美濃真矢 05:45 中打
「うぅ…あ痛ぁ…」
子供の頃からよく転ぶ
それには訳があって生まれつき私の片足は上手く動かないのだ
双子である私たちは産まれる時にちょっとした事故があって、私が足に障害を負った
香耶の事は恨んではいない、今まで私を助けてくれるし、片足を動かせない私に付き合ってくれるけど、正直言うとちょっと羨ましいなぁって思ってたり思ってなかったり
「はぁ…ヨイショッと」
ヨロヨロと立ち上がりヨタヨタと歩き始める
にしても、ここはどこなんだろう?
確か、香耶と一緒にお爺ちゃんの家に行く途中に道に迷って…森に入っちゃって…それで…それで…?
「どうなったんだっけ…?」
覚えてない、いきなり真っ暗になって気付いたらここに居た
古びた村みたいな所で人は住んでいるような所だけどさっきから人一人見当たらない
「ほんと、どうなってんだろ……ぅあっ!!」
ドテッと盛大に転ぶ
ここがどこかなのか、それ以前にイレギュラーな事態に直面していた
「うぅ…どこなのぉ…香耶ぁ…」
ここに来るまで香耶はすぐ隣に居たのに、起きた時には香耶は居なかった
今まで常に真矢の近くには香耶が居た
そんな真矢にとって「香耶が居ない」と言う事態は生涯最大のイレギュラーなのだ
香耶は常に上手く歩けない真矢をいつもサポートしていた、真矢にとって香耶は松葉杖のようなもので今の真矢は上手く歩けない
そして、このような状況に陥ると起こる最大の弊害がある
「香耶ぁ…香耶ぁぁぁ!!」
常に近くに居た香耶は、真矢の唯一の「余裕」であり、香耶が居なくなると真矢は決まってパニックに陥ってしまう
香耶の名前を叫びながら上手く動かない足で走り続ける、だがすぐに転んでしまう
「痛いよぉ…恐いよぉ…香耶ぁ…」
ヨロヨロ立ち上がりその場で泣き始める
途端、乾いた発砲音が聞こえた
「ぇ………ぁ……?」
右肩に強い衝撃が走る
少し前に後ろからボールにぶち当たったような、それ以上の衝撃に襲われた右肩に目をやる
と同時に鈍い痛みがやってくる
「ひぃ…ぃぃぃぃ!?」
真っ赤、右肩から爪の先にかけて真っ赤な液体が伝っていた
「いやぁぁぁぁっ!?痛い!!痛いぃ!!うぁぁぁあぁ!!」
血が出てる、このまま血が出続けたら?死ぬ?…死ぬ!!
ふと見ると男がこちらを見ている、その男は何かをこちらへ向けている
恐い、なにが恐いかと言えば死ぬのが恐い
ヨタヨタと必死に走る
必死に生きるために走っていった
07:45 美濃真矢――生存?




