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2話

玉座のカーテン後ろ、ここは魔王様の私室


広々とした玉座の間とは違いここは一人が比較的快適に過ごせる程度の広さを持った空間となっており、一通りの生活用具の他、中央にグランドピアノが設置してある


「魔界に繋がる楽譜はこれだったかしら?」


大量の楽譜が入った棚を漁りつつ若干埃が付いていた楽譜を魔王様は見つけた。


「あった!半年前に魔王城を作ったとき以来ね」


埃を手で軽く払いながら中央のグランドピアノに座り、一呼吸


目を閉じて瞑想をすると鍵盤の上に乗せていた手が光りだす

緩やかな曲調から始まり優雅な曲調の演奏が数分続く


演奏が終わると空間が乱れ、一人の男性が現れた


「お呼びでしょうか魔王様。魔王城を作って以来でしょうか?」


「久しぶりね、早速だけどお願いしたいことがあってね」


呼び出された男は魔界に住む魔族の建築家、魔王の複雑な要求にも答えてこの城を作り上げた敏腕である。


「魔王様のご要望は完璧にこなしたつもりではありますがまた何かご希望でもありますかな?」


「魔王城を攻略しやすいように改装できないかしら」


さらっと魔王が答える、常識外れの言葉を交えて


「お安い御用で…今なんとおっしゃられました?」


城の守りを固めるのは当たり前の事であり、より強固にすることは不思議ではない。本来出ないであろう言葉を受けて男は戸惑いながら答えた。


「もう一度言うわ、魔王城を攻略しやすいように改装してほしいの」


「魔王様、正気ですか!? 一瞬気がふれたのかと思いましたよ。」


「私は正常だから安心して、理由を言うと」


腕を組んで気難しそうな顔をしながら彼女は答えた。


「あなたに頼んで作ってもらったこの城は完璧だったわよ。とても完璧で」


「それの何が問題だとおっしゃるのですか?」


「誰も来なくなった。」


「待ち構えているのでしたらそれは何も問題ないのでは?」


「大アリよ!!!」


男へ向けて睨む視線を向けながら叫んだ


「来る日も来る日も待っても全然来ないんじゃあ退屈すぎて悲しくなってくるのよ。ずーっと座り続けているせいで腰が痛くなってくるし…。」


「威厳を保つために玉座は大きい方がいい!とおっしゃられてましたがそれが原因かと…。」


 あまりにも理解できないことを言う魔王に対し、男は戸惑いながら聞きつつも要望には応えようとは考えていた


「と に か く このままじゃ一生椅子に座り続けることになるから改装をしてちょうだい!」


「魔王様が望むのであれば私の目線で助言をさせていただきましょう」


 今まで城の警備を強固にするように指示を受けたらその要望に応えて様々な改善策を打ってきたが、逆に手薄にする前代未聞の要望を受けて頭を抱えていた。


(まぁ…金払いはいいし言う通りにしておくか)


「あ、それと」


金銭的な面を考えてた時にとっさに魔王から声を掛けられ、慌ててなんでしょうと?返すと最初の要望を伝えてきた。


「椅子は柔らかいのに交換して、角度も変えられる奴に」


「…畏まりました。」


魔王城の最初の改修は魔王の椅子の交換となった。

補足:魔王が行う演奏


鍵盤で奏でる音楽を媒介とした魔法です。他にも唱える方法はありますが単に魔王のこだわりで演奏という形になっているだけです。

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