初めての出会い6
彼女は春の陽だまりの午後に、私達の住む館へやって来た。
名前は『エリカ』と言った。
双子らしいがもう一人の姉の方は、親戚の家に養子に入ったという。
エリカと兄弟達は学校で出会ったらしい。
ハンガリーの貴族学校は、小学校中学校高校が合併したような一貫校。
広大な敷地内に、寮とともにいくつもの校舎があり、礼拝堂もある。
エリカはアンデレと同い年で同じクラスだったが、無口な彼よりも
一つ年上のトマスやロマイと仲が良かった。
シモンは彼女からみるとどうやら大人っぽくて、憧れの対象のように私には見えた。
他の兄弟とも仲が良く、言わば…みんなとお友達っていうのかな…。
ねこの世界には友達っていうのはあんまりない。
基本個体で行動するからさ。
私が居ると言うので、見に来たようだ。
「まあ、なんて可愛いの!」
エリカの目はハートマークで溢れている。
仕方がない、私は相当イケてるにゃんこなのだから。
ゴロゴロと喉をならしてみるか…。
「わあ!ゴロゴロ言ってる~私を気に入ってくれたのかな」
「うん、きっとそうだよ!」
ノアが嬉しそうに言う。
「トマス兄さんがクッキーを焼いてくれてるよ」
ウリエルがにゃん大佐と遊ぶノアとエリカの元へやってきた。
「シモンさんは…」
エリカの質問は途中で消える。
「高等科の最上級生は実験で遅くなるって言ってたよ」
「そ、そうなんだ」
「うんうん、あれ、なんか、寂しい感じ?」
ウリエルが茶化す。
「クッキー焼けたぞ。ロマイとアンデレ、フィリ、ちょっとお茶の準備を
手伝ってくれ」
キッチンの窓を開けて、外で作業をしていた3人に声をかけている。
「わかったよ、今からそっちに行くよ!」
トマスの焼いたクッキーとロマイの入れた紅茶、庭で摘んだ苺でティータイム。
エリカと6人の兄弟は楽しくお茶の時間を過ごした。
遊び疲れた私はかごの中で、彼らの笑い声を聞き、居眠りをした。
こんな穏やかな日々がずっと続きますように!そう願っていた…。




