暗殺側 総括
作戦失敗。
たった四文字。この四文字で俺の長い神生が終わった。
だがまぁ。俺はなんだかんだ言ってすっきりとした気分だった。
これから少なくとも神というのは剥奪されるだろうが、これで永遠に終わらない仕事が終わったわけだ。
素直に俺はこの運命を受け入れよう。
そう思い、あいつを追う仕事を渡された場所に向かった。
扉の前に立ち、深呼吸をする。
ここまで来て今までのことを思い出す。
警備所。おそらくもうここは解体されるだろう。ここ数百年は何も手柄なんかあげてなんかない。
一応俺はここに恩がある。この仕事を成功して恩返しと行きたかったんだが。
「…………。行くか。」
ごだごだ言っていても何も変わらない。
扉を三回ノックし、失礼します。といい、扉を開けた。
中は………あの時と違い、物が減っていた。おそらく部長もうすうす感づいたんだろう。退去の準備をしているようだ。
だが物は減っても書類は増えるようだ。解体前は仕事が多くなるのだろう。
最後というのを節々から感じながら部長の机の前に立つ。
「………ふぅ。残念だ。」
「はい。申し訳ありません。わたくしの詰めの甘さによるものです。奴を甘く見積もりすぎました。」
「いや、いい。大丈夫だ。」
なんだ。珍しく素直に認めたな。
「総括がバックについてくれた。」
「は?」
純粋に声が出た。
総括………。すべての部署をまとめる奴らじゃないか。
そんなお偉いさんがなんで一部署の隠蔽に協力するんだ?
「総括の連中も最近支持率が下がっていることが気にかかっているようでな。奴を捕まえてから悪役に仕立て上げることで支持率を上げるという予定らしい。」
…………。確かに総括はここ数百年まとめているだけで何かすごいというのは特になかった。俺だって特に聞いたことはない。戦争の混乱を鎮めて天界を治めたといわれているがあくまでまた聞きだ。真偽なんて知ったことじゃない。
「そこで、だ。我々も協力すれば総括からの評価が上がる。お前はこれからも仕事を続けろ。」
「…………了解。」
「あぁ、そう。これからブリーフィングが始まる。お前も参加しろ。」
ブリーフィング。作戦会議みたいなものだ。
総括側がほとんど作戦の立案はやるだろうし、実行自体もあっちの練度の高い部隊がやるだろう。
あくまでこっちは支援。ほとんどはあいつらがやる。
だから、おそらくこっちはほとんど何もしないんだろうな。と思いながらブリーフィング用の機械の電源を入れる。
下界ではノートパソコンといわれているらしい。
『ただいまから旧下神軍兵確保作戦のブリーフィングを開始します。この作戦は開発管理部警備所と総括の合同作戦です。警備所の方々も意見があれば発言をお願いします。』
旧下神軍。数千年前ほどに起きた戦争の反乱側というのが正解かな。
当時、上神と下神という神の中でも階級があった。立場や権力などが弱かった下神が愚かな人間と同じような不平等はやめるべきだと反乱を起こした。
今回はあいつがもう平等になったのにまたも反乱を起こそうとしているから捕まえるという設定だ。
『まず現段階の作戦ですが、目標に現在与えられた有効な打撃は38式のみです。このことから目標はすさまじい速さの弾丸に対処することは難しいということです。』
『だからと言って下界で轟音を出す38式を大量に撃つわけにはいきません。そのため、我々総括の力を使い、あたり一帯白色の部屋へ転送します。その部屋なら何をしようと人間どもには何も感づかれません。あとは煮るも焼くも好きにできます。』
なるほど。そんな作戦であいつを殺せるのか?
こいつらは捕まえるだとか言っていたが殺す気だ。それは想定内だが、あいつがこの程度でやられるとは思わない。
『すいません。奴は当時の戦争の兵士なのでしょう。それならば現在の兵士とは違う力を使えるはずです。例えば………テレポートとか。』
『それについては………。目標は警備所の第一特殊部隊と交戦した際、すぐには逃げず、遊ぶように戦っていました。そのため最初、警備所の兵士の方々に交戦していただき、目標と遊んでいただき、油断させます。その後、油断させたところに38式と同じ構造をした大口径徹甲弾R-2を使用します。』
なるほど。確かに38式を固定砲で撃つようなR-2なら当たれば体が吹き飛ぶだろう。
だが、だ。
「R-2の攻撃に警備所の兵が巻き込まれる可能性は。」
総括は直接あいつと刃を合わせない。
被害が出るのはおそらくこっちだ。
『…………。直前に退避命令を出します。』
「直前で間に合うわけないでしょう。それに急に離れればあいつに感づかれます。」
『しかし、第一特殊などであればバックステップでも十分に距離が取れるはずです。』
俺はそいつらが言い終わるのを待ち、言い終わってからも少し間を置いた。
「あいつと必死に戦い、重傷を負った第一にまたも少しミスをすれば死ぬ作戦をさせるのですか。」
それに、と一拍おき、
「38式をもう少しでよけれた奴ですよ。第一がよけたこと程度すぐに認識して自分もよけますよ。」
『…………。』
まだ折れないか。
「なので、緊急防護シールドの使用を許可していただきたい。」
こいつらの目論見はこうだ。あいつを殺し、ついでに各部署の中でもトップレベルの第一も事故として殺す。そうすれば支持率も上がり、周りの奴らの力も減る。そうすればさらに支配がやりやすくなる。
実際はもっと複雑なのだろうが簡単にすればこうだろう。
さぁ、どっちをとるか。確実に支持率を上げるか、支持率も上げ、支配もしやすくなる博打か。
『…………。わかった。許可しよう。』
こいつが選んだのは確実性だったようだ。
話が分かるらしいな。
その後もブリーフィングが続いたが、作戦の詳細確認だけだった。
あとは実行だけだ。
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