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行きつく先は邪神か神か  作者: 弥生菊美


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146.手合わせと言う名の2


 「事情は分かりました。よほど暇と見える。

せっかくですから、手合わせしましょうか?

そもそも、そう言う約束でついて来てもらったわけですし」


そう言って指を鳴らしながら前へと歩み出ると、ソウジュとザイアスが後ろへ下がる。


「おやおやどうしましたぁー?」


にっこりと微笑みかければ、ソウジュがあからさまにアワアワと慌て始める。


「いや、ちょっ!!これは手合わせじゃなくて、ただの制裁」


「チッ!もはやどちらでもいい!!望むところだ!!!」


ソウジュとは真逆に、早々に吹っ切れたザイアスが構える。


「言っておきますけど、先程のような派手な爆発系の魔法は禁止ですからね。

平原で野宿している他の旅人達が脅えますから」


「フンッ!いいだろう!やってやる」


「えぇー……レイテ何とか言ってやってくれよ……」


「ソウジュ、諦めろ」


 そう言って、レイテがソウジュの肩に手を置いて頭を振る。どうやら話はついたらしいので「では3人まとめでどうぞ」と伝えれば


「えっ……僕も?」


と、動揺するレイテをよそに、さっそくザイアスが踏み込んでくる。


 困ったことに、相変わらず単純な殴りかかりである。筋トレは続けているようだけれど、いくら攻撃力が上がったとて攻撃のパターンが一辺倒では考えものだ。


 攻撃を避けるとザイアスの腕を掴んでそのまま背負い投げの勢いで手加減をしつつ地面に叩きつければ、ザイアスの血反吐でも吐きそうな苦悶の声が上がる。


 やれやれ、と思いながらザイアスを見下ろす。レイテ達の話から白いサーベルウルフは知能が高く、並みの攻撃では歯が立たない上に、戦略無くして勝てないと聞いている。ザイアスには分の悪そうな相手だ。


 さて、他の2人はどう来るだろうか?連携プレーが取れ、既に白サーベルウルフとの実戦経験のある2人はさて、どうか?


二人を見据えれば、二人が同時につばを飲み込んだのが目に入る。


「ぶっ飛ばされる覚悟はできたかレイテ……」


「まぁ、訓練してもらうって事でついてきたわけだし、ボコボコにされるのは想定内といえば想定内……」


 覚悟は決まったのかソウジュの手に炎が凝集されたと思うとそれが槍の形になる。こちらを見据えるその金色の目が獲物を狙うドラゴンのそれへと変わる。来るっ…そう思った次の瞬間、私の左目に槍を突き刺さんとソウジュが迫る。


 リリーちゃんと訓練していた時よりも明らかに速い!心の内から沸き立つ高揚感から一瞬で鳥肌が立つ、左目に触れる前にその槍を素手で掴めば、急に勢いを殺されたソウジュが前につんのめりそうになりつつも、その槍を引き抜こうとするがビクともしない。


 その焦る様子を眺めながら、これは……


「楽しめそうだ…」


 そう言って笑えば、ソウジュの顔が一瞬で怯えた形相になると、一気に10mほど後方へと飛びのいた。

ふと見れば、レイテの姿がない。


 何処へ、そう思って辺りの様子を伺っていると急な気配に頭上を見上げれば、赤い槍が立て続けに落ちてくる。


 それを避けようとすれば手にしていたソウジュの槍が一気に燃え上がり反射的にのけ反る。手放した槍のコントロールもできるのか、上空からの槍を手で払おうとしたが思いとどまり寸でのところで何とか避けると言う状況に追い込まれる。


 深まる笑みと、内から滲み出ようとする闇、押し込めようとする蓋が溢れ出る闇のせいでまるでカタカタと音をたてるような気さえする。


 夜闇の草原に赤い炎の槍がいくつも刺さり、気づけば私の周囲を取り囲むように刺さっている。これは何かあると思わざるを得ない。飛びのいて円から出ようとすれば、いつの間にか復活したのかザイアスが再びこちらに殴りかかってくる。


 あくまで魔法を使う気はないらしい。それをいなして、体勢を崩したザイアスの顎に膝蹴りを入れている横から、首元を跳ね飛ばさんとする勢いで今度は青い炎で造られたソウジュの斧が迫る。


 その殺意に「アハハッ!」と耐え切れず笑い声を漏らしながら屈もうとすれば、囲んでいた槍から這うように伸びた炎が一気に足元へと広がる。一瞬の判断で横に振られる斧に手を置いて逆立ちするように飛び上がった。


 斧を手にしたソウジュの顔が悔しさに滲んでいるかと思いきや、してやったりと言う顔をしてる。


「何…」


 そう呟いた瞬間、両足首に何かが強く巻き付き逆さ吊りにされる。みれば足首に赤い鎖が巻き付いていた。そして、間髪入れず下からも一瞬で伸びた鎖が私の両手に巻き付くとギリギリと締め付けてくる。


「やるじゃないか」


 追い込まれた体制にもかかわらず。思わずニヤリと笑い呟いてしまう。そして、もっと、もっと戦いたい!!!といういつもの闇が私を侵食し始めていた。



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