↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
11/14

ネトゲはライフを削られる

 ネトゲを真剣にするとライフが削られます。

 とはいってもライフ(命)ではなく、ライフ(生活)の方です。


 今回のネトゲでは私もかなりのライフを削られました。

 私自身そこまでする気は無かったのですが、なぜだかずるずるとそういう状況になったのです。


 元々目立たない無言の一連合員としてプレイするつもりだったのですが、ゲームを開始して3週間ほどした時に事件が起こります。


 参加していた連合の連合長がゲームに飽きてしまったのか、突然インしなくなってしまったのです。


 しかも、インしなくなってまったくの無防備状態のうちの連合長の本拠地に、他の連合の連合員が道を伸ばしてきているのを、後に「防衛戦の名手」と私が呼ぶ事になる連合員が発見したのです。

 ゲームはまだまだ序盤でしたが、いきなり連合存続の危機でした。


 今思えば、攻めてきているのなら迎え撃てば良かったのですが、当時はそれどころではありません。

 結局この危機は、後の「外交担当」がその伸ばしてきていた連合と話をつけ回避する事が出来ました。

 向こうも一連合員の独断で道を伸ばしていただけで、戦争を仕掛けてくるつもりは無かったそうです。


 結局連合長はそのまま帰ってこず、一週間連合長がインしないと自動的に別の連合員に代わる、というシステムのルールにより交代となりました。


 こうしてうちの連合は、防衛戦の名手、外交担当、新連合長、そしてゲーム経験者という事で私が参謀、という幹部4人という体制になったのでした。


 当時まだ5位程度だったうちは中堅連合の気軽さもあり、とりあえずどっか攻めるか、攻め返されて逆に制圧されてもその時はその時、とA、B連合に奇襲を敢行したのです。


 日曜日の朝でした。

 A連合に新連合長、防衛戦の名手を含む3名。

 B連合に外交担当と私の2名です。

 後に、戦闘となれば入れ替わり立ち代り20名以上が参加する戦闘集団となるうちも当時はその程度の戦力だったのです。


 ちなみに連合人数の上限は100名で、途中インしなくなる連合員、戦闘に参加したがらない連合員も多い中、ゲーム終盤に戦争で20名も参加するのは驚異的ともいえる動員率だったと思います。


 とにかく今までも散々記述していたように、このA、B連合への奇襲は成功しました。そしてこの時点でポイント2位になったのです。


 その数日後、ポイント1位の連合から、新連合長に外交の打診がありました。

 実はその連合も連合長がインしなくなり、内情はうちと同じく存続の危機だったらしいのです。


 このままでは連合が崩壊する。

 いや、連合はなくなっても構わないが、連合員を放り出すわけには行かないと合併先を探しており、おりしもA、B連合を攻め落としたうちの連合にその白羽の矢が立ったのでした。

 戦争ゲームをしているにもかかわらず戦おうとしない他連合と比べ、ゲームを楽しもうとする姿勢がある。そう判断したらしかったです。


 こうして他連合を攻め落として無理やり2位になっただけの中堅連合だったうちが、1位連合を吸収合併するという事になり、1位連合となったのでした。


 ここで連合方針に微妙な変化が起こります。

 元々は、他の連合が戦争の大変さから戦争回避する中うちは戦争を含めてこのゲームを楽しむ、そして1位を目指す。その結果逆に制圧されてもそれはそれ。という考えでした。


 しかし1位連合がわざわざうちへ吸収合併してきてくれた手前、「何が何でも」1位を目指さないといけないのかな? と考えるようになったのです。


 そうなると、おいそれと制圧されるわけには行かなくなります。

 制圧されてはポイントを奪われ、順位が下がってしまうからです。

 防衛体制、外交にも力を尽くす必要が出てきました。


 この時点で、かなりのライフが削られるようになりました。


 そして中盤、私は致命的ともいえるミスをしているのに気付きました。

 そのミスの為、2位だった連合にポイントで抜かれたのです。原因は大拠点の数でした。

 ゲームのヘルプを見ると、大拠点を取ると5万から10万点を獲得できると書いています。


 私が1年前にこのゲームをしていた時のルールはその言葉通り、大拠点を取った時に、そのポイントを得られる、というものでした。

 他連合を攻め落とした時に得られるポイントは数百万から多くて2千万以上。その10万程度のポイントは物の数ではありません。


 ですが私がこのゲームをしていないブランク期間のうちに、大拠点を取ったら「毎日」そのポイントが得られる、にルールが変わっていたのです。

 そうなれば、大拠点1つの重みが全然違います。

 戦いを優先させていたうちの連合は、大拠点の数で大きく差をあけられていたのです。


 世界にある大拠点の数は限られています。今から獲得に動いてもその差を埋めるのは不可能でした。

 うちが1位になるには、さらに戦い他連合からポイントを奪うしかありません。

 この時点で、新連合長は仕事が忙しくなったらしくインしてこなくなり、私が連合長になっていました。


 このゲームの1サイクルは4ヶ月とヘルプにあります。

 1位連合の毎日の獲得ポイント、うちの獲得ポイントを計算し、他の連合から何ポイント奪えればゲーム終了時にうちが1位で終われるかの計画を立てました。


 そして僥倖ともいえるA連合の自殺行為などを経て、ゲーム終了時に1位で終れるだけのポイントを獲得することに成功したのです。


「そういえば、FP(ファイナンシャルプランナー)2級の試験を受けるんじゃなかたっけ? 勉強しているの?」

「一応毎日仕事の合間に勉強している。それに試験はゲーム終了の1週間後だ。そこで集中して勉強する」

 もうすぐゲームを終ろうという時、外交担当とその様な会話をしました。


 この時点でゲームによりかなりのライフが削られ、正直共にきつい状態でした。

 もう1人の幹部、防衛戦の名手もそうだったと思います。


 私と外交担当は、このサイクルが終了すればゲームを引退する。後もう少しだから頑張ろう。その様に言い合っていました。


 ですがここでまた予想外の事が起こります。

 ゲーム終了日が近づくと運営からゲーム終了日が告知されます。だいたいその2、3週間前に発表されるのが普通でした。ですがその告知がなかなかありません。


 やっと告知されたのは、想定していたゲーム終了日の1週間前。私はその日付に目を疑いました。

 ゲーム期間が4ヶ月ならと想定していた日付の丸々1ヶ月後。つまりゲーム期間は5ヶ月だったのです。


「駄目! もう無理! 引退する!」

 外交担当が叫びました。

 あと少しだから頑張ろうとしていたところに1ヶ月の延長です。無理もありません。


 連合長は私でしたが、基本私は参謀体質です。どうしたらよい? と外交担当に聞かれれば、こうすべき、という話はしますが、それを基にした連合員への指示は、外交担当の方が私の倍以上していたでしょう。

 実際彼女の負担は私以上でした。


「運営。いくらなんでも適当過ぎだろ……」

 私も愚痴を漏らしました。

 試験を控えています。ゲームにかまけて試験に落ちる。余りにも阿呆な行為です。自分でも分かっています。


 しかし私と外交担当が抜ければ、連合の幹部は防衛戦の名手ただ1人。全世界に目を光らせ隙が無く、私などより遥かに有能ですが、さすがにその彼といえど1人では潰れてしまいます。

 私と外交担当が抜ければ、連合員達を放り出す事になる。


 私達のライフは削られていっていましたが、連合員も私達の指示の元、ライフを削りながらプレイしているという面もあります。

 しんどくなったから「はい、さようなら」というわけには行きませんでした。

 ゲーム続行です。

 外交担当にも残留してもらいました。


「試験はどうするの?」

「何とかする」

 外交担当の問いにそう答えました。もっとも私自身、何をどうやったら、何とかなるかなんて分かってはいませんでしたが。


 夜、PCの前に向かうと、ゲーム画面と試験の過去問題のHPの両方を開く生活です。当然勉強ははかどりません。

 毎日、計画している勉強量の半分も進まなかったでしょう。


 ゲーム期間が4ヶ月だった場合の予想終了日をうちの連合はポイント1位で通過しました。

 しかしそれもむなしく、数日後に抜かれ2位に転落します。


 4ヶ月でゲーム終了と計画し他連合を攻めまくっていたので、今から再度、他連合を攻めて抜き返すのは不可能でした。


「こうなったら連合員達には、順位よりも最後までゲームを楽しんで貰う事を考えよう」

 外交担当の言葉に私も頷きました。


 私達の連合は、その後も他連合と戦い続けました。

 攻め落としても再度1位になれるほどのポイントは奪えない。それは分かっていましたが、ゲームとして楽しむ為の戦いです。


 結局うちの連合は、ゲームが終了するその瞬間まで戦い続けていました。

 ゲーム終了数分前にG連合の拠点を落としたところで、その隣にまた拠点があるのを発見しました。

「後、もうちょっと時間があったら、最後にあそこの拠点を落とせていたのに!」

 外交担当が叫びました。

 順位は最終的に2位でしたが、まことにうちらしい最後でした。


 その後、2鯖もやっている私は様子見程度に2鯖を覗いたりしていますが、基本ゲームは引退しました。


「あのゲームは戦争をすると大変だけど、戦争しないなら面白くないと思う。でも戦争すると大変だから私はもうやらない。私はあのゲームはもう燃え尽きた」

 外交担当はそう言い、完全引退です。


 確かにやっているときは大変でしたが、振り返って見れば面白かったと思います。

 ですが、もう一度やれといわれてやるだけの気力はありません。


 やはりネトゲはライフを削られる、という話でした。


 まあ、こうしてネタに出来るのも試験には何とか合格したからです。

 もし落ちていたら、恥ずかしくて書けません。


 そういえばその試験日は、G連合の連合長を速攻で攻め落とした電撃戦を行った日でした。

 午後過ぎまで試験を受けて、夕方から戦闘開始です。


 我ながら何をやってるんでしょうね。


 追伸

 外交担当から指摘がありました。

・一番初めの連合長がインしなくなったのは、始めて3週間後じゃなくて、自分達がやり始めてから3日後にはもうインしなくなっていた。

・初めにA、B連合を攻めたときに、新連合長は参加していなかった。

・初めにA、B連合を落とした後、うちの連合はポイント1位になっていた。

 ※でもすぐに抜かれて2位になった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。