遺跡と聖霊と勇者06
皆が遺跡から移動する。
僕は導師とそれを見送っていた。
ふと、雷が落ちた。
勇者の一団の魔術師が雷撃を落としたようだ。
「シオン。皆の避難が終わったら逃げるぞ」
導師は勇者にあきれていた。
僕も同じ気分だった。
見ていると、何度も雷撃が遺跡に落ちた。そして、大きな卵型の遺物が空に浮き上がった。
そして、形を変える。卵型の太った人のようだった。
勇者の一団は好戦的のようだ。その遺物に向かって攻撃魔術を放っていた。
勇者たちは闘っている。だが、遺物のロボットは平然としている。そして、勇者たちに攻撃をしていた。
ビーム兵器だろう。赤い線が幾筋も乱舞している。
勇者は平気そうだが、仲間が何人も地に伏している。起き上がる様子もない。
「導師。生き返る魔術はありますか?」
僕はきいた。
「ないな。残念だが、勇者に従った愚かさを嘆くしかない」
僕はやるせない気持ちになった。
勇者の存在をよく知っていれば仲間になろうとはしない。だが、勇者は自身はどう思っているかわからなかった。
生まれ落ちてから勇者になる運命ならかわいそうだと感じる。道を選べないのは貴族と一緒だが、存在自体が害悪としたら救われない。呪われているといっていい。
遺物であるロボットとの戦闘で勇者は仲間を失っていた。残っている仲間は二人だけだ。
その二人がゲートの魔術で空間に通り道を開けた。
どこかにロボットを廃棄するようだ。
しかし、そのゲートを通ったのは勇者だった。そして、二人の魔術師は後に続いた。
それを見た導師はあきれていた。
だが、脅威は残っている。導師は避難が終わっていないため動けない。こちらを認識したら闘うしかないようだ。
僕はロボットが魔術に干渉できないのがわかった。ゲートの魔術なら、魔術師ならどこにつながるかわかる。だから、魔力を使って動くロボットではないようだ。魔力を使ったら勇者の後を追ってゲートに干渉しているはずである。
電気による機械式なら電撃に反応した理由はわかる。しかし、確証はない。
ロボットが僕たちを認識して近づいてきた。
背後のバーニアで浮遊して移動している。遺物にしては前世の記憶のロボットのような動きだった。だが、前世の僕が生きていた時代より、はるかに未来の技術だった。
「やるしかないな」
導師はいった。
勇者が逃げた今では食い止めるのは導師と僕しかいないらしい。
僕は覚悟を決めて、空間魔術で倉庫から黑い杖を出した。
「お前は逃げろ」
導師にいわれた。
「嫌です。それに導師が死んだら行き場所がありません」
僕は導師の言葉に怒った。
「それなら、ジスランを頼れ」
「それでも、やるだけやってから逃げます。導師の方がいいですから」
僕は怒りながらいった。
「仕方ないな。……死ぬなよ」
導師の声は優しかった。
「もちろんです」
僕と導師は二手に分かれた。
僕は手を振ってブレイクブレットを動作発動で爆撃した。
ロボットはダメージを負っているのかわからない。しかし、ホバー状態をやめて立っている。
ロボットはこちらを見た。
僕はドラゴンブレス《龍の咆哮》で覚えたドラゴンシールドを展開した。
放たれたビームの光線はドラゴンシールドで防ぐことができた。
ドラゴンの力は有効のようだ。ドラゴンブレスも効くかもしれない。
導師がライオットの電撃で攻撃していた。
電気式のロボットなら過電圧でショートして断線するかもしれない。
だが、ロボットは元気に立っている。
僕はクラッシュの魔術を放った。しかし、ロボットの表面を削るだけだった。
『シオン。引き付けてくれ。帝級の魔術を放つ』
導師からコールが届いた。
『了解』
僕は答えてブレイクブレットの威力を高めながら撃ち込んだ。
僕はロボットとの打ち合いになった。だが、どちらも消耗はしていない。威力を高めて撃ち込もうかと考えるが、今は注意を引き付けるのが先決だった。
ブレイクブレットを撃ち込んでいると、空に光を感じた。
空を見ると、白い小さな光があった。それは次の瞬間大きくなった。太陽が咲いたように見えた。それほど、高温で大きい火の玉だった。
その太陽は落ちてきた。
僕は転移で危険範囲から逃げた。
ロボットは太陽に飲まれた。そして、太陽は地面を焼いて潜っていった。
太陽は長く地上に存在した。それは全てを焼き尽くすような存在だった。五分ぐらい地面を焼きながら熱と光を放っていた。
火の玉がなくなると、クレーターができていた。
それは高温で土ごと焼き尽くしたようだ。
だが、ロボットはクレーターの底で存在していた。
遠目で見るとロボットはまだ動こうとしていた。
僕は反射的にドラゴンブレスを放っていた。ブレスはロボットの肩から胸を貫く。
ロボットは力尽きたのか倒れた。
損壊状態から考えると倒したはずだ。だが、ロボットの内部から光が発するのが見えた。
『自爆かもしれません』
僕は導師にコールした。
『わかった。お前も離れろ』
導師は自分が作ったクレーターから離れた。
僕もドラゴンシールドで身を守りながら下がった。
やがて、クレーターの下から爆発が起きた。




