殺害側 総括をぶっ潰そう
「総括をぶっ潰そう。」
「…………それは何の冗談だ?」
「冗談?そんなんじゃねぇよ。」
「ならどういうことだ?もう少し詳しく説明をしていただきたいな。」
「少し長くなるが………まぁいいか。」
暇なんだろ?なら付き合え。といい、そいつは話をつづけた。
「なぁ、お前も第三の態度は見たろう。お前の目にはあいつらはどう映った。」
「…………そうだな、貴族ってやつだ。」
「そうだろうな。貴族ってのは身分だ。権力社会、人間と同じだろう。」
「まぁな。」
まぁ、こいつが言っているのはおそらく人間と同じように格差があってはいけないという主張だろう。
「そんな格差、許せるものではない。」
「その格差を俺は今まで知らなかったし特段害があったわけではないがな。」
実際、貧困格差というのは問題で、全員平等であるべき。というのは否定しないが、総括と各部署の関係は相当薄い。総括が貴族だろうと口を出してこない以上、害はない。
「まぁ、だろうな。だが、この状況は総括が手を出していないことで成立している。」
「そうだな。」
「そんな状況の中で今回の事件だ。総括の連中の協力する目的は何だった?」
「………自分たちの支持率、というか影響力低下を解決するため。だったけな。」
「そうだ。つまり、今回の件で影響力を強めることができる。」
「それで、無関係だったのが手を出してきて害が発生するということか。」
「そういうことだ。あいつらに俺らの仕事の方向性をすべて任せればどうなる?」
あの自分たちこそが正義と信じる奴らがすべてをやる。過去に仕事をしたこともない奴ら。確かにそんな奴らがやれば問題だらけなのはわかる。
「あいつらに任せれば人間は滅びる。行き過ぎた開発、正義の皮をかぶった戦争。これが横行する。」
「…………まぁお前の主張はわかった。言っていることも別に間違っていないように聞こえるしな。」
だが、と一拍起き、
「それが必ず起きるとも限らない。」
「まぁな。」
「あくまでお前の言っていることは予想に過ぎない。総括の連中もただ自分たちの支持率を上げたいだけかもしれない。」
「まぁそうだ。」
「第一にしちゃ確実性のない主張だ。いったい、誰に吹き込まれた?」
俺がそう問うと、しばらく黙った。そしてしばらくして話し始めた。
「玲、目標といったほうがいいかな。」
…………。
「ある日、つっても数日前だ。今話している通信機に連絡がきた。そこでこれを教えられた。」
「弱い根拠を信じるのか。」
「まぁな。だが、ほかにも理由はある。お前も、少しは揺らぎそうなやつがな。」
そりゃなんだろうな。
「開発管理部はおそらく真っ先につぶされる。」
「は?」
「開発管理部は人間を支配するのになんだかんだ言って最重要と言っても過言じゃない。それに、犯罪者っていう筋書きにするやつを出した部でもある。適当なものをでっちあげれば支配するいい口実ができる。」
「…………。」
「お前は昔、警備所に拾われただろ。もともと務めていた部署がつぶれて路頭に迷っているお前を。」
…………事実、俺は警備所に恩がある。それに、警備所に入れたのは開発管理部の恩情もある。
俺はよく義理堅いといわれるが、本当にそうなのかもしれない。
警備所がつぶれないために。開発管理部がつぶされないように。
また居場所がなくなってしまわないように。
そのために命を懸けて目標、玲を殺そうとした。
「お前にも、俺にも関係があるだろ。俺だってこの警備所じゃなかったらっていうのは考えたくない。」
「まぁな。だが、だ。それは洗脳じゃないのか?」
「洗脳?」
「考えろ。目標、玲にそれを吹き込まれ、あいつの力で信じるものを捻じ曲げられたんじゃないのか?」
確かに、こいつの言っていることは筋が通っていると思う。だからといっても俺も簡単に博打に乗るわけにはいかない。
「洗脳、か。確かにそうかもな。」
そいつは案外簡単に認めた。
「だが、それでも俺はいい。洗脳ってのはそういうものだ。それが最も素晴らしい、それが正義だと信じる。今の俺の正義はこれだ。俺はそれを遂行したい、ただそれだけだ。」
…………まぁ、洗脳ってのはそうか。それを正義と信じる。それが悪だろうと関係ない。自分の正義を突き通す。
俺も、洗脳されてきたのかもな。
「はっ。そうか。いいだろう。その博打のってやる。」
「ありがとうよ。………これが布教ってやつなのかもな。」
そういい、あいつは通信を切った。
「ふぅ。」
今見ると、総括の第三は休憩中だった。
第一の連中を見ると、一切疲れていない。だが、精神的には疲労しているようだ。
「おい!お前!どうだ見たか俺らの強さを。」
「まぁ、見ましたよ。」
「あぁ⁉なんだその態度は。こっちにこい!地面に這いつくばらせてやるよ!」
酒に酔った様子で、そいつは叫んだ。
しょうがねぇ。行ってやるか。
「かかって来いよ。」
そいつは右手で挑発するような動きをし、赤くなった顔でこちらを向いていた。
その様子が面白くて吹き出しそうになるのを必死にこらえた。
「こねぇならこっちから行ってやるよ!」
そう言ってそいつはこっちに来た。
俺はそのおっせぇ攻撃を足払い一発で止め、そいつを地面に這いつくばらせてやった。
そして、驚いた様子を見せるそいつの首元にナイフをつきつける。
「俺の勝ち。」
そう言って俺はナイフを元に戻した。
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