下野 輝彦 00:40 新土
俺は「神切り」の護り手というだけでこの歪な世界に放り込まれた。
「神切り」――古来より我が家に伝わる妖刀
名の由来はその昔、災いを振りまいていた神を斬り殺した事よりその名が付いた
だが、神は死に際に掛けた呪いにより我が一族は神からの加護を受けることは無く、今まで生きてきた
正直、それでもここまで代を重ねたのは奇跡と言えるだろう
そして、俺が「神切り」を継いでから丁度一週間
俺は知らない土地に居た
全く知らない田舎の村
正直、うんざりしていた、さっさと帰ろうとした所、村人達に囲まれた
…いや、村人じゃない
あれは人間の形をした何かだ
片や頭が無いモノ、片や腹が開いたモノ
そいつ等が襲いかかってきた所から記憶は無い
それが最初の俺の結末
気付いたら、同じ所だった
そこからは、もがき続けた
繰り返すこと15回目
ここで初めてちゃんとした人間に会った
だが錯乱していて手が着けられなかった
繰り返すこと50回目
この時に初めてこの歪な世界が繰り返していることに気が付いた
何人かの人間がこの世界でもがき、最終的には全滅し世界が繰り返す
ここから俺は出口の無い世界に狂った
繰り返すこと何回目かに俺は希望を手に入れた
目の前に落ちてきた古ぼけた手帳
それが、俺にとって光だった
手帳には「神切りを覚醒させよ」「神切りの贄を」とよく分からない文があり所々血が付いていて読めなくなっていた
だが、これが希望であることは変わりない
早く「神切りの贄」を探し当てねば
そして、また歪な世界の繰り返しが始まる
見慣れた景色
変わらない泥臭い臭い
そして
走り寄ってくる人間ではない何か
「いいさ…やってやるよ」
今まで何度も振られた鍬を避ける
「神切り」を振り抜き難なく足を切り落とす
「出口が無いなら…俺が出口をブチ開けてやるよ…!!」
そして足を切り落とされもがく「何か」を崖下に蹴り落とす
崖下の闇からは落下音が聞こえる
「ここからが…俺の物語の始まりだ!」
こうして、「神切り」の護り手 下野 輝彦は闇に消えていった
06:21 下野 輝彦――生存




