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第四話 弁護士

私が依頼した堂本弁護士は、その筋では有名なカッパギ弁護士だった。

見た目はその筋の人みたいにいかつい。

目を付けた金融業者は、ケツの毛羽までむしり取られるという剛の者である。

依頼料は、成功報酬で二十二パーセント。

百万円取ってきたら二十二万円は手数料にとられる。

まあね、それで借金がチャラになるならオッケーだよ。


モ●ットとかア●ムなどからお母さんの名前で五百万円借りて、それもって逐電(トンズラ)したと聞いてる。

雑魚クソ親父め。

このカッパギ弁護士に頼んで、ぜったい見つけてやる。

「うちと取引のある興信所に命じて、行方をつかんで見せます。」

「お願いしますね。」

私は、百万円の札束を出して、ずずいっと堂本弁護士に差し出した。

「お嬢さん、これは?」

「先生、これは手付でございます。」

「手付け?」


「借金を押し付けて逃げた父親を、徹底的に見つけ出し、懲らしめたいのです。」

「それとこれとは、どうつながるのです?」

「ええ、貧乏な家でございますが、なんとか蓄えてまいりましたなけなしのお金です。どうかこれで調査を。」

「持ち出しなど、おやめなされ。こちらでいかようにも…」

「いいえ、これはぜひ使ってください。」

「…わかりました、では預からせていただきます。」

「どうかよろしくお願いします。」

「しっかりした娘さんですね。」

「いえ…」


「あとは、この大人にお任せあれ。」

「ありがとうございます。」

思わず私は涙を流していた。

ブスの涙など迷惑かもしれないが。


やっとクソ親父を見つける糸口がつかめた。

その喜びは、どんな言葉でも表せられない。

顔の形が変わる程殴ってやる。

前歯も奥歯もヘチ折ってやる。

あばらも手足もブチ折ってやる。

そして、内臓売らせて養育費を出させてやる。

また暗い笑いがこみ上げてくる。


クソ親父、まともな生活などできないようにしてやる。


そう思ったら、オスカルに習って魔法といっしょに、剣術を教えてもらった。

レベルが上がると、武器を振り回す力も上がる。

ついでに、素振り千回やっても平気だ。

すごい体力が付いてる。

『まあ、これがレベルの恩恵だね。』

そういうもの?

『オークとか倒すと上がりやすいんだ。』

そうかー。


そう言っていたら、向こうの木の陰から真っ黒な頭が見えた。

『お、オーガだよ。』

オーガって、オークよりつおい?

『三頭分くらい強いよ。』

うわー、倒せるかな?

『なに、でかいだけだからね、まずは膝関節・そして肘関節を狙うんだ。』

なにを撃つんだろう?

『ほらあのゴブリン燃やした時に出たやつ。』

アレかあ。

学校帰りの中学ジャージで、構える。

ファイヤー

ぼふ

突き出した人差し指の先に、火がともる。


上がれ。


私の声に、火の温度がどんどん上がる。

赤色変異から紫外線へ。

おっと、これじゃあ見えない。

少し温度を落として、赤い線にする。

温度は八〇〇℃から千℃くらい。

フィジカルブーストがかかってる、レベルのせいで勝手にかかる。

走りだすと早いよ。

一〇〇メートル五秒近い。


柵を超えて、オーガの前につく。

止まらず、そのまま膝に一撃を刺す。

「ごあああああ!」

膝のお皿にまっすぐ刺さった赤い閃光。

指を引いて下がるとぽっかりと穴が開いてる。

直径にすれば一センチってサイズ。

でも、赤い閃光はひざうらまで突き抜けている。

「ごあああああ!」

一センチの穴から盛大に血が噴き出す。

意外と気にならないのは、赤い血だからかも知れない


痛そうに顔をゆがめている。


でも近すぎてヤバいのよね。

これ、リーチ短いし。

『じゃあ、飛ばしてみたら?』

それ!

赤い閃光を逆手にもって、一気に投げた。

熱いだろうって?

いや、熱くないんだ。

『魔法使ってる本人が熱いわけないじゃないか。』


恐れ入ります。


オスカルは、爽やかに笑った。

ちぇっ、宮沢賢治かよ。

クラムボンはカプカプ笑ったよ。

あはは


刺さったのは額の真ん中。

オーガって動きがおっそい。

避けるかなって思ったんだけど、アホみたいに突っ立ってる。

ひょっとして、自分が強いから避けないのかな?

おかげであっさり倒せた。

もしかして、オーガってバカなのかな?


ずうん!

顔から前のめりに倒れた。

うひゃあ

びっくりした

オーガは身長三メートル半はあるんだ。

ふつうの冒険者は、十人で囲んで倒すらしいね。

オスカル情報。


びきびき!


いてててて

いてえよ!

身体が痛い。

骨がきしんでる。

どうしたの?

『オーガ倒したんだから、レベルアップしたんだよ。たぶん十五くらいになってんじゃない?』

それと体が痛いのになんの因果関係が…

『低レベルの体が急激にレベルアップすると、体の変化の速度が間に合わなくなるんだ。』


ほへ?


『オーガなんて、一〇人以上で倒すんだから、経験値もその分頭割りで少ないんだよ。』

ほうほう

『でも君は一人で倒しちゃったから、その分全部君のものなの。』

それで痛みが強いと。

ちっくしょ~(コウメ太夫じゃねえし)

普通なら成長速度がゆっくりだから、ここまで痛まないらしい。

なんにしても迷惑な話だ。


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