147.手合わせと言う名の3
追い込まれた体勢にもかかわらず。思わずニヤリと笑う。そして、もっと、もっと戦いたいと、いつもの闇が私を侵食し始めていた。
さて、私を捕らえた次はどうする気か?そう思いながらレイテを見れば、いつの間にか草原に降り立っていたレイテは汗を流し、苦しそうな表情でこちらを見ている。見るからに魔力消費が大きくて辛い!と言わんばかりだ。
顔に出過ぎだろ……。
思わず冷静にツッコミを入れたくなるくらいには、限界間近そうなレイテの顔、私の後方からソウジュの嬉しそうな声が響く。
「やったぜレイテ!!」
「早く……蹴りをつけろっ……」
呻くような声のレイテにソウジュが斧を構える。
「では一撃入れさせてもらうぜ!これで俺らはエンテイ様を超えられる!」
ニヤリと笑うソウジュに思わず吹き出す。
「フッ…アハハハハハ!」
笑いだす私に構わずソウジュが斧を振りかぶる……がっ、ガキィーン!と、鋼鉄に斧を振り下ろしたような音が響き渡り、ソウジュがその衝撃と反動の痛みで「イ゛ッ!!!!?」と声にならない声をあげる。
燃え盛っている場所から距離を取ってうずくまっていたザイアスが、顎をさすりながらゆっくりと立ち上がる。
「シールド……はなから勝負にすらなってねぇー」
「まだまだですねー」
そう言って笑えば、ザイアスが舌打ちをする。それを横目に見ながら軽く両手足に力を加えれば紙テープのリングのごとく簡単に千切れる鎖、それを見たレイテは限界が来ていたのか膝から地面へと崩れ落ちるとそのまま、液体ですか?と言わんばかりのように体を平原に投げ出し肩で呼吸している。よほど辛かったと見える。
「その意気や良し」と言いつつも内心では、乗ってきたところでコレではつまらないにもほどがある。まだ動けそうな2人の方を振り返る。
「おやぁー?まさかこれで終わりじゃありませんよね?」
ほらどうした?と言わんばかりに笑いながら煽れば、案の定即座に乗ってくるザイアス。
「あのガキと言い、貴様と言い、ドラゴンを嘗めやがって!!」
拳を握り締め、ギリギリと歯ぎしりでも始めそうなザイアスとは対照的に、ようやく手のしびれが収まったソウジュが斧を手から消すと、疲れたかのように大きくため息をついている。
「無理、ぜーったいに無理、勝てない!!
全力でこれだぞ?エンテイ様が負けたのも納得だわ。
もう勝てる気がしないって…………けど、まぁ、お手上げと言いたいとこだけど、これで終わっちゃドラゴンの名が廃るわな」
目に闘志が宿るとはこういう事なのかもしれない。見据えられた目には今し方の疲れなどみじんも感じられないほどだ。
「さぁ、第二ラウンドを始めましょうか」




