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創設の放旅者 ‐‐ 復讐 ‐‐  作者: 滝翔
1章 復讐の刃
17/21

スレイシャガルとマスクーヴァの領界線上 交易国花の国


ラウルとボルマー一行はガルバークから南へ下った国境に位置する花の国なのくににいた

ボルマーは船を降り 何処かに行こうとする彼をラウルは呼び止める


「おい待てよボルマー!」


「人に会ってくる 大国から大国を渡航するに必要なんだよ」


「え?」


「通行証…… 知らねえのか?」


「あぁ…… ゼッペルさんに見せたよ」


「俺等みたいなまともじゃない奴相手だと色々面倒だから 知人に楽にオーケー貰ってくるわ」


後ろ向きに片手を上げて町中へと消えるボルマーを放っておいて

ガルバークより一つ前にやって来ていた花の国を眺めて思い出していた


ーーメモル……


よく考えてみれば メモルとの思い出が深かったのはこの花の国だった

世界中の名花がそこら中に並んでいるのにカジノに行ったことを思い出すと自然に笑ってしまう


ーーそこでわがままな女に滅茶苦茶にされて 趙炎と出会った

結局当たった分の金も貰えず しょぼくれるメモルを飯に誘って………

散々だったな………

なんであいつギャンブルにあそこまでハマったんだろう


ため息と苦笑を繰り返すラウルはいつの間にか国の中心まで歩き 物思いにふけっていた





その頃ボルマーはとある大きな建物の入り口に立っていた

奥からやってくる一人の男性にボルマーは気軽に挨拶を交わす


「お久しぶりです タンボさん」


彼は在スレイシャガル漢の国大使館の特命全権大使〝タンボ=孫武〟


「相変わらず元気そうで何よりだよボルマー君 初めて君を見かけたときより随分生き生きしてるじゃないか」


「はい…… あの時はあんたに助けてもらってなかったらどうなってたか……」


「別に私たちは漢の国の民だけを支援しているわけではないからね……

目的があるような目をして路上の端に倒れていた君を見捨てられなかっただけだよ」


「………それで」


チラチラと視線を向けてくるボルマーにタンボは何も聞かずに手を差し出す


「また通行許可の件だね?」


「すいません……」


「気にすることはない 君のことだ 七大国に迷惑のかからない程度にな」


「…………」


息を詰まらせるボルマーにタンボは何かを感じ取ったが 何も言わずに通行証を受け取り上手く許可を認証させた


「では気をつけてな」


「ありがとうございます!!」


奥に去って行くタンボに その姿が見えなくなるまで頭を下げた






店の大半が花屋を占め

まるで花園の一本道を歩くボルマーは港へと向かっていた

ラウルも既に小舟に乗っており 自慢気に許可証を見せる


「食料とか買ってきたのか?」


「あぁ? お前買ってきてねぇのかよ!!」


「………買ってきてやったよ」


自慢気な顔で大きな袋数個を見せつけるラウル


「………ハハ ハハハ!!」


「なっ…… 何笑ってんだよボルマー」


「何でもねぇよ じゃあ行こうぜ」


たった半日しか滞在しなかった国 花の国

七大国結成から数年後に各大国の領界と領界線上に設置された文化交流を目的とした交易国だ

現在の漢の国の皇帝が〝世界中の花を一つの場所に集めてみたい〟という理想から大使であるタンボが世界中からありとあらゆる名花を集めてみせた

実質それまで大国同士の争いを事前に阻止するべく 監視の役割しか担えなかった保守の為だけに存在していたこの国に

タンボは文字通り国民達に花を持たせることが出来たのだ

特命全権大使兼世界七大珍品花の秘宝フラワー・コレクション部門の会長を務める漢の国の将軍タンボ=孫武という人物とはまさに戦わずして勝つ平和主義者だった


「あの人はもしもの時に動く男だ ガルバークを出てすぐあの人に会えて良かったと思っている」


「俺も会ってみたかったな そのタンボさんって人に」


「お前が会ったところであの人のすごさはわかんねぇよ 絶対な!!」


「………」


波に揺られながら目的地アンオーメンに向かうラウルとボルマーは やることがなくただ話していた


「そろそろ聞いていいか? なんで俺に付いて来たんだよボルマー」


「別に…… ガルバークでやることが無くなったからだ

王位はドレイルに譲ったし 国中の記憶が正常になってモルガナもケルトも安心して暮らしていけるだろうし

俺があの場所にいる意味は無くなったんだよ」


「んで海に?」


「…………お前 ルランって男知ってるか?」


「知らない」


ルランとは10年前にドレイルと共にボルマーの父モーガン王の暗殺を企てた一人だ

ガルバーク帝国の当時の王家全員を殺し 国中に火を放ちモーガンの仕業だと国に嘘をついて王政を一新させた

その時にルランは国中の記憶を弄り ガンルイス王家を大昔の大罪人へとしてしまったのだった

ボルマーもといサベル ケルト モルガナを除いて

同時に国民達の正常な記憶にも誤作動が生まれる

人を忘れたり 数日前にあった事件を昔の事だと安心して前を向いたり 無意識に記憶が捏造されたりと

それ故にルランを見た者はドレイルを最後にいなかったという


「あいつにはみっちり聞かなきゃいけねぇ事が山ほどある…… その為にもう一度海に出たんだよ」


「ルラン……」


聞いたことの無い名前に不思議と興味が湧いてくるラウル


「どうしたラウル? 何か知ってんのか?」


「いや…… でも昔そんな名前の奴が……」


「昔っていつだよ?」


「遙か昔? ………なんか気持ち悪くなってきた」


「おい! こんな逃げ場のない小舟で吐くなよ?!!」


結局足下にぶちまけたラウルと小舟の先端にまで避難するボルマー

静かな海をわざわざうるさくする二人に反して 小舟はゆっくりと確実に進み行く








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