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兄弟達の秘密2

月夜の晩、彼らみんな館から出払う。

狩りに出かけるのだ。

それは私にとっては好都合、ねこ集会に気兼ねなく行ける。

彼らが全員出掛けるのを確認して向かい、いつも一番早く帰って来る

シモンの時間に合わせて、その前に戻っておく。


ねこ集会の掟は、自分のいる家の実情を過不足なく報告すること。

これはねこが生き抜くためにできたものだが、私としては承服しかねる。

要はどこの家に入り込めそうかという情報交換なのだから。

そんなに詳細に話すこともなかろう。


まあ、ここ2~3年は平和的なねこ集会が続いていたが、妙な噂がでるようになった。

十数匹のねこがこの晩は集って、丸く輪になって話をしていた。

「人がさ…首から血を吸われて道端に捨てられるという事件が多発しているらしい」

「ああ、おれもそれは聞いたよ。ご主人様が話してた」

何匹ものねこがそう証言するのだ。


私はちょっとゾクッとした。

彼らではないと分かってはいた。だからこそ、この彼らを追い詰めるような事態に

一番怖さを感じていた。

その日は館に帰っても、どうしたらよいのか分からず、気分がずっと落ちていた。

彼らは私が眠っている横を静かに通り、各々の部屋へ入って行った…いつも通りに…。


翌朝。

「なんかさ、にゃん大佐、食欲がないみたいなんだよ」

トマスが心配そうに、彼の瞳と顔を見ている。

「そんな時もあるさ」

ロマイがやってきて、同じように覗き込む。

「数日間様子を見て、判断したら良いよ。ねこは自然治癒力は強いから」

本を片手にアンドレがふたりの横を通りすぎ、庭へと出て行った。


「でもさ、あと少しで夏季休暇も終わるから、寮に戻らないといけないよね」

ノアも窓辺にいたが、にゃん大佐のもとへやってきた。

「だな、長旅に耐えられるように元気になっていればいいが…」

「どうしたの~トマス!めっちゃ難しい顔をして」

アンドレとは反対に庭から家に戻って来たウリエルが言った。


「にゃん大佐が体調が悪そうなんだって」

ノアがにゃん大佐をウリエルの前に持ってきて見せた。

「そう?私にはそんな風には見えないけど、ん~敢えて言えば何かに悩んでるとか…」

「え?ねこにも悩みとかあるのかな?」

「ノアに悩み事はないの?あるでしょ!」

「それはウリエルには話さないよ」

「何それ~、真夜中にでもにゃん大佐に聞いてみたら?」

「どうして真夜中なの?」

「ほら、真夜中には不思議な力が作用するって言うじゃない」

ウリエルの言葉を聞いて、ノアはそうかと思った。


「あんまりウリエルの話を真に受けるんじゃないよ~」

ロマイとトマスが茶々を入れる。

「どうして~、私変な事なんて言ってないけど、感じたまま言っただけなのに…」

と言って、ウリエルは言った彼らの方へ向き直り、肩を叩いている。



私は彼らの話を聞きながら、本当に人間の言葉が話せたら、

どんなに良いだろうと思わずにはいられなかった。


そうしたら…あんな惨劇は起こらなったのに…。










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