ステータス一覧と、番外編:『ダンジョンへの挑戦と元凶の出現』
62話終了時点のステータス
主人公のステータス。
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名前:トオル・トキワ(常盤 透)
剣士 レベル:7 ( 戦士 レベル:7)( 遊び人 レベル:1)
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HP:65 / 65(+10) MP:35 / 35 (+10)
筋力:18 (+3) 耐久:14 (+6)
敏捷:15 (+6) 技量:22 (+7)
魔力:12 (+3) 幸運:10
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固有スキル:
【女たらし】【奴隷使い】【ダブル】
スキル:
【鑑定】 【アイテムボックス】
【剣術:Lv.10】
称号:
【オルト村の英雄】 【バザルの卑劣漢】
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装備:
『疾風の剣』(常時:【斬撃付与】) 装備時:敏捷(+3)
『風のマント』 装備時:敏捷(+3)
『精神の指輪』装備すると魔力(+3)MP(+10)
『大地のブーツ』装備すると耐久(+3)
『命の腕輪』:耐久(+3)HP(+10)
革の胸当て・兜、木の丸盾
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ボーナスポイント:2
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【アイテムボックス】
傷薬(塗り薬): 2個
下級ヒールポーション: 2個
探索道具一式:(食料、水、松明、テント、聖水、解毒草、包帯、煙幕弾、ロープなどを複数所持)
『薄汚れた硬貨の袋』:(財布 / 残金:金貨: 30枚 銀貨: 80 銅貨370枚)
避妊薬(瓶1個分)
魔導石(アメジストの原石)1個
グレイト・スケルトンの魔石 1個
『朽ちた躯の大盾』: 耐久(+7)敏捷(-5) / 装備時:【衝撃軽減(小)】
【パーティメンバー】
渡辺 明楽 ─────────────────────────────────
名前:アキラ・ワタナベ (渡辺 明楽)
職業:魔法使い レベル:5
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HP:30 / 30 MP:55
筋力:10 耐久:10
敏捷:12 技量:18
魔力:14(+4) 幸運:19(+4)
固有スキル: 【アイテムボックス】
スキル:【スムーズ】
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装備:鉄の短剣、革のブーツ、革の胸当て、革の兜、木の丸盾
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ボーナスポイント:34
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好感度:100
隷属度:100
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番外編:『ダンジョンへの挑戦と元凶の出現』
(佐藤翔太の視点)
冒険者ギルドの喧噪が、背後から波のように押し寄せていた。
安酒と埃、それから汗の不快な匂いが混ざり合った湿った空気が、俺の肌にまとわりつく。
掲示板の擦り切れた木枠に手をつき――
俺は、ぎゅっと奥歯を噛み締めていた。
頭の中に浮かぶのは、奴隷商の男に連れ去られていった7人の女子たちの泣き顔だ。
あの悪辣な一味によって、あいつらは借金のかたに連れて行かれた。
その瞬間、俺の全身を支配したのは、吐き気のような屈辱感と絶望だった。
俺はこの異世界に召喚された『主人公』のはずだ。
なのに、どうしてこんな惨めな目に遭わなければならないんだ。
「……何とかして、買い戻さないとな」
隣に立つ健一が、整った顔立ちを曇らせながら静かに呟いた。
「ああ、俺たちで女子を助けよう。俺たちがやらなきゃ誰がやるんだよ」
健一の言葉に頷き返すと、少しだけ胸の奥の重苦しさが和らいでいく感覚があった。
そうだ、俺にはまだ仲間がいる。
俺の後ろには、子分の西村と三木も控えている。
四人で力を合わせれば、こんな状況なんてすぐにひっくり返せるはずだ。俺がこの世界の主人公なら、この苦境はただの試練に過ぎない。
* * *
「でも、これからどうするんだよ……?」
西村が掠れた声で、探るように尋ねてきた。
「薬草採取なんかじゃ、金が貯まるのはいつになるかわかんないぞ。女子たちを買い戻すなんて、何年かかるか……」
三木も同意するように頷き、ポケットの底で数枚の鉄銭をジャラリと鳴らした。
現実的な数字を突きつけられて、胸に再び焦りが込み上げる。
だが、俺はすぐにニヤリと自信ありげな笑みを浮かべて見せた。
リーダーである俺が不安な顔を見せるわけにはいかない。
「そうだな。ここはやっぱり、ダンジョンを攻略するしかないだろう」
俺の言葉に、西村と三木が顔を見合わせ、引きつった悲鳴を上げた。
「うげっ! 正気かよ!?」
「それはちょっと……俺たち、まだレベルだって低いし、早すぎるんじゃ……」
怯える二人の態度に、俺は呆れたように肩をすくめた。
これだから雑魚の思考は困る。リスクを取らなきゃリターンなんて得られるわけがないんだ。
「そんなことねーよ。見ろよこれを。俺たちが狙うのは初心者用の『巨石遺跡』っていうダンジョンだ」
俺は掲示板の端に貼られた、古びた羊皮紙の依頼書を指差した。
「初心者用と言っても、魔物も出るんだろ? 本当に大丈夫なのか」
健一が少しだけ慎重な面持ちで、俺の顔を覗き込んでくる。
「何もモンスターを倒す必要はないんだよ。俺たちの目的は金だろ? 要は宝箱からお宝を持って帰ればいいんだから、敵が出たら逃げればいいんだ。それに、ダンジョンに出るのはカマキリみたいな化け物と、スケルトンだけらしい」
俺は事前に集めた知識を誇らしげに披露した。
「カマキリは草原地帯に出るそうだから、早期発見は容易だ。こいつを見つけたらすぐに『逃げる』。で、スケルトンなんて骨のバケモノだろ? 洞窟内の通路に出るこいつとの戦闘は避けられないが、敵の動きは遅いし脆い。いくらなんでも、俺たち四人で囲めば勝てるだろ」
俺の論理的な説明を聞いて、健一の表情がパッと明るくなった。
「そうだな。宝箱だけを狙って、危なくなったら逃げる……それならいけるかもしれない」
健一が賛同すると、西村と三木も顔を見合わせ、次第に表情を緩ませていった。
「そう言われると……」
「なんか、いけそうな気がしてきたな」
「だろ? 俺に任せておけば大丈夫なんだよ」
俺は胸を張り、二人の肩をポンと叩いた。
よし、これで方針は決まった。
一発逆転のダンジョン攻略だ。
* * *
――あれから一週間。
俺たちはまだ、巨石遺跡の入り口にすらたどり着けていなかった。
理由はこの足元に広がる、ぬかるんだ悪路と、草原の先から漂う獣の不快な臭気だ。
「くそっ……またかよ……!」
木々の隙間から見える草原の先には、赤く光る目と頭部に鋭い角を生やした凶暴な犬型の魔物――ヴァイパーハウンド(毒角犬)が数頭、徘徊していた。
あの低く唸る声が遠くから響いてくる。
それを聞くたびに、俺の足はすくみ、全身の毛穴から嫌な汗が噴き出す。
モンスターを遠回りで迂回し『逃げる』という選択肢を重ねて、『あと少しで遺跡』というところまで行くのだが――どのルートを進んでも、あの毒角犬の縄張りに行き当たってしまう。
その度に、俺たちは必死で走って引き返すしかなかった。
逃げ惑うたびに疲労だけが溜まり、もともと少なかった俺たちの懐の金は、日々の安宿代と不味いパン代でゴリゴリと削られていった。
気付けば、手持ちのコインは完全に底をついていた。
* *
「なぁ翔太……今日の宿代、どうするんだよ……」
西村の情けない声に、俺は苛立ちを隠さずに舌打ちをした。
「分かってるよ! 装備を売るんだ、それしかないだろ!」
俺たちは着の身着のまま街の質屋へ向かい、まずは西村と三木の武器と防具を売りに出させた。
「なんで俺たちだけ……」と不満げな顔をする二人に、俺は「リーダーの俺と健一の装備を維持した方が、いざという時に戦えるだろ!」と怒鳴りつけて黙らせた。
だが、二人の装備を売った金も一瞬で消えた。
とうとう、俺自身の装備にも手を付けざるを得なくなった。
俺は血の滲むような思いで、銀貨三十枚も払って購入した自慢の鉄の剣を質屋の台に叩きつけた。
「……おい、足元見やがって。たったの銀貨十枚かよ……!」
買い叩かれた銀貨十枚をひったくるように受け取り、その足でボロ武器屋へ向かう。
そこで銀貨五枚で買える、刃の欠けた粗悪な鉄くずのような剣を買い直した。
手に伝わる安っぽい重みと、錆びた鉄の臭いが、俺の自尊心を酷く痛めつける。
差額の銀貨五枚で、なんとか数日分の宿代とパン代を確保する。
銀貨三十枚の価値があった俺の剣が、こんなボロ剣と僅かな食費に化けてしまった。
こんな泥縄式の資金繰りで糊口を凌ぐ毎日に、俺のイライラは限界に達していた。
* * *
ギルドの掲示板の前で、俺たちは暗い顔で依頼書を見つめていた。
「やっぱり、まだ早かったんだって……」
西村がボソッと呟く。
「でもそれじゃあ、いつまでたっても女子たちを助け出せないだろ」
三木が力なく反論するが、その声には何の覇気もなかった。
「とりあえず、金は稼がなきゃな……薬草採取でも何でもやるしかないか……」
健一も深々と溜息をつき、頭を抱えている。
「くそっ! あの犬がいなければ、今頃は宝箱まで行けてるんだよ! あの犬のせいで全部狂ったんだ!」
俺は怒りを撒き散らすように地足を鳴らした。
俺の立てた作戦が間違っているはずがない。
悪いのは全部、あの邪魔な毒角犬と、この世界の理不尽なシステムだ。
俺たちが惨めな反省会を続けていた、その時だった。
「……なあ、あれって……常盤じゃないか?」
三木が突然、ギルドの出入り口を指差して声を上げた。
俺と健一は弾かれたように振り返った。
ギルドの重厚な開閉扉から、一人の男が静かに出ていくところだった。
見間違えるはずもない。
地味で、陰気で、クラスでも存在感のなかったぼっち野郎――常盤透だ。
だが、今のあいつは俺たちの知る常盤とは違っていた。
手入れされた革の胸当てを身に纏い、腰には上質な剣を差し、背筋を伸ばして落ち着いた足取りで外へと歩いている。
その表情には焦りも悲壮感もなく、どこか余裕すら漂っていた。
「あの野郎……なんでこんなところに……!?」
俺の喉から、絞り出すような殺気立った声が漏れた。
「あいつ、オルト村にいたんじゃないのか? なんで街に出てきてるんだよ……!」
西村が信じられないといった様子で目を丸くする。
「この街に出てきやがったのか……俺たちがこんなに苦労してるのは、あいつのせいなのに……!」
三木の声にも嫉妬と不快感が混ざっていた。
俺の胸の奥で、ドロドロとした黒い怒りの火が一気に燃え上がった。
* * * * *
俺たちは、盗賊との戦闘でクラスメイトの半数を失ったその夜――。
自分たちが何を間違ったのかを必死に考えていた。
「どうしてこうなったんだ。何であいつが一人で盗賊を倒せた。あの剣はどこで手に入れたんだ? ……待てよ」
俺の頭の中で、バラバラだったピースが一瞬で組み合わさった。
思考が恐ろしいほどの速さで加速し、ひとつの『真実』へとたどり着く。
俺たちがこの異世界に召喚され、最初に発生したチュートリアルイベント――『盗賊から村を守れ』。
あの時、村長から配られた剣はたったの五本だった。
男子生徒のほとんどが丸腰で怯えていた中で、常盤の奴だけがなぜか圧倒的な力を見せ、一人で盗賊を全滅させた。
その時はわけが分からなかったが、今ならはっきりと分かる。
「そうか……そういうことだったのかよ……!」
俺は拳を強く握り締め、震える声で言葉を吐き出した。
「常盤の奴、一人でこっそりと村の倉庫に行ったんだ。あいつはそこで、転移者用の『特別なチート剣』を見つけやがったんだ。きっと!」
「え……? チート剣……?」
西村と三木がポカンとした顔で俺を見る。
俺は二人に顔を近づけ、興奮気味に言葉を続けた。
「そうだ! あのクエストをクリアするために必要だったのは『村の倉庫を調べる』ことだったんだ! 剣をもらい損ねたあいつは、自分だけコソコソ動いて、隠しアイテムの特別な剣を手に入れた! だから一人で無双できた!」
剣の数が少なかったのがヒントだったのだろう。
プレイヤーは武器が足りなければ、まだ武器がないかと村の中を探そうとする。
そして、倉庫を調べればあの剣が見つかる。
それが、クエストをクリアするために用意されていた『仕掛け』だったんだ。
俺の完璧な推論に、健一も深く頷いた。
「なるほど……それなら辻褄が合うな。常盤みたいなやつが、特別な能力もなしに一人で盗賊を倒せるわけがないんだから」
「そうだろ!? つまりあの剣は、本来なら『クラスみんなの物』だった! それをあいつは共有せずに独り占めしてやがる!」
俺たちの胸の中で、常盤に対する激しい憎悪と「正当な怒り」が確定した。
あいつが剣を見つけた時に、それを大人しく俺に献上していれば――クラスメイトは誰一人死なずに済んだんだ。
この推理を皆で共有し、奴に対する憎しみを生き残り全員に植え付けてやった。
そして俺はこの町に来て、まとまった金が入ってすぐに『値段の高い剣』を買った。この異世界を攻略するカギは高価な剣だと分っていたからだ。
しかし、銀貨三十枚の剣には特別な効果は何もなかった。
つまり、奴が独り占めした剣は、銀貨三十枚以上の価値のある超高額な剣だったんだ。
それを、あいつは――
* * * * *
あいつは俺たちから『勝利の権利』を盗んだ泥棒だ。
そのせいで俺たちは異世界で苦戦し、女子たちは奴隷として売られ、俺はボロ剣を掴まされることになった。
そのタイミングで、あの卑怯者がこの街に姿を現した。
あの剣を持って――
「運が向いてきたな……」
俺はギラギラとした目で、もうとっくにギルドから去った常盤の幻影を睨みつけた。
「おい、西村、三木。お前ら今すぐあいつに接触して、あの剣を『借りて』こい」
「えっ!? 借りるって……どうやって?」
狼狽える二人に、俺は冷酷な笑みを向けた。
「簡単なことだろ。友達のいないあいつなら、話しかけられれば嬉しくなって絶対に油断する。こっちの狙いに気付かれないように上手いこと話し込んで、隙をついて頂戴してくるんだよ」
「ああ、そうだな」
健一も爽やかな笑みを浮かべながら、後押しするように頷いた。
「あの剣さえ手に入れば、俺たちがこんなに苦労することはなくなる。あの犬だって一撃で倒せるようになる。元々俺たちのものなんだから、回収するのは当たり前の権利だろ?」
「そうだな……! きっとあいつ、油断しまくるよな!」
「あの剣さえあれば、俺たちだって……!」
俺と健一の説得に、西村と三木も目を輝かせ始めた。
二人は大きく頷くと、常盤の後を追うように走り出していった。
「ふふ……あははっ!」
あいつらの後ろ姿を見送りながら、俺の口から歓喜の笑いが漏れ出た。
見ろ、世界はやっぱり俺を中心に回っている。
ズルをした悪者は裁かれ、主人公であり真の所有者である俺のもとに『勇者の武器』がもたらされるんだ。
あの剣さえ手に入れれば、毒角犬なんて簡単に切り捨てて、巨石遺跡から『お宝』を回収できる。
女子たちもすぐに買い戻せる。
「本当に、運が向いてきたな」
「ああ、あの剣さえあれば、なんとかなる」
健一と顔を見合わせ、俺たちは心からの笑みを浮かべた。
(第41話:『情報収集と、小者たちとの接触』へと続く)




