143.国を捨てた者7
突然笑い出した自分に、3人が驚いて会話を止める。
「お前さんら、あのジュースに何か入れたのか?」
「ただのジュースだよ?」
「おじさん、何か面白いことあった?」
そう聞かれて目頭を押さえて頷く。
「ええ……。タキナ様は願いを叶えてくれたんだと思いまして、それに今気づきました」
「えぇー!!やっぱり!」
「何々!?どんな事叶えてくれたの!?」
「おいおい、あんちゃん……」
「辛い思いをしていた私を助けてほしいと願っていたんです。
それを叶えてもらいました」
そう言うと、獣人の女の子二人の尻尾が急に垂れ下がる。
「獣人ってのは本当にわかりやすいな、どーせ小遣いもらえますようにとか、綺麗な服買ってもらえますようにとかそんな願い事叶えてもらうつもりだったんだろ」
「ちがうもーーん」
「お菓子を毎日食べれますようにだもん!」
「似たようなもんだろ。タキナ様は叶えてくださるんじゃねー。助けてくださるんだ。
タキナ様はこの世界から憎しみや恐怖を消し去るのがお役目なんだ。
そんな、ちっせぇー願いを叶えてる暇はねーんだよ。
大体、良いことしてタキナ様に願いを叶えてもらおう!ってのは、タキナ様の考えに反するぜ、タキナ様は見返りを求めないんだからな」
「パパと同じこと言ってる」
「良いとーちゃんじゃねぇーか」
すると女の子の一人が荷台から離れる。
「まぁーいっかー、おじさん笑えるくらい元気になったし、今度はお店に買いに来てね」
そう言うとゴイルと言い合いをしていた女の子も、笑いながらこちらを見上げる。
「お店はねー、この広場の南側のオレンジ色の屋根の屋台だよ」
「切り替えが早いこって」
「ありがとう。次に来たときは必ず伺います」
「絶対だよ!」
「いっぱい買いに来てねー!」
そう言うと二人はしっかりとコップを手にすると、広場へと走って行ってしまった。
「嵐のような嬢ちゃん達だったなー」
「お陰様で元気になりました」
そう言うとゴイルも満足げにこちらを見る。
「会った時は死人みたいだったけど、顔色もずっとよくなったな」
「本当にありがとうございました」
「いいってことよ、それで?一歩目は踏み出せそうかい?」
ゴイルの言葉にコクリと頷く。
「はい。踏み出す方向が見定まったら踏み出したいと思います」
そう言うと、ゴイルは一瞬面食らったような顔をするがすぐに大笑いし始める。
「そりゃそうだな!踏み出した一歩目が明後日の方向じゃ意味がねー!」
そう言って笑っているゴイルに一つ頼みがあると告げると「なんでも言いな!」と豪快に言ってくれた。
「では、タキナ様がどんな方なのか詳しく聞かせてくれませんか」
そう言うと、ゴイルはニカリと笑い「お安い御用だ!」と胸を叩いた。




