1話
魔王とは巨大な魔力を持つ絶対的な強者
故に人類は恐れ、人類の住む世界に侵攻が起きると恐怖に包まれる
人間たちが住まう都市では魔王と呼ばれる人類の敵を討伐するためにギルドが設立され、治安維持のため活動が行われている。
魔王は大半は自らの軍勢を誇示するように率いて人類を侵攻するが、その中には変わった魔王もおり自ら侵攻せずに城を築き待ち構えている
この物語は少し変わった魔王が玉座に座っているところからはじまる。
人間達の住む都市からおよそ2週間程度離れた山に切り開かれて建てられた魔王城
その中の最上階 玉座
不機嫌そうな表情をしながら彼女はつぶやいた
「おかしいわね、ここ数カ月冒険者が来る気配が全くないのだけど」
魔王と呼ばれている彼女の姿は一見すると20台前後の女性に見えるが実際の年齢は100歳を超えている
「せっかく撃退用に準備したトラップや階層がここのままじゃ…」
つぶやきながらはっと何かを思いついたようにポケットに入れていたベルを鳴らし
「お呼びでしょうか・・・」
黒い靄がかかった空間より小柄な竜の魔物が出てきた、彼女の使い魔だ
「最近ずっと冒険者がやってこないわよね?何か理由があると思わない」
「魔王様、まことに申し上げにくいのですが…。」
これで何度目だ?と言いたくなっている表情で続ける
「魔王様の仕掛けたトラップが堅牢すぎて誰も来なくなりました。」
「やっぱりそうよね…私的には結構うまく作ったと思ったんだけどねぇ」
「そもそも魔王様は冒険者達を撃退するために仕掛けを作っておられるのですよね?それならば成功していると思うのですが…」
疑問を投げかけた使い魔に対して玉座から立ちながら彼女は答えた
「これじゃダメなのよ!!!」
玉座から立ち上がりながら使い魔の方に顔を向け話し続ける
「そりゃあね人を寄せ付けないように作っているけどさ、全く来ないんじゃあ作った意義がわからなくなるでしょ!」
「魔王様、目的がおかしくなっているのですが」
「目的?それは も ち ろ ん」
魔王は自信たっぷりに指をさしつつ答える
「数多くのトラップを知恵を振り絞って潜り抜けた冒険者達を待ち構え、生死を掛けた激闘を繰り広げる!」
「…のつもりだったけど途中でリタイアするのが多くてね、この調子だと誰も来なくてずーっと玉座に座り続けて終わりそうでね」
トーンダウンしている魔王に対して使い魔はツッコミを入れる
「そもそも魔王様が悪い存在と思われてないのでは」
「えっそうなの?」
「他の地域の魔王は魔物の大軍をを率いて人間の領域に侵攻して脅威になっているのに魔王様はただ待ち構えてるだけではないですか。」
「さらにトラップ等に掛かって死んだ冒険者も蘇生させて外に出したりととても魔王の所業には見えませんが」
「魔王は玉座で待ち構えるのが鉄板でしょ。そこは譲れないわ!」
「最初は死んだのは放置していたけど遺体が腐敗して悪臭がすごくてね、飼っているモンスターからも苦情がいっぱい来たから仕方なく蘇生することにしたのよ」
自分の使い魔から矢継ぎ早に指摘されつつも多少感情的になりつつも答えていく魔王は耳を傾けつつ自分の感覚がズレているのかと感じ始めていた。
「それに…」
「それに?」
同じ言葉で聞き返す魔王
「魔王城が広すぎるのです。」
何でそれが?と言いたい顔をしながら答える
「そうかしら?外からは見えないけど100階ある威厳のある居城よ」
「魔王様、私が人間の尺度を出すのもおかしいと思いますが感性がとてもズレています。まずそんなに広ければだれも到達できません。」
「えーでもせっかく100階層に丁寧に仕込んだのよ」
「魔王様、誰も来ないんでいいのですか?」
「それを言われるとねぇ…私のお城の作り方がよくなさそうだし相談してみるか」
不満を出しつつも使い魔の指摘は間違っていないと感じた魔王は玉座を降りて裏の自分の部屋に入っていった。
次回更新 7月16日予定




