第30話 愛が重いのかもしれない Side:和泉日色
先週、深町さんから告白をされた。
その前日の放課後にできてしまったはずのよそよそしさなんてものはなく、驚くほど吹っ切れた顔をしていた深町さん。あの時は、もしかして俺から離れる決断をしたのかもしれないと不安になったが、今となっては、久坂さん辺りが相談に乗った結果ああなっていたのだろうと思う。
案の定、その予想は当たっていたらしい。たまにはと向かった旧校舎には先客がいた。
「それで、どんな風に告白したんデスか?」
「僕も気になる」
「えっと……」
恥ずかしそうな声を上げる深町さんがものすごく可愛い。
「惹かれたところを並べて言った後に『好きです』って言った……」
「……1つ言っていいか?」
「な、なんですか?」
「……可愛すぎるだろそれ。日色もかなり応えてると思うぞ?」
玲、その距離感はダメだ。深町さんと近すぎる。深町さんに近づくな。そうやって飛び出していきたい気持ちを、告白してくれた時の深町さんを思い出してぐっと堪える。
本当にあれは可愛すぎた。大切なものを抱きしめるように、ゆっくりと、優しく……。そうやって言葉を紡いでくれたあの時の深町さんは、本当に可愛かった。頭を撫でるだけで踏みとどまった俺はよくやったと思う。
「……応えてくれてたなら嬉しいな」
その言葉でうっかり物音を立てそうになった。俺の想い人が可愛すぎる。
「伊都先輩……今の和泉先生の前で言ったら絶対に抱きしめるくらいはされてるよ」
「いやいや、あの和泉先生デスよ? キスくらいはしてるかもデス!」
「……へ?」
夏川くん、久坂さん、大正解。正式に恋人となった時にそんなことを言われたら、そうする自分の姿が見える。そして今の反応も可愛い。
「日色はそれくらいすると思うぞ? 4月以降が楽しみだな?」
「……え?」
「顔が真っ赤デスよー?」
「頑張って、伊都先輩」
「…………がんばります」
その深町さんの言葉には、嬉しさと恥ずかしさが半々くらいで乗っていた。
本当に、来年の4月が待ち遠しい。早く深町さんに告白の返事をしたい。真っ直ぐ目を見て「愛してる」って言いたい。
……こんなことを考える俺は、結構愛が重いのかもしれない。
そんなことを考えながら、俺は旧校舎から静かに離れた。




