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MMOでの戦闘

 今まで話していたゲームで、人を指揮して戦うという経験をさせて貰ったと書きましたが、ネトゲで戦闘指揮をしたのはそのゲームが初めてだった訳ではありません。


 MMORPGの対人戦の戦闘指揮です。

 プレイしていた時期としては、今まで話に出ていたゲームの前という事になりますが、戦闘指揮を執っていた時期となるとさらに1年以上前となります。


 今まで話に出ていたゲームは連合員達がそれぞれ部隊を持ち、私がさらに指揮を執るという形だったので総司令官としての指揮でしたが、MMOの方はプレイヤー達を率いての指揮だったので部隊長としての指揮になります。

 もっとも部隊長としての指揮といっても、さらにその上が居て指示を受けるのは稀でしたが。


 その他に何が変わっていたかといえば、MMOの時の方がより「指示通りに動いてくれない」といった感じでした。


 一例を挙げます。

 このゲームは緑、赤、紫、黄と4つの国から成り立ち、さらにその国々にギルドがある、という構成です。

 私達のギルドは緑の中堅ギルドでそれなりに強いが、各国のトップギルドには太刀打ちできない。その様な位置に居ました。

 私のギルド内でのポジションは、相談役兼戦闘指揮官の副ギルド長というものでした。


 対人戦は世界に十数個ある領地をギルドで取り合うという物で、同じ国のギルドの領地は奪えません。

 自然、同じ国のギルドは協力して戦う事になります。

 戦闘は2時間で、領地は戦闘終了時に確保していたギルドの物となります。


 私達は同国の同じく中堅ギルドと組み領地を攻め、そこに居た黄の弱小ギルドを蹴散らし、組んでいたギルドがその領地のフラッグを落としました。

 フラッグを落としたギルドと同国のプレイヤー以外は、自分の国の城に強制的に飛ばされ、領地はフラッグを落としたギルドの物となります。

 この時点で他の領地は他国がすべて占領しており、今からうちが他の領地を狙うのは難しかったです。

 それ自体はかまいません。そういう事もあります。


 問題はその後でした。

 蹴散らした黄の弱小ギルドが、黄のトップギルドを引き連れて逆襲に来たのです。


 誰もが強いギルドで、俺Tueeeしたいもの。自然強いギルドに強い人が集まって益々強くなり、他のギルドとの差は開きます。

 緑の中堅2ギルドでは太刀打ちできず、こんどはこちらが蹴散らされました。


 まだフラッグは落とされていませんでしたが、領地を取られるのは確定したも同然です。

 もう戦闘終了間近でした。敵は終了ギリギリの時間にフラッグを落として領地を確保する作戦と思われます。


 トップギルドの支援を受けて領地を確保した彼らでしたが、領地を確保すればそのトップギルドは引き上げている可能性もあります。

 メンバーに指示を出しました。

「もう強力していたギルドの領地を守るのは不可能です。領地を落とされたその瞬間に、領地に突入して一気にうちがフラッグを落としかえす。それしかありません。領地の入り口前で全員待機」


 黄のギルドがフラッグを落とすその時、領地に入っていては緑の私達は城まで飛ばされる。城から領地までは遠いので、飛ばされてはフラッグを取りにいく時間がなくなるのです。


「フラッグを守らなくて良いんですか?」

 協力していたギルドを見捨てるのか? という意味も含み、メンバーが問いかけてきました。

「どうせ守りきれません。たぶんもう黄のギルドがフラッグを囲んでいます」

 領地の外から領地内の事は見えませんが、私はそう確信していました。

 万一予想に反し囲んでいないなら、それはそれで協力していたギルドが守りきれているんだろう。そうも考えていました。


 終了時間に刻一刻と迫っています。

 後5分。後4分。中々黄の弱小ギルドはフラッグを落としません。


 敵が弱小ギルドだけになっていたとしても、領地に突入してからフラッグを落とすまで約2分は欲しいところです。

 後3分を切りました。まだフラッグは落ちません。


「ちょっと、見てきます!」

 待つ事に耐え切れなくなったギルド長が叫び、領地に突入しました。

 ギルド長も戦闘に参加していますが、指揮は私が執る、という体制なのです。


「私も見てきます」

 ギルド長が突入した事にメンバー達は次々と領地に突入します。

 え? と思っている間の出来事です。止める事も出来ませんでした。


 戦闘終了まで後2分半。

 どうすべきか? 戦力の大半が突入し、今からフラッグが落とされ、その後突入しても、フラッグを落とせるだけの戦力はもはやありません。

 もしかして、実はまだ黄のギルドはフラッグを囲んでいなくて、今突入すればフラッグを守りきれる、という事も可能性としてはゼロではありません。いっそ自分も突入すべきか。


 そう迷っているとギルド長がまた叫びました。

「飛ばされたー!」


 ギルド長以下、突入したメンバー全員が城に飛ばされていました。

 突入したその直後に、黄のギルドによってフラッグが落とされたのです。


 やむを得ず、残存メンバーを率いて領地に突入しました。

 弱小ギルドが落とした領地にトップギルドのプレイヤーは残っていましたが2名のみ。他は引き上げていました。

 しかしたった2名といえど、トップギルドのプレイヤーは強く、シンボルを落とす事は出来ませんでした。

 ですが、全メンバーが揃っていれば勝てていたと思います。


 もっともこの事でMMOでのギルドメンバーが、次にプレイした戦略ゲームの連合員達より自己中心的だったとは思いません。

 一度の攻撃に十数分から数十分かかる戦略ゲームと、すぐに行動に移せるゲームとの差だと思います。

 時間に余裕があって落ち着いて考えられると、やはり行動も違ってくると思います。

 思えば私もMMOでプレイしていた時、私以外のメンバーが指揮を執っている時に必ずしも指示通りに動いていたとはいえなかったですし。


 また、ギルド長自らが、私の指示を無視して突入した事も、他のメンバーまで突入した理由と思います。

 あえて教訓っぽい事を言えば、将(私)に戦いの指揮を任せたなら王(ギルド長)は、指揮に口を出すべきではない、といったところでしょうか。

 小説や史実でも、現場指揮官が居るにもかかわらず、それを無視して王様が指示をだし、作戦を混乱させるというのもよくあります。


 第二次世界大戦でも、自身は伍長程度の地位での戦闘経験しかないヒトラーが、名将揃いのドイツ将帥達の作戦に口を出し、作戦を混乱させたという話もあります。

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