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2話
「………」
僕はただただ黙っていた。
彼女を抱き締めて、『大丈夫だ』と励ます資格も、この場で土下座して楽になる権利も、
僕には無いはずだったから。
それでもやっぱり沈黙に耐え兼ねて、僕は絞り出すように答えた。
「…そっか。」
再び、音の無い時間が流れる。
心電図の無機質な音だけは変わらないまま時を刻んだ。
先に口を開いたのは彼女だった。
「私は何も悪くないのに…!!」
そこまで言って彼女は俯いた。
「あの日…貴方が『ドライブに行こう』なんて言わなければ!
こんなことにはっ……!!」
一体どこから声を出しているんだろう、と不思議に思えるくらい
低く、重い、掠れた声だった。
「ごめんね、紫乃さん…」
やっぱり僕は謝ることしかできない。
二人の体感時間を無視して、点滴が落ちる。
心電図が数回鳴った後、また掠れた声が聞こえた。
「…ううん、本当は貴方は悪くないって分かってる。
だって、私達の乗った車は何も問題なかったのよ…」
彼女が唇を噛み締めるのが分かった。




