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俺たちの高校生活支援部!!  作者: ハチノグノ
正真バトル編+番外編
37/40

恋はビリビリ⚡️ 最終話

先ほどの微妙な空気感を残したまま、俺たちはイタリアンの店を出た。


「で、どうするの?この後は」


「お前今日金はあるか?」


「まあ、そこそこあるわよ。お小遣い普段使うところあんまないから」


きっと交際費の支出とかほとんどないんだろうなとか想像して少し悲しくなってしまった。いや俺も一緒なんだけどね?


「そうか。じゃあ次はショッピングだ」


俺の予定では駅前のショッピングモールで適当に色んな店を回って時間を潰すつもりだ。特段買いたいものがあるわけじゃないが、見て回れば何かしらあるだろう。


「いいわよ。私も新しい服欲しいし」


「それなら良かった。じゃ、行くか」


「うん」



俺たちはショッピングモールへの道を並んで歩く。


しかし、やはり先ほどの空気が尾を引いており、いつもとは違って会話の盛り上がりが少ない。普段からずっと話しているといえばそうではない。沈黙の時間も存在する。しかし今日の沈黙はどことなく気まずい。


それもこれも柏木の様子がさっきからおかしいせいだ。俺はそこまでいつもと様子は変わらないつもりなのだが、柏木の口数が異様に少ない。俺が会話を振ってもそっけない返事ばかりだ。と思えば、今度は柏木からこちらに話しかけてきた。


「ねぇ」


「なんだよ」


「今日ずっと片手空いてるんだけど」


柏木の左手は小さめのバックを持つのに塞がれているが、右手はそうではない。


「というと?」


「言わせないでよ。夏祭りのときはしてくれたでしょ?」


柏木の言葉で、夏祭りのときテンパりすぎて頭がおかしくなった俺が柏木の手を握っていたのを思い出した。


「こ、これでいいのか?」


俺は柏木の空いた右手を握る。


「う、うん…。ありがと」


え、なんなのこれ。いつの間にか柏木、別の女の子と入れ替わってたりする?じゃなければこんなにきゅんきゅんするはずないんだけど。だって、来るもの全員はっ倒すでお馴染みの柏木さんでしょ?ツンデレのツンの部分だけで構成されたツンツン人間だったよね、この人。


いや待てよ。それは置いておいて、このまま手繋いでたらどっちかに電流が流れたら二人してビリビリすることにならないか?


俺が冷静になったタイミングで、謂れもない電流が俺を襲った。


「「ぬんぁあ!!」」


俺の想像通り、二人して電流の餌食となる。

その拍子に俺と柏木の手は離れ離れになった。


「柏木。お前今、脈拍高くなってたろ」


「な、なってないわよ!新田の方に流れたから巻き添えくらったのよ!」


「まぁ、いいよ。その代わり、俺がくらったときはお前もくらうことになるんだからな」


俺は解けた柏木の手を再び手繰り寄せる。


「いいの?今またビリビリ来ちゃうかもだけど」


「いいって言ったろ。別に回数は別個でカウントされてるんだし」


電流をくらう回数は二人分になるが、勝敗に影響さない。それなら痛みを我慢してお互いしたいことをしよう。


この手を繋ぐという行為、俺も嫌いではないのだ。


「そっ。じゃあこのまま行こ?」


「あ、あぁ…」


手を繋いだ俺たちは目的地であるショッピングモールへと向かった。



「ね、この服どう?」


試着室を開けて服を披露する柏木。


「ん、似合ってるんじゃねーのー」


「じゃあこの服は?」


柏木は再び試着室を開けて違う服を披露する。


「うんうん、いいと思うよー」


ショッピングモールに着いた俺は、柏木の服選びに付き合わされていた。


「ねぇ!ちゃんと考えてるの!?」


柏木は眉間に皺を寄せながらこちらに迫ってくる。


「いやでも、俺のセンスは当てにしない方がいいと思うよ?自分の服選びも苦労するのに、女子が着る服を評価しろって言われても…」


「大丈夫!ダサいのは持ってこないから。あくまで私がいいと思うものの中で選んでほしいってことなんだから」


「なるほど…。じゃあ一番最初のやつ」


「ふーん、新田はああいうのがタイプなの?」


「俺の好みかは分からないけど、柏木はフリフリした服よりパンツスタイルのが似合うなって思って。カッコ可愛い的な?」


柏木は他の女子に比べて背が高いし、足も長くてスタイルがいい。だからスカートやワンピースよりかは身体のラインが分かりやすく、スタイルの良さが際立つ最初のものをオススメした。


「そっかぁ。でもそれ、今日ワンピースの私に言う?」


「お前が選べって言ったんだろうが。それに、別に今日の服装が悪いとは言ってねーよ」


「ふーん。そういえば今日の服装について、新田何も言ってくれてないよね」


少し不機嫌そうに柏木は言う。こういうところ、柏木はちゃんと女子なんだよな。普段は男勝りな性格なくせに。


「いやまぁ、可愛いと思いますよー」


「ちゃんと目を見て言いなさいよ」


「…可愛いと思います」


「へへん。それでよろしい。新田もカッコいいよ?」


…この程度じゃもう電流は走らない。まぁ、少しドキっとしたけど。


「はいはい、ありがとよ」


「でも新田の服装ってシンプルすぎるわよね。制服とほとんど変わらないし」


「まぁ、確かに。白のポロシャツに黒のスラックスだからな」


「じゃあ今度は私が新田の服選んだげる」


柏木はそう言いながら不敵な笑みを浮かべた。


「おい、何着せる気だ」


「変なのは着せないから!さっきの服買ってくるから、ちょっと待っててー」


「ん、分かった」


レジで会計を済ませた柏木は駆け足でこちらに戻ってくる。


「じゃ、行こ!」


柏木は俺の手を引っ張り、店を出た。



「おー、意外とちゃんとしてるじゃんか」


柏木が俺に見繕ったのは、先ほど俺が履いていたスラックスよりもワイドな黒茶色のカーゴパンツ。それに上は無地のポロシャツではなく、おしゃれな写真みたいなものがプリントされた白のTシャツ。


俺はそれらを着て試着室を開けて柏木に見せた。


「あ、そのTシャツはパンツにインするの!そっちの方がカッコいいから!」


「こ、こうか?」


俺は指示された通りにTシャツをパンツに入れた。


「それも違う!インはさせるけど、ちょっとTシャツをダボっとさせるのよ。それじゃあ体操着の小学生じゃない」


「こう?」


「うーん、なんか違う…。ちょっと貸しなさい!」


柏木はこちらに駆け寄ってきて、インしたTシャツの微調整を行う。


柏木は俺の目の前で、少し屈んで作業をしていた。その様子を上から見下ろすと、柏木の緩んだ胸元が目に入る。


見てはいけないものなのに、自然と目が吸い寄せられてしまう。これが揺れるものに弱いという男の特性を逆手に取った女の武器か。駄目だ、新田将也。ここで下手に興奮してしまっては…。


「いったぁ!!」


「え!ちょっと急に何よ」


「電流に邪魔されました」


「何を?」


柏木は少し考えてハッとした後、自身の胸元を手で押さえた。


「もしかして見えてた?」


「いや、ごめん。見るつもりはなかったんだけど」


「でもさっき邪魔されたとか言ってたわよね?」


「そ、それはだな…」


俺は柏木から目を背ける。


「はぁ、呆れた。新田ってほんとバカ。ま、いいわ。今度見たら殺すから。てかそれ、気に入ったなら買ってみれば?」


「うーん、どうするか」


俺は振り返って、改めて試着室の鏡を見る。今までの自分のファッションと系統が違うため違和感はあれど、そこそこ良い感じなのではないかと思う。


「うん、普段とは違う自分で結構気分いいかも。やっぱモデルが良いと服が映えるな」


「はい?私が悪いモデルでも似合う服を見繕ってやったのよ。感謝しなさい」


「んだと?俺の整った顔立ちとモデル体型あっての相乗効果だろうが」


「いいえ。マイナスをプラスに変える私のコーディネートがあってこそよ」


俺たちはお互いを睨みつける。

…いや待て。せっかくのデートなのだから、こんなくだらないことで喧嘩していていいのだろうか。うん、いいわけがないな。ここは俺が折れるとしよう。


「ふん。とりあえずこの論争の決着は後でつけるとしようか。今日はデートなわけだし喧嘩はやめよう」


「まぁ、、、それもそうね」


「じゃあ、俺この服買ってくるから待っててくれ」


「うん、分かった」


どうにか喧嘩を始めずに済んだ俺は服を買いにレジへと向かう。


「お会計 2点で18000円になります」


「2点で18000円…」


高すぎないかこれ。普段は安価なメーカーの服で済ませてるからこんなにしない。それにしても柏木、ちゃんと値札見たのか?一応俺たち高校生だぞ。


「お客様?」


「あ、すみません。20000円でお願いします」


「はい、お預かりします」


まぁでも、こういうちゃんとした服は1セットくらいあってもいいのかもしれない。世の高校生たちもきっと、奮発してこういった服を買ったりしているのだろう。


「お釣りが2000円になります。そういえば、さっきのって彼女さんですか?」


店員は笑顔でそんなことを聞いてきた。


「あぁ、いや。そんなんじゃ」


俺はお釣りを財布にしまいながら答える。


「もしよかったら買った服着てっちゃいますか?彼女さん、カッコいいお客様のこと見たら喜ぶと思いますよ…!」


この店員、俺の話聞いてねぇな…。


でもせっかくだし着替えて出て行くのも悪くないかもしれない。柏木も横を歩く男はオシャレな男の方が嬉しいだろう。


「じゃあ、せっかくなんで着て行きます」


「かしこまりました!今値札外すので、あちらの試着室使ってもらって大丈夫ですよー」


そして会計を済ませた俺は、買った服に着替えて柏木の待つ方へと向かった。


「お、きたきた」


「お待たせ」


「早速着てきたのね」


「いや、俺は着るつもりなかったんだけど店員に勧められて」


俺がそう答えると、柏木は顎に手を当てて、俺を見ながら何やら考えて始めた。


「柏木?」


「うーん、それ着るなら靴も他のに変えた方がいいかも」


「このスニーカーじゃ駄目なのか?」


「別に悪くはないんだけど、ローファーとか履いた方が大人っぽくなっていいかなって」


「ローファーかぁ。履いた試しがないな」


「新田はまだ予算ある?」


今日は念の為に少し多めに持ってきてある。ローファーぐらいなら買えそうだ。


「大丈夫だけど」


「それじゃあ買いに行くわよ!」


「はいはい。今回もコーディネートの方よろしくお願いしますよ、柏木先生」


俺は柏木に連れられるがまま、モールの中にある靴屋へと向かった。



「人を着せ替え人形みたいに使いやがって…」


「こういう風に同年代の男の子の服選ぶことってあんまないから、つい面白くなっちゃって。弟はまだ小さすぎるしね〜」


ショッピングを終えて、モールから出たときには、俺の服装は今朝とは全く違うものになっていた。


「伊達メガネとか初めて買った。それにこのハットっていうのか?普通の帽子とは違う丸っこい感じのやつ」


「結構似合ってるわよ?」


「そうか?ならいいけど」


結構大胆なイメージチェンジをしたせいか、似合っているとは言われても、これで街中を歩くのは少し落ち着かない。


「で、どうする?結構時間も遅くなっちゃったけど」


柏木は腕時計を横目に話した。


「うーん、あんまり遅くなってもよくないし、ぼちぼち解散だな。そうだ、家まで送ってくよ」


「どういう風の吹き回し?部活終わりに帰り一緒の時とかもそんなこと一回も言ったことないくせに」


「一応デートだからな。それに柏木の家がどんな感じなのか少し気になる」


実際、この数ヶ月間でこいつとの仲は深まったが、どんな家で、どこにあるのかも知らない。最寄りの駅くらいは知ってはいるが。


「げっ。家の中には上げないわよ。親も弟たちもいるし」


「別に上がる気はねーよ。外観だけでもと思って」


「確かに行ったことない友達の家って結構気になるわよね。ま、そういうことなら付いてきてもいいわよ?」


「なんで俺がお前の家に行きたがってるみたいになってんの」


「さっきそう言ったじゃない」


「別にそこまでじゃない」


「じゃあ、来るのやめる?」


柏木は意地悪く、挑発的な声色で聞いてきた。


「付いて行かせていただきます」


「うむ、素直でよろしい」


そんなこんなで俺は柏木を家まで送ることになった。



柏木の最寄りの駅まで向かうため、俺たちは電車に乗ったわけなのだが。


電車のシートに座る俺の肩には、中身なんてないはずなのに、意外と重い柏木の頭がもたれかかっていた。


「よだれ垂らしてる…」


さすがにここまで気持ちよく寝られては、中々起こせないというもの。目的の駅まではそこまで遠くはないため、少しむず痒いが我慢しておこう。


それにしても…。


「やっぱり見てくれだけはいいんだよなー」


俺は柏木の寝顔を見ながら小さく呟いた。


なんやかんやで柏木と出会ってからの数ヶ月、色々なことがあった。今、窓の外に見えるような夕焼け空の下で愚痴を垂れている柏木に出会い、いつの間にか二人で部活を立ち上げた。そして、友達がいなかった俺たちに高援部は多くの友人をくれた。天木先輩に始まり、折口高木先輩カップル。吉村と秋元。直近の正真バトルでは坂野と知り合うことができた。そして部員である柏木と鹿苑。これがわずか数ヶ月の出来事だと言うのだから驚きだ。柏木がいなかったら、俺の高校生活はどうなっていたのだろうか。それはきっと、つまらない毎日だったのだろう。


柏木には感謝しなきゃな。


「そうだ!そうだぁ〜」


突然、寝ていたはずの柏木の口が開いた。


「って、寝言かよ…」


少し驚いて柏木の方へ目をやると、よだれを垂らしたままのアホ面に変わりはない。


「このお転婆め」


俺はほんの出来心で、寝ていた柏木の頬を指でつついたみた。


思っていたよりも頬の感触が柔らかく、触るのが面白くなってしまう。軽くつまんでみたり、伸ばしてみたり、両手で頬をいじくって変顔させてみたりして遊んでいると、突然ぎょろっと柏木の目が開いた。


「何してんのよ」


「うわっ。なんだよ起きてたのかよ」


慌てて柏木の頬から手を離す。


「そりゃ起きるでしょ。人の頬っぺたいじくり回してたら」


自分の行動が行動なだけに、さすがの俺も少し恥ずかしい。


「ご、ごめん…」


「私以外の女の子には、そんなことしたら絶対ダメなんだからね」


「分かってるよ」


「ふーん、あっそ」


柏木は不機嫌そうなのかそうでないのか、よく分からない態度で言葉を返した。ただそっぽを向いた時に見えた柏木の耳は、少し赤かった。


「次は○○駅〜、○○駅〜」


次の停車駅の案内が流れる。


「あ!てかもうそろ降りなきゃじゃない。いつの間に…」


次の停車駅は柏木の最寄りだ。


「だってお前寝てたし。あ、そういえばよだれ。付いたまんまだぞ」


俺は柏木の口元を指差す。


「ちょっとー、もっと早く言いなさいよ!」


柏木は服の袖で口元を殴った。


ハンカチを使え、ハンカチを。


そんなやり取りをしていると目的の駅に着く。俺たちは改札を出て柏木家までの道のりを歩いていた。


「へー、お前の家ここら辺なんだ。あんま来たことないな」


「そりゃあ何もないただの住宅街だしねー」


確かに家以外ほとんど何もないな。


「てかさ、今日はありがと。楽しかった」


「こちらこそ。電流はキツかったけどな」


「でも後半はあんまりビビっとは来なかったわね」


「デートとやらに俺たちが慣れたってことだろ」


「まぁ、それは言えてるかも。それにいつの間にか新田ってば手離したまんまだし」


買い物をし始めたあたりから、てっきり柏木が手を繋ぎたがっていたのを忘れていた。


「じゃあこれも慣れなきゃだな」


俺は空いた柏木の左手を自身の右手で掴んで握った。


「…慣れなきゃってなんで?」


「これからもするだろうから…」


ビリビリ!


俺たちのもとに久方ぶりの電流が流れる。


「慣れなきゃって言ったばかりだろ!」


「違うもん!これは手繋いだからじゃないもん!」


「じゃあ何でだよ」


「新田がズルいこというからだし」


「なんだそれ。うっせー」


「あ、照れた」


「は?照れてねーし」


「いーや照れてるもんね」


「照れてない!」


「照れてた!」


「照れてないって言ってんだろ!」


「絶対照れてたもん!」


例の如くくだらない争いをしていると、一軒の家の表札に目がいく。


そこには「柏木」の文字が。


「あ、着いた」


「なるほど。ここがお前の家か」


柏木の家はこれぞ一軒家といった感じで、二階建てのそこそこ大きい家だった。警備面もしっかりしているのか、俺たちが玄関の前まで行くと防犯用のライトがセンサーで点いた。


「結構立派だな。新しめだし」


「そう?こんなもんでしょ。じゃあ今日は送ってくれてありがとう」


「ん。じゃあまた明日部活で」


「うん、また明日」


俺たちは別れの挨拶をする。繋いでいた手を離して解散しようとしたその時。柏木家の玄関のドアが開いた。


「ねぇねおかえりー。って…」


出てきたのはおよそ小学校2、3年くらいの小さな男の子。おそらく防犯用のライトが点いたから出てきたのだろう。


「ママ大変ー!ねぇねが彼氏連れてきたー!」


弟は玄関の扉から手を離し、大声を出しながら家の中へと戻っていった。


「あらやだ本当!?今からお赤飯の準備しなくちゃ。パパー!芽依が彼氏連れてきたって!」


家の中の声が外まで漏れてくる。


「お前の家、随分楽しそうだな」


「最悪…。玄関前で別れればバレないと思ってたのに…」


すると再び玄関の扉がガチャっと開いた。


「あ、新田じゃん」


出てきたのは以前会ったことのある柏木の妹の愛依。


「よ、久しぶり」


「お姉ちゃん、新田と付き合ったの?」


「そ、そんなわけないでしょ!っていったぁ!」


また電流流れてるなこいつ。


「新田、早く帰った方がいいよ。早くしないとママとパパからだる絡み受けるハメになるから」


愛依は淡々と俺に向かって話す。


「うん、そんな予感はしてる」


「そうよ新田。愛依ちゃんの言う通りだから早く帰って!」


「分かったよ。じゃあまたな。愛依も」


「うん。今度家に誰もいない時教えてあげるから、その時はお姉ちゃんと二人でくれば?」


「ちょっと!愛依ちゃんってば何言ってるのよ!じゃあまたね、新田」


「おう」


俺は二人に手を振り駅の方へと歩みを進め、帰路へと着いた。



「結果発表ー!!」


翌日の恵星学園けいせいがくえん屋上。鹿苑茜が大きな声でそう叫ぶ。


「それでは、昨日のデートでどちらがどれだけ電流を浴びていたか。すなわち、どちらが相手を意識してしまっていたかの発表です!」


「なんだ、こいつのノリ」


「私に聞かないでよ」


「どぅるどぅるどぅるどぅるどぅる…バン!」


ごくり。俺は唾を飲む。


「新田さん 計15回 芽依さん 計28回でしたー!」


「思ったより大差だったな」


「えー!絶対嘘!新田ももっと回数言ってるわよ!」


「ふん、俺はお前と違って冷静沈着なんだ」


「どこがよ。私の胸チラ見て電流くらってたくせに」


「あれは全男子不可避なんだよ」


「変態…」


俺たち二人が昨日の出来事を言い合っていると、横からニヤニヤした鹿苑が割って入ってきた。


「昨日は大分お楽しみだったみたいですね。発案者としては嬉しい限りです」


「俺はもう2度とやらない」


「私も2度とやらないわ」


あの電流の痛みを知って尚、またあれがやりたいと言い出すのは一部のマゾだけだ。


「ま、何はともあれ俺の勝ちだな。俺が如何に魅力的な男なのか理解したことだろう。柏木くん、これからは発言に気をつけたまえよ」


「は?きっも。新田のそういうナルシスト気質なとこほんと無理」


「自分に自信がないよりかはマシだろ。ていうか、そういう柏木だって自分のことは可愛いって思ってんだろ?」


「そりゃそうでしょ。この学校で私よりスペック高い女なんていないわよ」


柏木は腕を組んで偉そうに威張る。


「驕りもここまでくると笑えてくるな」


「うっさい、新田のバカ」


「はいー、バカって言った方がバカなんですぅ〜。柏木のバーカバーカ!」


「はいー、新田もバカって言ったー!新田のバーカ!」


俺たちの低レベルな争いを見て鹿苑は苦笑する。


「この人たち、いつになったら進展するんでしょう。それに、頭の方も…」


「なんか言ったか?」

「なんか言ったかしら?」


「い、いえ、なんでもありません…」


一見何も変わらない俺と柏木の関係は少しずつ変化してきている。いつか友達ではなくなる日が来るのだろうか。それを柏木が望むなら、俺は…。



恋はビリビリ⚡️ 完。



長い夏休みももうすぐ終わる。そして訪れる二学期、二人の関係は一体どうなっていくのだろうか。


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