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戦略級魔法使いの日常  作者: 平画久遠
第一部

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龍の牙03

 アドフルの後を追うと、近くの衛兵の詰所にたどり着いた。

「子爵様。私と共に来てください。発見した遺跡の遺物のもとに飛びます」

 一人の術士が礼をした。

 術士にしては筋肉があり鍛えている体だった。実戦向きな術士であるようだ。

 僕はアドフルを見る。

 アドフルはうなずいた。

 知らない人間ではないようだ。

「わかりました。お願いします」

 アドフルは僕の肩を背後から触った。

「それでは」

 術士が差し出した手を取った。

 そして、転移の魔術で移動した。

 出た場所は静かな住宅街である。しかし、一角が明るく騒いでいた。

「こちらです」

 僕はそういった術士の後を追った。

 そこには起動している遺物があった。

 ロボットであるが、体は小さかった。聖霊が入っているロボットとは少し違った。

 ロボットはレーザーを放つ。すると、鎧に赤い線が走った。

 体と同じく出力は低いらしい。鉄の盾を焼き切れていなかった。

「ドラゴンスレイヤーをお連れしました」

 術士は叫んだ。

 すると、ロボットを囲んでいる衛兵たちはロボットから距離を取った。

 僕はフローティングの魔術と共に飛び上がった。そして、上空からロボットを視認するとドラゴンブレスを放った。

 ドラゴンブレスの力の塊はロボットを飲み込んだ。

 ロボットは手足を残して消えた。だが、問題はある。聖霊族が出てくる可能性があるからだ。

 だが、ロボットが消えた後は何も変化はなかった。

『クーさん。仲間の聖霊族は近くにいませんか?』

 僕は頭の上の聖霊に話しかけた。

『いないよ』

『そうですか。わかりました』

 ロボットは聖霊をエネルギーにして動いていると思ったが違うのかもしれない。それに小型だったから、聖霊は使っていないと考えられる。

 僕は地上に降りた。

 衛兵たちは喜んでいる。しかし、負傷者はいるようだ。担架を持ってくるように叫んでいる衛兵がいた。

「次は?」

 僕は術士にきいた。

 術士はドラゴンブレスを見て驚いているようだ。魔術師ならドラゴンブレスの威力を理解できる。僕でも破壊力があり過ぎと感じていた。

「……はい。次に行きます」

 我に返った術士は手を伸ばした。

 僕はアドフルが肩に触ったのを確認して、術士の手を取った。

 二度目の転移で訪れたのは鍛冶屋が並ぶ工業地帯だった。

 そこでも、ロボットが暴れている。

 だが、このロボットも小さい。レーザーも威力が低く鎧を焼き切れていなかった。

「ドラゴンスレイヤーをお連れしました」

 術士は叫んだ。

 皆はこちらに気づいてロボットから離れる。しかし、ロボットと接近戦している衛兵がいた。

 僕は構わず、上空に飛んで狙いを定める。

『三秒、離れて』

 僕は闘っている衛兵にコールの魔術で伝えた。

「無理!」

 衛兵は防御するだけで離れられないようだ。

 僕はロボットの懐の地面に降りた。そして、手のひらで突くようにドラゴンブレスを放ち、体を消した。

 極太の光線のようにしたので足が残るだけで体は消え去っている。

 僕はまた周囲の魔力の変動を感じる。しかし、大きな気配はない。聖霊はいないらしい。

『クーさん。ロボットの中に仲間がいたら感じますか?』

 僕は聖霊にきいた。

『わからないー』

 やはり、ロボットには聖霊を封じるような装置があるようだ。魔力を遮断する何かの物質があると思う。

 僕は術士の下に戻った。

「次、お願いします」

 僕は術士にいった。

「お待ちください。他の三体は倒したようです」

 術士にはコールの魔術が届いているようだ。他の誰かと話しているようだ。

 僕は導師が動いたと思った。導師なら僕より早くロボットを潰せる。だが、他の要素も考えに入れておかないと失敗する。僕と導師ではなく、他の騎士や術士が倒した可能性がある。

 僕はアドフルを見た。

 アドフルもコールの魔術を使っているようだ。こめかみを押さえていた。

「子爵様。五体とも片づけたようです。これで、終わりです」

 術士は笑った。

 僕は術士のように喜べない。

 父が宣戦布告したのだから、あっさり終わることはない。他の策が動いているはずである。

「アドフルさん。遺物であるロボットがいない地域はありますか?」

 僕はきいた。

「ありますが、多いです。把握できません。……子爵様はこれで終わっていないと思っているんですか?」

 僕はうなずく。

「父なら、本命が他にあるはずです。嫌がらせにしては小さいです。本命を探してくれませんか?」

 アドフルはうなずいて、コールの魔術で連絡を取った。

「私も、確認した方がよいですか?」

 ここまで連れて来た術士はいった。

「はい。お願いできますか? 余りにも簡単に終わっています。撒き餌でしかないと考えられます」

「わかりました。詳しい情報をもらいます」

 術士もコールの魔術で連絡を取っていた。

 僕は導師にコールの魔術を使った。

『シオンか。こちらは二体、消した。それともう一体は騎士団で潰したらしい』

『消し去ったのですか?』

『いや、普通に破壊した。そして、一人の術士が壊れた遺物を転移の魔術で廃棄した。そこで、爆発したらしい。転移した術士は火傷を負うぐらいだったようだ。爆発の規模は小さいようだ』

 聖霊が出てきたロボットとは作りが似ていても、力は小さいようだ。

『そうですか。これで終わると思いますか?』

 僕は本題をきいた。

『ないな。準備していたのなら、もっと大きな花火を打ち上げる。まだ、続くぞ』

『わかりました。僕はアドフルさんと行動します。ケガをしないでください』

『それはこちらのセリフだ。それより、深追いはするなよ。相手が相手だ。罠ぐらい張っているのは容易にわかる。だから、逃げられてもよい。本来なら、騎士団や衛兵の仕事だからな』

『わかりました。気を付けます』

 僕はコールの魔術を切った。

 僕は術士を見る。

「新たな情報はありません」

 術士は顔を振った。

「こちらも一緒です」

 アドフルはいった。

「では、少し休みましょう。本命の花火が上がるまで」

 僕は二人にいった。

「終わりではないのですか?」

 術士は驚くようにいった。

「本命はまだです。それは、導師も同じ意見です。……あっ。僕の親であるランプレヒト公爵の意見でもあります」

 僕は二人を見る。

 二人は話し合っている。そして、すぐに話はまとまったようだ。

「子爵様は詰所でお休みください。そこまで、お送りします」

 術士はいった。

 僕とアドブルは詰所に行った。

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