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逃走側の大切な人

さて、今俺はどうしようかと迷っている。

隣にいるのは一さんという俺が友人、と思っている人が酔っ払って俺の腕に寄りかかっている。

さて、本当に、本当にどうしようか。

こんなことを考えているときでも顔は熱い。

ま、まずは会計か。だが、どうやって店員を呼ぶ?ボタンを押せば来てくれるが、この状態を見られるのか?

恥ずかしさのせいでなかなか手元の店員呼び出し兼会計ボタンを押せない。

クソッ!臆病者め。

俺はかなり焦っている自分を治めるために手元の酒を一杯あおる。

ふぅ。酒を飲み、アルコールが体をめぐり焦った気持ちを少しずつ治めていく。

…………そうだ。一さんを椅子の背もたれにかけさせればいいんだ。

何でこんなことを思いつかなかったんだろう。

俺はさっそく会計ボタンを押し、一さんの華奢な体を起こして背もたれにかけさせようとした。

軽いな………。本当に大丈夫なのだろうか。

そう思いながら、ゆっくりと持ち上げていると一さんの腕が俺の腕をとり、こっちへさらに寄ってきた。

…………本当に顔が熱い。

恥ずかしさのような、恥ずかしさではないようなそんな不思議な思いを真っ赤な顔で感じていた。

そして、会計のために店員がこちらへ来た。

そのせいで、さっきまでの感情とは少し違う、恥ずかしさを感じた。

「…………ちっ。お会計2400円となります。」

その店員は妬ましそうな目でこちらを見て舌打ちをした後に金額を言った。

やめてくれ。これはそういうのじゃないから。どっちもそういうつもりはないから。

俺はその店員の恨むような視線に必死に耐えながら2400円を財布から取り出して払った。

「…………はい。ご来店ありがとうございました。」

その店員はそう言って足早にどっかへ行った。

そういうことじゃないんだって…………。




俺はその後、かなりの時間をかけて一さんを席からおろし、肩に腕をかけ、店を出た。

店内でも周りの目がとても痛かったが、その目を気にしないように努め、外に出た。

時刻はとうに12時を回っており、冷たい夜風がさっきまでの熱い顔を一気に冷やした。

どうすればいいんだろうか。こんなに遅い時間だから家とかに連れて行ったほうがいいんだろうが、一さんの家は知らないし、俺も家を持っていない。いまだにホテルを転々する生活だ。

まぁ、このままでは風邪をひくだろう。それはこちらもうれしいものではない。

とりあえず今日のホテルに連れていくか。

そうと決まればさっそく今日のホテルへレッツゴーってやつだ。




ホテルに着くと、こんな時間までやっている受付へと行き、

「すいません。友人が酔ってしまって。家も遠いので部屋をとれないでしょうか。」

俺がそういうと、一瞬受付は疑うような目をしたがすぐに戻し、「ほどほどに」と言って許可をしてくれた。

「ほどほどに」ってなんだよ。

その後、部屋に一さんを運びベットに寝かせた。

「おやすみなさい。」

俺はそう言って部屋を出た。

まぁ、なんというか。一さんがいたおかげで俺はずいぶんと楽しく過ごせている。

それの恩返しみたいなものだ。




夜風が少し長めの髪を優しくなで、夜空に瞬く星々と地上にあふれる光が夜の静かな町を明るく彩っていた。

屑野郎に会いに行くんだ。気持ちは美しねぇとな。

…………何が美しいのかも知らねぇけど。

「何が美しいのでしょう。何が醜いのでしょう。何が善なのでしょう。何が悪なんでしょう。」

そんな、懐かしいことを口ずさみながら醜く、美しい夜の街へと繰り出した。

ビルの上を転々と飛んで目的の屑野郎を探し出す。

俺は自分の好きなこととかを傷つけたりけなしたりした奴らを決して許したりはしない。

復讐を悪いことだとは思っていないしな。

そんなこと、いや、自分を正当化しているだけなのかもしれないが。そんなことを考えている間に目的地に到着したようだ。

俺はそいつの部屋の窓から鍵を開けて侵入し、隣に立った。

そして右手で7.62ミリ型単装拳銃を持ち、そいつの額に狙いをつけながら左手で小型の音声機をそいつの耳元に置き、ビーという電子音を流した。

「うわぁぁ!」

「黙れ。」

そいつはすぐに置き、声を出したが、それも一喝して黙らせる。

「動くな。」

そいつに見せつけるように引き金にゆっくりと指をかけて脅す。

「や、やめろ。命だけは……。」

典型的な言葉をこいつは吐いた。

…………だっせぇ。

「俺は、なんといえばいいかな。しいて言うなら使者だな。」

「し、使者?な、何の用………。」

「ちょっとした、忠告をな。今の仕事をやめろ。」

「………そ、そんなことすれば俺が生きれない。」

「そんなこと関係ねぇ。ほかの職を見つければいい。」

今のところ、うまいことこいつは我が身可愛さにこちらへ従う様子だ。

「まぁ、このままあの職を続けてもいい。だが、部下へ手を出すのをやめろ。誰の女だと思ってんだ。」

「ひ、ひっ!お、お前の女だとは知らなかったんだ。も、もうしない。」

「ほかの部下には?」

「もちろんしない!もう心を入れ替える!」

「次やったら………まぁ、わかるよな。」

俺は最後に銃口をそいつの額に押し付け、最大限脅した後に部屋を出て行った。




俺はあの後ビルの屋上に座り、冷たい夜風を全身に受けていた。

かなり偽造したところ、俺の女みたいな言い方したところとかがあったが、まぁいいだろう。

あの後また夢を見させるようにしているからこれ以上やることはないだろう。

まぁ、うまくいってよかった。あの銃は弾薬も装填してないしセーフティーもかけていた。

最初から打つつもりなんてなかった。

いやぁ、疲れた。疲れた。

読んでくださりありがとうございます。評価等お願いします。

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