初めての出会い5
「おーい、ノア。コート持って来たぞー!」
背後から声がし、肩を叩かれた。
「ロマイ兄さん、子ねこがヤバイ感じなんだ」
「子ねこ?どれ、見せて」
ノアの腕の中にいる子ねこを見て、二人は見つめ合った。
「早く温めないと死んでしまうかもしれない。急いで家に帰ろう」
ロマイが、持ってきたコートで子ねこをぐるぐる巻きにし、
ノアに手渡した。
受け取ったノアは子ねこをしっかりと抱きしめた。
「走るよ!」
「うん、兄さん」
二人は雪に足を取られながらも、懸命に走った。
館の前では5人の兄弟が心配そうに、寒い中待っていた。
「大変なんだ。子ねこが凍えて死にそうなんだ」
ノアがコートを抱きしめているのを見て、察した5人は次の行動に出ていた。
シモンが毛布を取りに部屋へと戻り、
トマスがミルクの用意をしに、キッチンへ向かう。
アンデレは部屋を暖かくするため暖炉へ、
フィリは子ねこが入るような箱かかごを探しに姿を消した。
ウリエルはノアに寄り添って、ロマイと共に暖炉の前へと移動した。
アンデレが火掻き棒で火の調節をしている。
「きっと大丈夫さ」
ロマイが優しい声で言う。
3人がかりで子ねこの毛を乾かし、それが終る頃にシモンとフィリが各々の手に
毛布とかごを持ってやって来た。
「入れてみるかい?」
シモンが言う。
「う…ううん。こうしてしばらく抱いているよ。その方がこの子も安心するだろうし…」
5人がノアの周りに集まり、彼と子ねこを見守っている。
「ミルク、温めてきたけど、飲めるかな?」
トマスがミルクを持ってきた。
「実験用のスポイトがあったから、これでどうだろう?」
子ねこの口に差し込んでみるが、ミルクが口から零れてくる。
「まだだめだね。もう少ししてから与えたらいいよ」
アンデレが静かにそう言った…。
そうして、子ねこが回復したのは二日後のことだった。
ミルクも自分で飲めるようになり、ウリエルにおかわりを催促することも。
ノアとロマイとフィリは良い遊び相手だ。
『にゃん大佐』と名前を決めたのはシモンだった。
「なんかさ、音がいいんだよね」
シモンらしい名前の付け方。
「大佐は余計じゃない?」
ノアがもっともらしいことを言う。
「だってさ、態度がでかくて、大佐って妙に納得するよ」
ウリエルが笑いながら、話に入って来た。
「おかわりをもらう時なんかさ、僕の足にチョイチョイして終わりだよ~!」
他の兄弟もそれを聞いてゲラゲラ笑い出した。
ミルクの用意はほぼトマスがやり、掃除は綺麗好きなアンデレが担当した。
7人の兄弟と冬を越したにゃん大佐は、ハンガリーに春の訪れを告げる可憐な白い花、
スノードロップが館の周りや丘に咲き乱れる頃に新たな出会いをする。
その人はスノードロップのような女の子だった。




