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栞夏と和②

なごちゃん家はいつも喧嘩ばっかだったんだって。

なごちゃんがお腹に出来た時から、叔父さんは不倫するようになったらしい。

それはなごちゃんが産まれてからも同じ。

お父さんは一向に帰ってこなくて、でも叔母さんは待ち続けて……。



なごちゃんが4歳くらいの時かな。

叔母さんに限界が来て、爆発したの。

叔父さんに思いっきり怒鳴ったんだって。

なごちゃんは涙を浮かべながら端っこで見てたって。

叔父さんは離婚届を自分のとこだけ書いて家を出ていった。



まだ4歳だったなごちゃんのために叔母さんは頑張ってた。

でもやっぱりそれも疲れの限界が来て、色んな男の人を連れてくるようになったんだって。

なごちゃんはそれを見たくないから男の人が来る度に公園に逃げてた。


中学生になったある日、叔母さんはなごちゃんに携帯を買って家を出ていった。


ちなみに『仁科』って言うのは叔母さんの方の名字だって。



*****



「これがなごちゃんの過去」


「仁科の前の名字は?」


「確か……秋山だった気がする。」

"秋山"、と聞いて俺は動きが止まった。

まさか、な。そんなはず、ない。



俺は妹の手を取り走って行った。

「ちょ、お兄ちゃん!?」


「……確認したいことがある。」

リビングのドアをあけた。


「どうした隼人、栞夏」

父さんが新聞を見ていた。


「なぁ、父さん。聞きたいことあるんだけどいい?」


「ん?どうした?」


「仁科……いや、秋山和って、知ってる? 」


「……………和……?」

父さんはビックリして持ってた新聞を落とした。


「知ってるんだね」


「隼人がなんで、和のこと……………」


「待って待って待って!!!」

栞夏が会話を遮った。


「お兄ちゃんのお父さんはなごちゃんのお父さんなの!?」


「え……?」

父さんが少し疑問に思ったのか聞き返した。


「栞夏、和の幼なじみ」


「和が言ってた一つ下の幼なじみって栞夏のことだったのか!?」


「ただいま〜」

母さんが買い物から帰ってきた。


「お母さん聞いて!!なごちゃんのお父さん見つけたの!!」


「なごちゃんって、和くん?」


「そう!お兄ちゃんのお父さんだったの!」


「……え?」

2人の話を聞くと、和の父さん…すなわち俺の父さんには1度も会ったことがないらしい。


「父さん、説明してよ。」


「……わかった。」



****


和がお腹に出来た時、ちょうど隼人の母さんがうちの会社に入ってきたんだ。その人体が弱くてね。上司である俺がパートナーとして2人で仕事してくれって言われて。その人のこと送り迎えしてたんだ。上司としてね。

その日たまたま一緒に飲みませんか、って言われて父さん酒は強い方だったから酔わないと思って一緒に飲んだんだ。

でもアルコールが強くて、酔って、向こうから求められて……。

それでたった1度ヤったら、隼人がお腹の中に出来た。


体が弱い母さんのために、って父さんは付きっきりでいつも傍に居たんだ。

和が産まれる時も帰らなかった。

正確に言うと、帰れなかった。

母さんの容態が危険だったんだ。



母さんは、隼人を産んだ代わりに亡くなったんだ。

だから父さんが育てなきゃってことで、離婚したんだ。



****


「隼人……これが事実だ。」

俺は父さんを思いっきり殴った。


「……俺、和のとこいく。今日は帰らねぇ。」

俺は家をとびだした。

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