アンオーメン1 頂上の謎
火山から噴出されたマグマによって何もかも流された
自然と共に生きてきた国に人々がその象徴として建てた頂上の神殿から崩れ去ったのだった
今は何もない いや元の島へと戻っている
「なんだこりゃ……」
ボルマーはまるで戦争でもした後なのかと見られる 目の前の島に絶句していた
「………改めてみると惨いな」
ラウルも気にせずにいられないという表情で小舟から陸に下りる
最初に上陸した国が跡形も残ってないのだから
「んで? アンオーメンに何の用があったんだよ」
「予想でしかないけど 力を手に入れる」
「はい?」
そういってラウルはボルマーを残して先に行こうとした
「一人で大丈夫か?!」
「あぁ!」
ラウルは手を振ってそのまま振り返らず行ってしまった
残されたボルマーはただ一人小舟から下りもせずに 気の抜けた顔でマストにもたれ掛かっていた
その小舟にひっそりと近づく数人の男達
一方ラウルは山の頂上を目指し 傾斜を登っていた
「ハァ…… ハァ…… さすがに熱くなってきたな…… でも…… あいつだと思うんだ」
島神
木が生い茂り 川が流れる そういった自然が生きた島には必ず島神が存在すると言われているらしい
いなければ逆に不自然な影響が出るとも
ーー人の前に現れない神と呼ばれる島の守り神
しかしラウルがガルバーク帝国を訪れる前にやって来たこの島で見たものは
溶岩のような肌で覆われた巨大な人とは遠く離れた怪物
ーーあれが島神だ…… あいつをどうにかすれば…… ヴァースさんみたいな力が……
守護神
人に宿り人智を超えた力を貸す神と呼ばれる
ガルバーク帝国でハイゴレが暴れた際に七大国に魅せられた力だ
「ハァ…… ハァ… ………着いた」
そこは頂上の火口 大きな穴を覗けば音を鳴らして揺れ動く溶岩がラウルに恐怖を与える
「………ここからどうしよう」
時は戻り 海岸の傍に浮かぶ小舟付近では
「なんだてめぇら?」
小舟を下りて威嚇するボルマーの前には 数人の刀を持った男達が立っていた
「あぁ悪い悪い 俺等はただ人を捜してるだけでしてね」
「こんな何もない場所までごくろうだな」
「だろ? だが念には念をってやつだ 一応聞いてみるが旅人さん 怪しい女を見かけなかったかな?」
「知らねーよ 用が済んだらさっさと失せろ」
「………ちなみに旅人さん?」
男は腰に差した刀を抜くなりボルマーに刃先を向ける
「………喧嘩売ってんのか?」
「いやいやとんでもない…… ただ食料なんてもんがあったら全部くれねぇかなぁと思ってな」
後ろの男達もわざとらしく笑い合っていた
その様にボルマーの感情に苛立ちが生まれる
「つまり盗賊か…… 相手が悪かったなぁ」
「おぅそうか」
刀を抜いた男は即座にボルマーの首を定めて 横に刀筋が入る
しかしボルマーの義手がそれを受け止めた
「ほぅ…… ただの旅人ではないな?」
「誰に喧嘩を売ったかわかってねぇようなら後で後悔しな 本物の悪党が何をするのか教えてやるぜ」
その鋭い眼光で敵を圧倒するボルマーは余裕に笑っていた
ボルマー達とは正反対の海岸
瓦礫が山住みになっている中で偶然空いた空間に身を潜める一人の女性がいた
「人の声が…… まさかもう追っ手が?」
泥の付いた髪を掻き分けながら外に出る彼女の顔には不安が見られる
「移動した方が……… 一体…… どこに行けば…」
女性はその場に蹲り その目には涙を浮かべている
ーー助けて…… 誰か助けて下さい
その頃ラウルは 一人火口で考えていた
「島神様!! どうか助けて下さい!! ………無理か」
両手を精一杯上に挙げて呼びかけてみるが何の応答も無し
ーー守護神の事 ヴァースさんに聞いておけば良かったかな……… あっ でも俺今敵になるのか
頭を掻き 悩みに悩むラウルは決心する
「よし!! マグマに飛び込もう」
ラウルは恐る恐る歩ける範囲での崖ギリギリまで寄ってみる しかし
ーー………ただただ死ぬだけだな
ラウルは正気に戻り引き返そうとした
だがその時 足場が崩れた
「えっ………」
すかさず右手を前に出すが掴む岩はなく そのままマグマへと一直線に落ちる
ーー………嘘だろ
周りの音を簡単にかき消す位の勢いで ラウルは人知れずマグマの中へと消えた
〝 また…… 害虫が入り込んだか……
ここに近づくな そう見せしめに国を押し流してやったのに……
一体誰だ? ………この感じ まさかな 〟




