異世界チート転生前にTSヒロインを選ばせてあげる
女神を3等分し、次回の魔王戦に投下してから、120年の時が経った。
あの後の女神の顛末?
あんまりおもしろくないよ?
まあエロゲーヨロシクズッコンバッコンレベリング。
勇者3人のうち、2人は経緯を知っている他の世界の神様がバカンスでこの世界で勇者をしている関係で、そりゃあ容赦がなかった。
後になって知った事だが、どうやら神様界隈でも、あの駄女神の所業はちょっと許容範囲を超えていたらしい。
それもあって、本来鬼畜ゲー出身の気さくな鬼畜主人公さんが一番穏便と思えるような推移をたどっていった。
まあ、穏便と言っても次代の魔王討伐完了のころには、分裂した女神は3人ともチン堕ちしちゃったんだけど。
結果、魂が人間の体に固定されてこの世界の神には戻れなくなった。
どうするか少し悩んだが、3人がお持ち帰りしたいとのことだったので熨斗をつけてお土産に持って帰ってもらうことに。
鬼畜ゲー出身の勇者君はともかく、休暇中の二柱――ゼウスと仏様あんなのいるの?と思ったが経験のあるデスマ要員はいくらいても良いらしい。
今頃は各自の世界で元女神をこき使ってることだろう。
ざまあ達成で気分が良い。
しかしそうなると発生する問題が一つあった。
曲がりなりにもこの世界はあの女神が運用していたため、神が不在になってしまうということらしい。
それはこの世界が完全に無防備になることを意味する。
その時点で、私たちはこの世界に来てから十年。
世界構造がクソ寄りのクソとはいえ、それなりに愛着が湧いてしまっていた。
話し合った結果、私、魔王、モッさんがこの世界の神を引き継ぐことになった。
それが、110年前の話。
モッさんを主神とし、その妻として私と元魔王の元妻と2Pカラーが控える多神教構成。
モッさんは種付けおじさんスペックのおかげで、神格に耐えられるタフさがあったし、勇者としての実績もあったから信仰も十分。
ギリシア式の主神テンプレートを流用しやすかったのだ。
そして2Pカラー。
人間になるどころかいつの間にかしれっと神の座に収まっていた。ちゃっかりしている。
そして迎える仲間との別れ。90年前のことだ。
翔太さん、ケイさん、サフィさん、リバさんたち……とリリムは、神にはならず転生して別の世界に行くルートを選択した。
魂のフルスキャンの結果、これ以上の記憶保持に耐えられなかったのだ。
駄女神をお持ち帰りする前に休暇を楽しんだ某2柱に聞いたところ、転生後に一切魂にひびが入ってない私、魔王、モッさんの方が異常らしい。
最後の餞別として、それぞれのペアは一緒の世界に、かつ強力に引き合う運命をスキルで付与しておいた。
翔太さんは男の娘のままで、サフィさんと一緒。
ケイさんは、リバさんと一緒に。
リリムは、まあそこそこな感じで。
仲間を見送った後は、あの駄女神の後始末。
根本的にヒロインをTS転生で引っ張ってくる構造の改善をしようとして、40年であきらめた。
算出した工数的に、次の魔王発生に間に合わないことが分かったのだ。
結果、発想を転換してヒロイン枠はTS適正ありの魂を引っ張ってくる方式に変更。
システム改修と魂の提供元の世界の神との折衝に50年。
これでも神の時間感覚的には異例の速さらしい。
新米神はやはりやる気にあふれているねえ、とゲイのサディストじゃないほうのブッダ系神に感心された。
まあやる気にはあふれているかもしれない。
ヤる気にもあふれているしね。
夜の生活も120年ずっとハッスルし放題だし。
知ってる? 神って耐久度高いから光の速度で中に出されても気持ちいだけで死なないんだぜ?
そんなこんなで何とか神になってから初となる転生勇者召喚の準備をする事、合計120年。
今日は、主神キーモによる転生者召喚の日。
いわゆるモッさんの初仕事にあたる。
既にTSヒロインたちは、悲喜交々ありつつも、世界への転生を完了済み。
これは私が説得をした。
性別が変わるのだ。
なるべく魂を傷つけずに行うには、経験者である私が適任だった。
なお、今回は巫女側側はスキルを、勇者側は巫女を選ぶという構図となっている。
そして次は、いよいよ勇者召喚フェーズ。
これはモッさんの仕事だ。
私たちは傍らでそれを眺めてる。
空間からモノや景色が消え始め、転生者との魂の対面空間独特の、何もない空間にあたりが変わっていく。
そして、ふわりと、ここではないどこかの世界からの魂の気配。
それは最初は小さな光だが、やがてゆっくりと人の形になっていく。
魂の情報が読み取れるくらいのまとまりになったので読み取ってみると、地球日本出身のハイティーンの男の子だった。
モッさんは空中で胡坐をかき、足に肘をつくような恰好でその魂を見つめる。
初めが肝心だぞ。ガンバれ。
私はモッさんの傍らでモッさんの肩に手をかけ、モッさんと同じ視線で微笑を携えながら魂をみる。
「ようこそ、異世界へ。君は死んだ。で、転生の権利を得たよ」
魂はぼんやりとした光の塊だけど、なんとなく困惑した気配がする。
まあ、死後いきなりこんなこと言われたらそうなる。
私も転生準備のこのフェーズはそうだった。
いや、初回からワンチャン何とかならないかと思って駄々こねてた気もするが……気のせいだな。
「転生先は異世界。役割は勇者だ。魔王を倒して世界を救うんだ」
モッさんの説明が続く。
「あの、手違いとかじゃないんですか?詫びチートとかは?」
魂は少しずつ落ち着いたようで質問を投げかけてきた。
「そういうのはないね。君は元の世界では天寿を全うした」
「あの、俺、春から大学生だったんですけど。第一志望に合格して、今日、発表で……その帰りにトラックに」
転生トラック系転生者か。今時古風な。
「あー……お気の毒だけど、そういう人もいる」
あまりにもテンプレな死因に気の毒に感じたようで、モッさんは気まずそうな声色で魂を慰める。
「あああああああああああ!!!!俺の桃色の大学ライフがあああ!!!!!先輩から最高のヤリサー紹介してもらう手はずだったのにいいいいいい!!!!!!!」
そしてそんなモッさんに対して発狂しだす魂。
というか発狂理由。
「あ!ほ、ほらそういうことなら転生先はアタリだよ!なんとエロゲの世界!ズッコンバッコン大騒ぎ!」
「マジで!?俺のターンきた!?」
「しかも今なら初期からヒロイン付き!!!魔王を倒すにはそのヒロインとなる巫女とズッコンバッコンが必要だから初めからやりまくりだよ!」
「神か!!!!!!あ、神でしたね拝みます!!!」
さっきの発狂芸から一転ものすごいごまをすりながら拝みだす魂。
「選べるヒロインは全員TS美少女だよ」
「ホモじゃん!!!!!!!!!やだやだやだ!小生やだ!ちゃんと女の子がいい!!」
モッさんの一言で、また抵抗しだす魂。
まあそりゃそう。
さて、ここからが腕の見せ所だぞモッさん。
私とのズッコンバッコンいちゃらぶ経験をもとに魂を説得し、穏便に転生してもらうのだ。
そういう視線を投げかけながらモッさんを見る。
モッさんは魂と目線を合わせ、深く息を吸ったあとにまるで猥談をするかのようないい笑顔で説得を始めた。
「まあ言わんとすることはわかる。でもね?考えてみ?男友達の気安さとタフさがある超絶美少女って、最高すぎるぞ?まずな―――」
数分後、その魂はルンルン気分でTSヒロインを選択し、この世界に転生していった。
<完>




