逃走側視点の博打
一さんとの買い物から少し。
俺は路地裏を歩いていた。
路地裏というのはいい。少し人間じゃない動きをしようが独り言をどれだけいっても誰にも何も言われない。
そういうことで本屋へ向かうために俺はいまだに走っていた。
……………。本も買いに行かせてくれないのか。
俺の進む方向のビルに前から手を出してきている奴が潜んでいた。
だが、あいつ一人か?前ずいぶんやったはずだが。
周りを少し見渡しても仲間がいる様子はない。
なんだ?和解でもするつもりか?あの頭の固い上層部がそんなことするはずがないがな。
俺がそんなことを考えていると、ほんの一瞬、銃声が聞こえた。
その次の瞬間、ついさっきまで俺の頭があった場所を弾丸がかすめた。
「クソッ!」
小さくあいつが悪態をついた。
だが、そんなものに気を取られる場合ではない。
すぐさま部隊が恐ろしいスピードで突っ込んできた。
俺はほぼ反射的に地面をけり、そいつらの攻撃をよけた。
「へぇ。なかなか考えるじゃないか。」
実際、かなり危なかった。ここまでの速度が出せる部隊ってのは一体…………この格好は第一特殊か。
「第一特殊?そんな奴らまで出てきたか。」
第一特殊は最強の部隊だとか聞いていたが………。あの時代の一般歩兵と一緒だ。
「クソッたれが!」
また、あいつが悪態をついた。
そんなものも気にせず、第一とのにらみ合いを続ける。
いつ来る?いつでも来い。久しぶりなんだ。あの頃の兵士と同じ強さの奴は。
「いやぁ。俺一人にここまで戦力を割く必要ってあるか?」
軽く冗談を言うと、その中にいくつか弾丸が飛び込んできた。
おそらく拳銃弾だろう。かなり遅い。だが、本当の脅威はこの後だった。
俺がよけようとしたとき、いつの間にか第一の連中が近場のビルに行き、射撃を開始した。
79式自動小銃か。現代の最新、あの頃の最新よりも5.6世代上だ。いいもん使ってんな。
その弾幕の中に勇敢にもグロックとナイフで突撃する奴もいた。
そいつは近接戦闘訓練を重点的にやった奴だろうか。ナイフさばきが素晴らしかった。
俺はそいつをいなしながら、銃弾もよけた。
だが、これがまた難しい。
突撃兵が一気に距離を詰め、ナイフをこちらの喉元に頻繁に突きつけようとしてくる。
そのナイフを手で何とか払うとき、つかみ合いになる。
つかみ合いは一瞬で終わるが、その一瞬の隙をつき、銃弾を畳み込んでくる。
それも右手でナイフをいなしながら左手で何とか防ぐが、それにも限界がある。もうすでに何発か当たった。
それに少しいなすのが遅れると、グロックを腹に突き付けられる。
かなりの激戦というやつだ。
いやぁ、こんなんじゃなかったはずなんだがな。
弾丸をよけながら、作り出したナイフで相手のナイフをいなし続けていると、違う銃声がすさまじい銃声の中でもなんとか聞き取れた。
その瞬間に反射的に体を動かし、狙撃弾をよける。だが、反射的によけた場合、後隙が多い。その瞬間にまたも弾丸を叩き込まれる。
「持久戦か。」
第一は分隊支援火器で常に弾幕を張る兵士を中心に周りの二人組の兵士の片方が79式を射撃。もう片方は最初に射撃していた奴が弾切れになる少し前に射撃開始。その間に最初に射撃していたほうがリロード。
確かにこれじゃぁじり貧だ。
「あはは!すごいねぇ。」
久しぶりだ。攻撃していないとはいえここまで追い詰められたのは。
そろそろ慣れて…………。
来たところといいたいところだった。
じめじめとした路地裏は風邪を切り裂き顔面に寒いと感じるレベルの風を当てた。
俺は完全に反射でよけた。だが、右腕に弾丸が命中した。
命中した右腕はぐちゃぐちゃという言葉がぴったりだ。
雑巾絞りに何の抵抗もなく、やられたかと思うレベルに、骨は砕かれ、肉は裂け、どす黒く土にまみれた血が水のように滴っていた。
だが、そんなことを思っている暇もなかった。すぐさま閃光弾が発射され、耳鳴り音が響き渡り、視界は光に奪われた。
…………耳鳴りが終わると、周りの奴らは全員こちらを見た。
そして、驚愕した顔を見せた。
「おいおい。嘘だろ。」
俺はそんな奴らに見せつけるかのように腕を再生して見せた。
「へぇ、38式か。いいの使ってるな。」
最速の弾丸だったけな。その速さ故、ぐちゃぐちゃにすることはできても引きちぎったりはできず、過貫通を起こしやすい弾丸だ。
「しゃ、射撃開始!」
そんなことを言った第一もいた。そういわれたときにようやく第一の時が動き始めた。
だが、もちろんそのころには全員目をつぶり、倒れていた。
「いやぁ、第一も落ちたね。昔はこんなもんじゃなかったよ。」
過去の第一は本当に精鋭だった。俺のさっきのを見ても動揺することすらなかった。
閃光弾を俺が食らったときにはライフル弾を容赦なく叩き込んでいたはずだ。
俺は一人、この場に立っていたそいつを見た。
「神殺しの…趣味はないんじゃ…なかった………のか?」
そいつは俺にそう問いかけてきた。
「はは。殺してなんかねぇよ。」
そいつは周りを見渡し、納得したらしい。
「な、なぜ最初から、こうしなかった。」
「いやぁ。お前ら、俺がそこまで強くなければこれ以上の戦力を送ってこないだろ。めんどくせぇんだよ。」
俺はそいつの質問にそう吐き捨てた。
『おい!第1・3!応答しろ。目標はまだいるぞ。』
そいつが持っていた無線機からそんな怒号が飛んできた。
まったく、あいつらは前線に出ないくせに口だけは一人前だ。
「あー。こちらお前らの目標。大丈夫だ。全員生きてる。さて、最後通牒だ。これ以上俺に手を出すな。以上だ。」
俺はそう早口に言うと、返答を待たずに電源を切った。
「さーて。お前はどうしようか。そうだな………これ以上お前らが手を出すならそん時は覚悟ししろよ。とでも言っておけ。」
俺はそうそいつにいい、その場を離れた。
まったく。服に血が付きやがった。
これからめんどくさいことが起きそうだと思いながら、俺はホテルに戻った。
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