じゃあ、死のうか(暗黒微笑)
――モスクワ中心部 魔王城跡
――魔王の間だった残骸の山
かつて魔王城があった瓦礫の山に佇む巨大で荘厳な観音開きの門。
魔王によると、魔王の間ではなぜか神格アカウントを稼働させると天界の門が呼び出しできるらしく、アカウント権限で呼び出してもらったのがつい数秒前のこと。
しかしこの世界のセキュリティの関係上、通常はこの扉を開けることはできないらしい。
そのため、魔王はいったん死ぬまではあの女神をシバくことができなかったのだという。
元々の魔王の案では天界凸は全員自決したのち、妻が乗っ取った神格アカウントを使って天界で蘇生し、そのままシバきに行くという案だったのだが、一旦それを止めて聴取した結果、この情報が出てきたので、私はもっと勝率の高い方法を魔王に提案し、我々一行は今、この天界の門の前にいる。
さて、その案とは?
「空間ファックバリア!!!!」
そうだね、モッさんのスキルだね!
モッさんが腰を突き出した途端、白濁した半透明の膜がモッさんを中心とした四方に展開される。
ミシミシミシ!
メコォォォオオオ!!!ボキッ!!!!
ズゴォォォォォオオン!
そしてその白濁した膜に無理やり押されるようにして荘厳な扉が轟音を上げながら捻じ曲がり、崩れ落ちる。
流石に天界の門を無理やりこじ開けるのはスキルのぎりぎりだったらしく、膜から漏れたっぽい推定モッさんの白濁液がべっとりと崩れ落ちた扉の残骸についている。
「汚い!!」
思わず叫ぶ魔王。
まあ、うん。
そうね。
「ヒャアア!やっぱりこの世界で種付けおじさんは最強だぜぇ!!!」
「「「「モッさん!モッさん!モッさん!モッさん!」」」」
「管理者様流石ですわーー!!!」
一方で怒りやら最終戦への高揚感やらで変なテンションになる私たち。
さーて天界へのアクセスもできたことだし、『チキチキ邪駄女神わからせ斬首作戦』のはじまりはじまり~~~!!!
そんなわけで一斉に門をくぐり、天界へと凸する私たち一行。
天界は夢で見た空間と少しは似ているが、夢や転生時の音もなく白いことだけが分かる空間ではなく、キラキラした神殿だった。
白い大理石の柱が立ち並び、空には天使たちが浮かんでる。
しかし私たちの気配を感じるやいなや、蜘蛛の子を散らすように逃げ散っていった。
まあ満面の笑みをひっさげた種付けおじさんと怒髪天勇者パーティwith魔王とか、そりゃ逃げるわな。
私が天使だったらその場で『私は今からバックレる』といってそのまま天界から離脱するもん。
そんな感じで邪魔は一切入らず、ずんずん神殿を進む私たち一行。
そして神殿の最奥――荘厳な神殿から一転、現在のメガベンチャーのオシャレオフィスめいた空間のエリアにたどり着いた。
神々しい気配を感じる。
「これは、女神の気配だな」
私たちは警戒態勢を取り、ゆっくりと気配を消してエリア内に入る。
近代的なデスクと意識高そうなメッシュのワークチェア。
その前には巨大な立体モニター。
そこに、頭を抱える一人の長髪の美女の後ろ姿。
間違いない、あれが女神だ。
「なんでフルスキャンでマルウェアも見つからないのよ……コードレベルの解析でもどこにもセキュリティホールが見つからないし……」
女神が机に突っ伏してブツブツ言ってる。
そりゃそうだよ。
正規アカウントで操作してるんだもん。
お前が翔太さんを死後拉致するために用意したアカウントでな!!!
バックドアを自分で開けといて「なんで見つからないの?」って、アホなの?
しかし女神が油断しきっているのは私たちにとってはチャンス。
私たちは足音を殺してゆっくり近づく。
「あーもやめやめ、一旦コーヒーブレイクしよっと」
そう言って立ち上がりこちらを向く女神。
私はそれと同時にモッさんを見て、女神に向かって人差し指を指す。
ゴー。
「やぁ❤」
モッさんのデカい顔が、ドアップで鼻先1センチの距離に接近。
「ひゃあああああああああああああ!!!???」
女神の悲鳴が部屋中に響き渡る。
その隙を見逃さず、私は傾国の美女を発動。
「モッさん!種付けプレス100%!!!」
「種付けプレスフルプァワアアアアアアアアアアア!」
私のスキル使用に連動しスキルを宣言するモッさん。
「ヒギィィィィィイイ!?」
そしてそのまま何の防御もしていない女神に覆いかぶさるモッさん。
それと同時に女神から悲鳴。
だがまだ私のターン!
「2P、アレ」
「はいお姉さま!」
私の短い一言に、2Pカラーは荷物から一つの箱を取り出す。
アイテム『セックスしないと出られない部屋』だ。
「発動――『セックスしないと出られない部屋』!!」
アイテム使用を宣言し、のしかかるモッさんごと光の渦に吸い込まれていく女神。
次の瞬間にはドールハウスサイズの部屋と、その中にちっちゃいモッさんと女神。
ようやく状況を把握した女神が部屋のドアに縋りつきドンドンガチャガチャと脱出を試みるが全く開く気配はない。
まあね、セックスしないと出られない部屋だからね、セックスしないと出られないよ。
さて次は……
「ねえヴィーさん。この部屋の監視はウチに任せて権限の方魔王さんとやってくれない?」
次の手順を考えていると、後ろからサフィさんがニコニコ顔で提案してくる。
その目は笑っていない。
まあ今回はサフィさんが一番怒髪天だもんね。
「OK!」
私は快諾し、『セックスしないと出られない部屋』をサフィさんに渡す。
「見たーいー、見たーいー、女神の処女喪失が見たーいー」
「――!?―――!?」
そしてすぐに中の女神を煽りだした。
「早くヤってよー、早く見たいー、女神が種付けおじさんにチン堕ちしてイクとこ見たーいー」
「――りょ!!!」
サフィさんのコールにノリノリで敬礼をするモッさん。
「まって!?もしかしてサフィ!?貴女なんで――」
「ウチの旦那誘拐してNTLとしたのは割れてんだよクソ女神。イキ死んで、どうぞ」
底冷えするように冷たい声のサフィさん。
……うん、あっちは任せて大丈夫そうだな。
女神の方はサフィさんに任せ、私は魔王と共に女神の神格アカウントにアクセスする。
空中に浮かぶ半透明のコンソール。
女神のアカウントがフルオープン状態。
アドミン権限、転生管理権……全部丸見え。
脆弱性大杉、多すぎない?(誤字にあらず)
多すぎて杉生えちゃうよ。
「対象アカウントの一時無効化」
コンソールをとんとんとタップし、魔王が女神の権限をはく奪していく。
「わ、私の神格が!?」
どうやら権限変更は即時で行われるらしく、神々しい気配が消えていく女神。
「2Pカラー、アクメスイッチ押してみて」
なんとなく気になったので、対象を女神に設定し、2Pカラーにアクメスイッチを押させてみる。
「ちょま――」
「ポチーですわ!!」
「ンヒィィィィ❤」
2Pカラーの動作と同時にセックスしないと出られない部屋から聞こえる嬌声。
「あ、私もやりたーい」
ノリノリで手を上げるサフィさん。
「やってみよー!」
『電池切れです。裏の電池BOXに入っている単二電池を交換してください』
サフィさんがボタンを押すとエラーメッセ―ジが再生される。
そう言えばこのアクメスイッチは電池式だった。
残念だけど後はモッさんに分からせを……。
「ありましたわよ!単二電池!女神のデスクに!」
「グッジョブ2Pカラーさん!!!!入れ替え―の……ぽちっと!!!」
「ヒギィィィィィイイ!?❤❤❤❤❤」
サフィさんがボタンを押したと同時に女神からの嬌声。
わお、権限はく奪すると巫女以下のステータスになるんだ。
「あああああ!!?なんでなんでなんで!?」
「見たーいー、見たーいー、女神がイクとこ見たーいー」
発狂しだす女神、ノリノリでアンコールするサフィさん。
あーもー無茶苦茶だよ。もっとやれ。
☆
――数十分後
あのあと、エリア内からかき集めた単二電池で女神をアクメさせつつモッさんが分からせを続け、女神が完全に動かなくなったあたりで皆飽きたので終了することにし、ぐったりした女神が放り出された。
服はボロボロ、目は虚ろ、髪はぐしゃぐしゃ。
「シテ……ユルシテ……」
それでもさすがは女神。
回復は早いらしくすぐにぐったりしつつも会話が可能な状態になる。
多分魂的な何かが丈夫なのだろう。
しかし神格を失った今、彼女はただの人間の美女に成り下がっていた。
そして私は女神の前に立ち、彼女に選択肢を提示する。
「さて、女神さん。選択肢を二つあげる。
1.神格を完全に失ってこの世界から放り出される。
2.次期勇者の巫女になる
さあ、どっち?」
女神は床にへたり込んだまま、すこしの逡巡のあとに震える声で答えた。
「……後者を選ぶわ。人間一回分の人生をひどい目にあうなんて、楽勝よ」
「こいつ……」
あまり反省が見られない女神の返答にアクメスイッチに手を伸ばそうとするサフィさん。
私はそれを制止して女神との問答を続ける。
「じゃあ2でいいんだね?」
「これで仕返しはOK?……じゃあ、次からは、仲良くしましょう?私も少し反省したわ」
そこにはどこか余裕も感じられる。
ま、予想はしてた。
腐っても神。
ふふん、と高をくくった笑みを浮かべる女神。
まだ自分がどれだけヤバい状況かわかってない。
女神の返答を受け、魔王がゆっくりと前に出た。
「じゃあ魂を引き裂いて3等分にするわね」
魔王の言葉に、女神の顔が凍りついた。
「……は?3等分?」
「言い忘れてたけど、次代の勇者は3人よ。すべてこの世界の続編凌辱ゲームを元にした世界の主人公」
女神の目が大きく見開かれる。
「うち一人は気さくな人だから……まあ比較的マシよね」
「残り二人は!?」
女神が叫ぶ。
「なんか私の前世世界に類似した世界の主神ゼウスと、ニンジャがニンジャやってる世界の仏様の分霊(休暇旅行)だったような……」
「全女神の敵とゲイのサディストじゃん!?それ私神格保てなくならない!?」
「まあそうね。仏様担当の貴女には自分に生やすスキルをつけてあげるから安心して。あと3人のうち1人は気さくな人だからその子担当の貴女は助かるかも?」
「生やすって何を!?ま、待って!それなら1のほうが――」
「もう遅いわよ。じゃあ、(神として)死のうか(暗黒微笑)」
魔王の言葉と同時にすでに魂が分裂し始め、彼女の体が三つに分かれていく。
光の粒子が舞い、三人の同じ顔をした女神が現れた。
お互いに顔を見合わせる(元)女神3人。
「じゃあまず一人目、気さくな人の巫女になる人ー!」
魔王の声にすると三人の女神は同時に動き出した。
「私が気さくな勇者の巫女になるわ!」
「いや、私よ! 私の方が巫女向き!」
「ふざけないで! あんたなんかじゃダメ!」
三人が髪を掴み合い、服を引っ張り合い、床に転がって醜い争いを始める。
元は一人の女神なのに、今は完全に別人格。
神格を失った反動で、女神自身の本質が剥き出しになってる。
私はその光景を眺めながら、深い溜息をついた。
「醜い」
やっぱりなあ、人ってのは見た目だけじゃなくて、中身だよなあ。
見た目だけは美貌を保っている駄女神の成れの果てを見ながら、私はつくづくそう感じるのであった。




