリーサイド
「よぉし、ついたぁ!!」
エンブラムの大きな掛け声が、周囲に響き渡る。
アナ達の捜索を始めて数時間。ガストンは夜の行軍を危険と判断し、野営を決定。岸壁を背に、エグゾジャイアントを防壁とした簡易的なテントを作り、一夜を過ごす準備をしていた。
「隊長ぉ!!つきましたぁ!!」
「あんまりでかい声出すなエンヴィー。どこで何が聞いてるかわからん」
はしゃぐエンブラムにくぎ刺すガストンを見て、テリーは思わず呆れたように笑ってしまった。
「あはは……こうまで変わらないと、なんだか安心するなぁ……」
「火のこととなると、目の色変わりますからなぁ。エンヴィーは」
「いつもあぁなんですか?」
「そうですぞ。ひどい時では、ろうそくの火を見ただけでテンションが上がっておりましたぞ」
「そんなに!?」
「とにかく火に対してすごい執着があるんです、彼。理由を話したことありませんけど」
二人の会話にコナーが加わる。
声につられ二人が視線を向けると、しきりにパソコンや電子機器を操作していた。
「えっと……何をしてるんです?」
「リプリーと協力して、周囲に警戒網を張ってます」
「警戒網!?どうやって……?」
「簡易的なものですけどね。これから熱源センサーを舞いて、我々所有の衛星とリンク。おおよその位置情報、大きさ、速度がわかるようにするんです。何が来ても即座に迎撃することができるように、4年前に僕とリプリーで編み出した方法です」
平然と語るコナー。しかし、テリーはその言葉一つ一つに、驚きを隠せずにいた。
「あの……失礼かもしれませんが、あなたたちはあくまでWDOの一部隊にすぎませんよね?なのに衛星まで保有しているなんて……いったいどうして……?」
「あぁ、それは……」
「おーいお前たち!飯にするぞ!」
コナーが口を開いた直後、彼の言葉をガストンの掛け声がかき消す。
「さ、飯ですって。行きましょ」
「そうですな。飯は心の活力ですからな!」
「は、はい!」
話しながら笑顔で薪の元に歩いていく二人の背に、テリーはついていく。ただ、彼の中の疑念にも似た好奇心は消えないままだった。
「「「ごちそうさまでした」」」
夕食を食べ終わり、一行に穏やかな空気が流れる。
「おいしかったですねなぁ、この木の実!」
「まるで肉みたいな食感と風味だ。こんなの見たことないぞ。テリー、あんたどこでこんなもの知ったんだ?」
「あ、言ってませんでしたっけ。僕、この森の出身なんですよ」
「なにぃ!?」
テリーの言葉に、エンブラムは思わず飛び上がる。
「それは……あれですか?超獣に育てられた……みたいな」
「え?あぁいや違いますよ!この森の中の集落で育ったんです!」
「あぁ、聞いたことありますなぁ。マサイやピグミーなんかの末裔が、この森で今も暮らしているって」
「その中で、セーイレルという部族の元で生まれました。ただ……いろいろあって、部族から抜け出したんです」
「何か嫌なことが?」
「……友達が生贄として……僕に……」
「……すまない、話しづらいことを聞いたな……」
「いえ、いいんです。知らなかったことですし……」
流れていた穏やかな空気が、少し沈んだものへと変わる。
そんな空気を換えようと、ガストンが口を開いた。
「それじゃあ気晴らしに、あんたの気になってることでも話すか。……衛星保有の理由だったか?」
「あ、お聞きになってたんですか」
「たまたま耳に入ってな。少し長くなるが、良かったら聞いてくれ」
「ありがとうございます!ぜひお聞きしたい!」
「そうか?それじゃあ遠慮なく……」
そう言ってガストンは息を整えると、ゆっくりと口を開いた。
「『ビーストクイーン』。知ってるか?」
「ビーストクイーン……あ、”ステューシー・バーンスタイン”ですか」
「そう。当時奴のせいで、世界中で超獣災害が多発していた。そんなとき、奴の大規模拘束作戦が立ち上がった。当時WDO機械化大隊に所属してた俺たちも参加したよ。だが……」
そこで、ガストンの言葉が詰まる。
その代わりを務めるように、今度はコナーが口を開いた。
「結果は大惨敗。大隊の大半の人間が奴と、奴の率いる超獣に殺されました。そこでの生き残りが、お三方ってわけです」
「あれ?コナーさんは?」
「僕は、エイペックスプレデターズ設立後にスカウトされて」
「彼の通信の腕がよかったんですな。”吸血鬼事変”の時に出会いましたが、その時は大いに助けられましたぞ」
「”ヴァロンドール”の時ですか!」
「えぇ、陽動に通信の補助なんかしてくれて。それで、うちの隊長が一目ぼれ。14歳だったのにスカウトしてましたよ」
「そんなことが……」
驚くテリーに、息を持ち直したガストンが再び話し始める。
「ふぅ……そう。衛星保有の許可が下りたのも、ヴァロンドールのヨーロッパ侵攻から。ビーストクイーンの時は、超人、超獣専門の特殊部隊程度だったのが、コナーのおかげでかなり予算を割いてもらえるようになってな」
「そんな経緯があったんですね……それじゃあ、今までたくさん超獣を……その……」
『超獣を殺してきた』。その不躾で直接的な言葉は、テリーの口から出るのを拒んでいた。
と、その真意を知ったガストンは、「フッ」っと軽く笑い、言葉をつづけた。
「そうだ。俺たちはいままで、数多の超獣をこの手で殺めてきた。だがな、テリー。俺たちはそのために作られた部隊だ。だからこそ。命に人一倍の敬意を払っている」
「敬意を……」
「俺たちは殺すことが目的じゃない。いかに”お互い無傷で事を収められるか”。それが目的なんだ。殺しはあくまで最終手段。今まで殺してきた奴らも、殺さなきゃ止められなかった奴らだけだ。そして、むやみに殺すことがないように、俺たちは常に生物のことを学んでいる。研鑽の毎日だ」
そう言って、ガストンはドンと胸を叩く。
「俺たちは駆除のスペシャリストじゃない、対処のスペシャリストだ!だから基本は非殺傷!それが俺らの鉄則よ」
その言葉を聞いたテリーは、今日の出来事を思い出していた。
ランドスコルピオンが襲い掛かってきたときも、彼らは通常のミサイルを使わず、非殺傷兵器を使って鎮圧した。
ボマースクイレルが襲撃してきたときも、機関銃で皆殺しにせず、爆風だけが届く距離で木の実を爆破させ、その隙に逃げた。
彼らは命に敬意を持っている。そのことを知ったテリーは、自身が言いそうになっていた言葉の重みをかみしめ、自身を恥じた。
肩を落とすテリーに、ガストンは再び言葉を続ける。
「俺たちが衛星を持つ理由も、殺さないためさ。急に襲われりゃ、持ってる武器で戦うしかない。その時に殺傷武器しかなかったら……そうなりたくないからな」
「そう……だったんですね……」
と、テリーの眉間にしわが寄る。
「どうした?」
「いえ……僕の部族も、それだけ命に経緯があれば……あんなことはなかったのに……そう思って」
「その生贄って言うのは、ずっとあったことなのですかな?」
「いえ、その時だけです。当時は、周辺で盗賊の襲撃があったりしましたから」
「……命への敬意の払い方は人それぞれです。その生贄も……何かしらの敬意なのかもしれないですね」
「そうだと……いいですけどね」
ビーッ ビーッ ビーッ
皆が話していると、突然コナーのパソコンから警報が鳴り響く。
「超獣接近反応!皆さん、対応の準備を!」
「「「了解!!」」」
先ほどまで和やかに話していた皆の顔に、緊張が走る。
急いでエグゾジャイアントに乗り込んだエイペックス一行は、武器を携え周囲を警戒する。
テリーも、ガストンの肩に乗り、辺りを見回していた。
『コナー、超獣の位置は!』
『かなり速度が速い……前方5……いえ、4㎞!』
『大きさは!』
『測定中……出ました!!……え?』
と、コナーの言葉が詰まる。
それと同時に、テリーの顔から焦燥と恐怖の色がにじみだした。
「み……皆さん、すぐここを離れましょう!」
『!?何か感じたのか!』
「このにおい……たった一度だけ嗅いだことがある……もう嗅ぎたくないと思ってたのに……!」
『なんだ!何が来た!!』
と、そこへコナーが震えた声で話し出す。
『対象の大きさ出ました……』
『どれぐらいだ!!』
『……測定不能……です……』
『そ、測定不能!?』
ガザザザザザザザザザザ
その時、一行の前方から、木々をなぎ倒すような轟音が響き始める。
『サーモカメラも反応しない……くそ!!全員戦闘準備!!迎撃する!!』
ガザザバギザザザザバギバギザザザザ
次第に音は強まっていく。
「ダメです!すぐに逃げなきゃ!」
『距離1㎞!!』
『駄目だ逃げられん!ここで迎撃するほかない!!』
ガバギバギバギザバギバギバギバギザザザバガガガザザザザ!!!!!
『距離300!!!』
『安全装置解除!!』
全員が一斉に警戒体制へと入る。
と、突然音が止まった。
『……?』
『音が……止んだ?』
『どこかに逃げたか!?』
『どうでしょうなぁ……テリー殿。なにか匂いませんかな?』
と、テリーから返事がない。
『……テリー?』
「皆さん……上……」
『上?』
皆がテリーの言う通り、上に顔を向ける。
煌々と輝く満月。
その満月を隠すように、巨大ななにかが森から首をもたげ、ぎらぎらと輝く相貌を、一行に向けていた。
『な……なんだ、あれは……』
ガストンの問いに、テリーは小さくつぶやいた。
「この森の主……蛇王です……!」
to be continued




