表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/55

ネオ・ニールは守れなくて

朝にも1話更新済みです。

 歩乃華とチューネの背中を見送ったあと、ネオは大統領を冷めた目で睨んでいた。


「大統領。貴方は、送り人をどう利用するつもりですか」


 ネオにとって、送り人は子供だった。

 未来ある子供で、守るべき存在。


 正直魔力欠乏体の治療だって、どんな報酬でもやる予定だった。

 彼女が送り人とはいえ、色んな決断させるなんて酷。

 子供は、まだ知らなくていい。

 ……笑っているだけで、いい。



 僕は大人です。子供を守る責任がある。だから貴方が都合よく利用するなら許せない。



 大統領はネオの態度を見て、少し笑う。

 ネオは逆撫でされた気持ちになりつつ、睨み続けた。


「利用じゃないよ。彼女が選んだ結果が今だ」


「選んだから、戦場にも立たせるんですか」


 あの子は攻撃魔法が使えない。

 力もないのは言うまでもないだろう。


 もちろん頭がいいのもわかってる。

 彼女は送歌ノ祝福を持っているから、精霊を生み出せる。

 都合のいいように魔法だって使えるかもしれない。


 でも──子供だ。


 それだけで、戦場に立たせない立派な理由になる。


 血なまぐさい戦場なんて、見せちゃいけない。


「そんなのは……許されちゃいけない。間違っていると思いますね」


「私だって、立たせたくないよ。でもね、送り人は希望なんだよ。いるだけで、士気が上がる」



「……もしかして。あの噂を、送り人の回復能力を広めたのは……あなたですか?」



 ネオの言葉に大統領は笑うだけだった。


 話し合いを続けたところで、大統領はあくまでも国を守る立場だった。

 それが正しいことくらいわかってる。

 それでも、ネオは許せなかった。


 でも自分には何も出来ない。


 送り人は振り切った覚悟を持っている。

 少し会話しただけで、その歪さは容易にわかった。



『魔力結晶さえあれば、助けられる。魔物を倒すことで……得られるなら』


 送り人が呟いた時、その瞳は歪んでいた。

 それは酷く危険な精神状態を指す。


 どれ程までに大事な存在が魔力欠乏体になったのか知らない。

 だけど、今のままでは手段を選ばなそうな危険性を感じた。


 戦場に立つな、なんて言ったところで聞き受けるわけがない。


 分かってはいる。

 送り人は、歩乃華は戦場に立つ。


 この国としてもそれが平和に繋がるんだ。


 だからこれは仕方がないことで、ネオの考えは間違いなんだろう。


 でも許せなかった。

 許したくなかった。


 これが正しかったら、あの時の自分を──認めてしまうことになる。



『君は、魔法殺戮兵器。いいかい、敵は全員の殺すんだ。わかったね?』



 嫌な過去を思い出してしまう。


「僕の考えは変わりません。でも、口出しはしないです。では、僕は騎士団長と連携を確認してきます。さようなら」


 足速にネオはこの場を去った。

 国なんてクソ喰らえ。

 僕は、自由のために冒険者になったんだ。



『なぜ、逃がした? 子供なんて関係ない。相手は敵だ。全員殺せ』



 うるさい。


 ネオは城壁に向かう。

 そこに、騎士団長がいると聞いたから。


『使えない兵器に価値はない。わかっているだろう?』



 黙れ。


 ネオは足音を大きく鳴らしながら、城壁の中へ入る。

 そして部下と話している騎士団長を見つけた。


「騎士団長。今いいですか」


 相手を慮る余裕はない。

 早く脳内を別のことで埋めてしまいたかった。


「あー、ネオか。わり、ちょっと待っててくれ。ギルド長も後で来るし、その時に色々教えて欲しい」


「ギ、ギルド長も来るのですね。いいですよ、待ちます」


 怒られたばかりだから、気まずい。

 でも仕方がない。

 ネオは魔物の侵攻方向を眺める。


 木々が生えているからこそ、火の魔法を使うと二次災害が酷くなる。


 だから今回は使わない方がいいですね。

 火の魔法を跡形もなく消せる天才なんて、片手で数えられます。



「お、ギルド長来たな! よし、ネオ教えてくれ。何が発展したんだ?」


「来たばかりなんだが……チッ、しゃーねぇな」


「まず、装備が明日手に入るかもです。あとは……」



 情報を共有する。

 そして"アビスアイ"の存在も口にした。

 しかし、2人も知らないようだ。


 でも送り人は割と確証を持っていそうだった。だから、何かがあったんだろう。


「ま、装備がどうにかなるなら願ったり叶ったりだ。今みたいな装備は、逆にない方がいいからな」


「それはお前だけだろ。あと、アビスアイはギルドも探ってみる。期待はするなよ」


「わかりました。ちなみに僕は今余裕ありますけど、何かあるでしょうか?」


「お! じゃあ……」


 これでいい。

 休むよりも、暇な時間を無くした方が僕にいい。


 騎士団長について行きながら、きっと頑張っているだろう2人を思う。


 チューネがいるから、送り人も情報を無事に見つけ出せるよ。



──チューネは僕を見つけたんですから。


 探し物が得意な、大事な弟子です。



『私さんを助けてくれた貴方! さ、行くわよ! こんな薄汚い檻なんて窮屈だもの!』

面白かったり、続きが気になった方は評価やブックマークの方をよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ