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創設の放旅者 ‐‐ 復讐 ‐‐  作者: 滝翔
1章 復讐の刃
19/21

アンオーメン2 器


〝 クロォンウォード…… お前…… なんでそこまでして人間を!! 〟


〝 私は彼らを信じます…… 何故なら……………だから 〟



〝 俺には…… 俺達には 何を求められ生まれてきたのだろうか 〟


〝 誰しもそれを考えるさ わからない見つからないって答えが出たのなら その長い生涯で見つけようとすればいいんじゃないのか? 〟


〝 …………ありがとう ……ス 〟




「………!! ここは?!」




目が覚めたラウルは 溶岩の壁や床で覆われた広い部屋を見渡す


「変な感じだな…… ルーナイトの時とはまた別の……」


落ち着いているラウルだが 急に迫る背後からの視線に思わず振り向いた


〝 ………… 〟


「…………ディンフリーツ?」


ゆっくりと立ち上がるラウルの目の前には

最初にアンオーメンで出会った溶岩の塊で現れた島神ディンフリーツが座っていた


〝 もうここに人間を寄せ付ける訳にはいかないんだ 悪いな 〟


「え? ………どういうことだ?!」


〝 気付いていねぇとはなぁ…… 〟


ディンフリーツも立ち上がり 焦げ茶色の人差し指でラウルを指す


〝 死んだんだよ お前は 〟


「………そりゃぁ死んだよな マグマに落ちたし

そんなことよりお前もちゃんと肌があったんだな パッと見わからなかったよ」


〝 ………… 〟


「頼みがあるんだ!!」


〝 失せろ 生霊 〟


「力を貸してくれ!」


まるで話を聞かないラウルの横を大きな手がすれすれで床を押し潰す


〝 死んだお前が何を言っている……… さっさと行くべき場所に還れ 器の無ぇ子供が 〟


ディンフリーツの巨大な顔がラウルに接近する しかしそんな圧力を無視してラウルは


「誰が子供だ!! 島神だか何だが知らねぇがガキ呼ばわりは許せねぇ!!」


〝 意味がわからねぇ奴だな……… この状況で何を…… 〟


突如ディンフリーツの口が閉じる


ーーまるで昔の…… 


黙りこくるディンフリーツは後ろに置かれていた大剣型の神器を取り出した

そしてラウルの下に振り回しながら地面に刃を突き刺す


「突然どうした?」


そう言いながらラウルも双剣毒地蔵クシティガルバを抜く


〝 お前の器を測ってやる 来てみろ 〟


「試練って奴か…… 腕試しを目的で旅してた頃だったら興奮してたなぁ……

だけど今回は何としてもお前の力が必要なんだ 悪いがマジでいくからな!!」


〝 人間如きが…… 大した口をきく 〟


そのときにもラウルはディンフリーツの死角になる足下まで迫っていた

初めて使用する自分の愛剣に微かな喜びの表情を見せながらも その速さは先攻を取る


「うぉぉぉ!!」


巨体の背中に向けて跳ぶラウルだが 敵もまた気付き左腕を勢いよく振ってラウルに直撃した


「っ…………!!」


ラウルは必死にしがみつき その腕の勢いが無くなった途端

その大きな柱のような腕を切り刻みながらディンフリーツの頭上へと駆け上がり

二本の刃でうなじから腰に向けて一気に斬り下った


我流がりゅう!! 山波斬りざんばぎり!!!!」


〝 なっ………!! 〟


ラウルは床に着地して構え直すが とある違和感に気付く

それはディンフリーツが固まったまま動かなくなっていたことだった


「前は効かなかったのに 今度は効いたのか?」


〝 お前…… その剣…… 〟


ディンフリーツはラウルの持っている双剣を険しい顔で見つめていた

何かを思ったのか無理矢理体制を直す


「どうした? 島神が焦るとか無いだろ?」


〝 …………あぁそうだな 〟


大剣を振り上げ ラウルのいる床諸共大穴を開ける勢いで振り下ろした

ラウルは遠くの壁まで吹き飛ばされるが一息つく間もなくディンフリーツが襲いかかってくる


「くっそぉ……」


ラウルも体制を直すが その頃には大剣が目の前まで迫っていた

よけるのが精一杯だが記憶に残る目の前の敵の焦りが ラウルが見続ける勝機だった


ーー腑に落ちないけど 今は多分この剣に頼るしかない



〝 うぉぉぉぉおおおおお!!! 〟



ディンフリーツは渾身の一撃が如く大剣を後ろに振り上げ 全身全霊の一撃が来ようとしている


「…………我流二つ刃」


ラウルは片手に持つ二本の刀を逆に持ち替え 背後で交差させた

敵のその一撃が今まさにラウルの頭上まで迫る頃にも関わらず ラウルの表情は冷静だった


双津波斬りそうずばぎり!!」


大波に立ち向かう二方の津波の様に ラウルの刃はその大剣に立ち向かう

一方的に終わるかと思えたその一瞬は剣を交える音が無く終わる

ラウルの一閃がディンフリーツの大剣を真っ二つに割ったのだった


〝 …………… 〟


ーーやはりそうか……


折れた大剣をその場に捨て 元いた場所にディンフリーツは座り直す

そこへラウルも剣をしまって駆け寄ってきた


「で!! どうだったんだ俺の器は?! 合格か?!!」


〝 …………… 〟


しばらく黙る目の前の巨体にラウルは焦りを曝け出す

そんなラウルにディンフールは困惑の表情で言った


〝 お前の器なんざここに入ってきたときから見えてたよ 〟


「え?」


〝 お前の器は空っぽだ 〟


「はぁ? どういうことだよ!」


〝 資質が無いとかそういうのじゃねぇ…… お前は…… …………いや何でもねぇ 〟


「なんなんだよ! はっきり言えよ!!」


〝 言う必要がまず無いな…… 忘れてると思うが……〟


「っ…………」



〝 お前はもう……… 死んだんだよ 〟









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