龍と人間爆弾06
『長よ。この者を殺せば済む話ではないですか』
一頭の一番小さい龍が前に出た。
また、ざわざわとうるさくなった。
龍たちは楽しそうに好き勝手にいっている。
『この者を殺せば爆発して島が消えるぞ』
長はいった。
『その爆発ごと吹き飛ばして見せます』
『おぬしにはできんぞ』
『できます』
周りは笑っている。
前に出た小さい龍ははやし立てられて、後に引けないようだ。
『小さき子よ。すまんが遊び相手をしてくれ。こやつは戦いの経験がないのだ』
長は僕にいった。
『龍族に人族が勝てますか?』
『普通は無理だな。だが、こやつは幼い。まだ、満足に魔法も使えんのだ』
『長。私は使えています。何年生きたと思っているんでしょうか?』
前に出た龍はいった。
『三十年だな。まだまだ、幼い。龍族は五百年生きて成人だ』
計算すると人族では一歳ぐらいだ。
だが、人間の一歳と比べると知能は高い。人間と比べるのは間違いのようだ。
『人族よ。長の許しが出た。死んでもらう』
小さい龍は前に出てきた。
『小さき子よ。殺さないように手加減してくれ』
長はいった。
もう、戦い以外に道はないようだ。
「ガァー」
小さい龍は首を僕に伸ばしてほえた。
僕はその顔を固めた空気で殴った。
龍の首は衝撃で横に動いた。
小さい龍は攻撃されて驚いているようだ。
「ブレイクブレット」
水の弾を四十発ほど展開して放った。
弾は龍の体を叩く。だが、傷はつけられない。
小さい龍は「ゴフゴフ」とうめいている。
威力が弱いらしい。
再度、水の弾を展開する。
今度は弾数を減らして威力を上げた。
『そこまでだ』
大きな龍の顔が射線上に入った。
僕は展開した術を解いた。龍の頭には防御膜があり弾かれるのがわかったからだ。
小さい龍は横になっている。死んではいないが起き上がらなかった。
『まだ終わってないぞ』
周りの龍は好き勝手にいって笑っている。
面白い見世物のようだった。
『すまんな。こやつにはよくいっておく。だが、龍族に人族が勝てるとは思わないでくれ』
長はいった。
『ええ。本当なら防御膜だけで弾かれるだけですから』
『ふむ。見えていたか。まあ、幼体の龍に勝っても自慢はできないだろう』
間に入った龍はいった。
『これで話は終わった。小さき子よ。何かきくことはあるか?』
長はいった。
『はい。浮島には観光で来ることは可能ですか?』
僕はこの島を調べたかった。
『この島はわしらの縄張りだ。他種族が遊びに来るのはやめて欲しい。だが、わしらに話があるのなら来るといいだろう。こちらからも使いを出す。……浮島は他にもある。龍族だけでなく、有翼族が治めている浮島もある。だから、他の浮島には気楽に行けると思わずに、慎重になって欲しい』
『そうですか。わかりました』
ごねても機嫌を悪くさせるだけだ。ガマンするしかなかった。
『うむ。土産もなく帰らせるのは許して欲しい』
『いえ。重要なことを教えてもらいました。それだけで結構です。ありがとうございました』
頭を下げると、地面に光るものが目に入った。
『あの……。その光っているのは、何ですか?』
僕は指を指してきいた。
『抜けた龍のうろこだな。これが何か?』
『もらっていいですか。滅多に手にできません。もちろん、王様でも』
『こんなんで良ければ、持っていくといい』
地面に落ちている龍のうろこを手に取った。
表面は黒く汚れているが裏面は虹色に見えた。
ふと地面に落ちていた龍のうろこが浮いた。
念動力だ。龍は手の代わりに魔術を使うようだ。
『箱を出せ。その中に入れてやる』
念動力でうろこを持ち上げた龍はいった。
僕は空間から箱を出した。そして、中身は空間に入れて地面に置いた。
『お願いします』
地面に落ちているうろこは箱の中に入っていく。すぐに満杯になった。
『こんな物でおぬしの長は喜ぶのか?』
空間の倉庫に箱を入れていると長はいった。
『ええ。希少な物です。喜ぶと思います』
『そうか。土産を持たすことができて良しとする。では、さらばだ』
『はい。ありがとうございました』
僕は頭を下げた。
そして、頭を上げると手を振って広場から出ていった。
歩いて浮島に生えている草や飛び出した鉱石を見ながら来た道を帰った。
そして、浮島に連れて来た龍が見えると走った。
「シオン。ケガはないか?」
導師にいわれた。
「はい。大丈夫です」
「それより、龍の用事は何だったのだ?」
宰相は厳しい顔でいった。
『話は自国でしてくれ。私の仕事を済ませたい』
浮島まで連れて来た龍はいった
『申し訳ない。焦りが出てしまった。申し訳ないが、空を飛べないので運んで欲しい』
宰相は答えた。
『元よりそのためにいる。おぬしの国に返すまではこちらのいうことをきいて欲しい』
『わかっている。道中、頼む』
『もちろん』
そして、僕たちは王都の正門に帰ってきた。




