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転生悪役令嬢もAIの時代です!  作者: 初摘みミント


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11/17

ファイヤーウォール突破


旅立ちから数日。

揺れる馬車はようやくドロテア領の境界にある検問所に到着した。

そこでまず目に入ったのは居眠り半分で槍を杖にしている門番たちのだらしない姿だった。

エルザはジャンと目と目で通じ合えば、馬車から颯爽と降りた。

それにようやく気付いた門番がまだ眠たそうな瞼を掻きながら近付いてくる。


「おいおい。見ねえ顔だな?この先に行きたきゃ通行料として銀貨5枚…いや、あんたみたいな得体の知れないヤツを通すんだから…金貨1枚は出してもらおうか?」


下衆な笑い声を響かせながら、武器をちらつかせて門番たちは言った。

エルザの瞳は無機質に門番たちを即座にスキャンする。


(…周辺環境のサーチを開始。対象:門番2名。装備の整備状態:劣悪。呼気からアルコール反応を検知。勤務態度:重大な規約違反)


エルザは溜め息をつく時間さえ勿体ないとでも言うかのように言葉を紡いだ。


「金貨1枚、ですか。…この領地の規定では“銅貨3枚”のはずですが、あなたの要求は規定の約1,000倍に相当します。その価格設定の根拠(ソース)を提示してください」

「あぁん!? ソースだか何だか知らねえが、ここでは俺らがルールなんだよ! 嫌なら王都へ引き返しな!」


門番が威圧的に槍の石突きで地面を叩く。

その瞬間、エルザの背後から巨大な影が音もなく進み出た。

古びた外套を羽織ったジャンが、門番の前に立ちはだかる。


「…お嬢さんの質問に答えろ」

「なんだぁ!?この薄汚ねえ御者め!引っ込んでろ!」


逆上した門番がジャンを突き飛ばそうとするが、ジャンは微動だにしない。

ジャンが鋭い目つきで門番を睨むと、門番たちはびくりと肩を震わせた。

その様子を見て、エルザは淡々と解析結果を口にした。


「ジャン、時間の無駄のようです。…[関連キーワード検索:門番・裏帳簿]…ヒットしました。一週間前に隣国の密輸商人を賄賂で見逃しましたね?その際に受け取った金品は、今、そこの詰所の3番目の引き出しの二重底の中に格納されています。…違いますか?」

「なっ、ななな何故それを…!?」


エルザの言葉に顔を真っ青にする門番たち。

エルザの視線は次に彼らの握る槍へと移る。


「あなたのその槍。手入れを怠り耐久値を30%低下させている…あなたは門番としての機能を果たしていない“ジャンク品(ガラクタ)”です」

「な、なんだ…なんなんだよ、この女!」

「く、くそっ!黙れ!殺して身ぐるみ剥いでやる!」


エルザの言葉に恐れ慄く門番の一人とは別に怒りのボルテージを上げた門番が槍を振り上げる。

しかし、エルザは瞬き一つしない。

静かに言い放つ。


「ジャン。物理的なアクセス遮断(インターセプト)をお願いします。…あ、槍は公有物ですので、破壊しないように」

「…承知した」


門番が槍を振り下ろすより早く、ジャンは拳で槍の柄を握る門番の手首を正確に打撃し、痺れで指が開いた瞬間に槍を奪い取った。

痛みに手首を押さえて膝をつきながら呻く門番の片目に、そのまま流れるような動作でもう一人の門番の鳩尾に膝を叩き込み、二人を地面に這いつくばらせた。

エルザはその結果を知っていたかのように見ていた。

ジャンの行動はエルザの精密な解析に基づいた予想と寸分も狂わず、それだけで何よりも圧倒的な脅威だった。


「う、腕が…腕が動かねえ…」

「安心しろ。神経が打撃で一時的に麻痺してるだけだ。そのうち治る」


ジャンはやれやれと呆れたように言う。

二人の門番の無力化が確認できた後、エルザは怯える門番たちをゴミのように一瞥し、ジャンから手渡された槍を確認する。

そして、宣言した。


「私は今日からこの領地の新領主として着任したエルザ・フォン・アウストリアです。あなたたちの不正ログは全てアーカイブ(保存)しました。よって、クビ(デリート)です。今すぐその制服を脱いで立ち去りなさい。抵抗を継続する場合、ジャンにあなたたちの生命活動の強制終了(シャットダウン)を命令します」


エルザの言葉とジャンの鋭い眼光に射抜かれ、門番たちは悲鳴を上げてよろめきながら逃げ出した。

その様子を見送れば、エルザは馬車へ戻ろうとする。

ジャンはエスコートするように手を差し出し、馬車へ乗るエルザを手伝う。

エルザは素直にジャンの手を取った。


「…次は屋敷の連中か?」

「ええ。到着し次第、屋敷内の腐敗役人(寄生虫)を排除せねばなりませんね」


ジャンはその言葉に従うように目を閉じて頭を下げる。

エルザが乗り込めば、ジャンが馬車を動かした。

馬車は開かれた門を悠然と通り抜け、そして、ドロシア領へと静かに進んでいった。



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