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俺たちの高校生活支援部!!  作者: ハチノグノ
正真バトル編+番外編
36/40

恋はビリビリ⚡️ 第二話

あれから翌日。俺は例のリストバンド風 電流脈拍測定器とやらを装着して柏木との待ち合わせ場所である駅前にいる。


柏木がまだ来ないため、俺は昨日の鹿苑の言葉を思い出していた。


「今日の分の電流のカウントはリセットしておいたので、明日家を出るタイミングで各々つけてください。デートが終わった次の日は部活ですし、その時にどちらが負けたか教えてくださいね!」


リストバンドの内側に電流が流れた回数が表示されている液晶があるため、俺たちはリアルタイムで自分たちの戦況は把握できる。


「それにしても早く着きすぎたな」


俺はスマホで時刻を確認する。集合の30分前に着いてしまった。普段遅刻魔な柏木はどうせギリギリで来るだろうから、あと30分は待ちだな。


てか、今日の俺の服装おかしくないよな?私服を校内の人間に見せるのは今回が初めてな気がする。例の夏祭りのときは甚平だったし。


そんなことを考えていると、後ろからポンポンと肩を叩かれた。


「よ、よっす…」


振り向くと私服姿の柏木がいた。


「お、おう。なんだ柏木か」


柏木は少し大人っぽいワンピースに身を包んでおり、髪もいつものように縛っておらず、普段とは違う印象を受ける。化粧も学校で見るものとは違うのか、華やかな印象を受けた。


そんな普段の彼女とは違う姿に俺は不覚にも見惚れてしまっていた。


「ねぇ、見過ぎじゃない?」


俺は見惚れてしまっていたのを柏木本人に指摘されてドキっとする。ドキっと?まずい…!


「痛ぁ!!」


「ねぇ、ちょっと!ここ学校じゃないから」


俺が電流をくらって悶え苦しんでいると、周りの視線がこちらへ集中してしまい、注目の的となってしまっていた。


「早く立ちなさいよ、バカ新田。てかなんでいきなり電流くらってるわけ?」


「す、すまん。柏木がいつもと全然違うから」


「それって、いい意味で?」


「そりゃあそうだろ」


俺が普通のトーンでそう返した途端に、柏木が声にならない声を上げた。


「ふぐぅ!!」


「え、お前もしかして今電流来た?」


「い、いいえ!来てないわよ?」


別に強がる必要はないだろうが。でも公衆の手前、痛さのあまりに転がるようなことはできないな。柏木のような反応が正解なのかもしれない。


「てかお前来るの早くね?」


「そういう新田こそ私より早く来てたじゃないの!」


「俺はもともとそういう性分だからな。でもお前は違うだろ。遅刻が多い柏木さんがこんなに早く来るということは何か理由があったんじゃないんですかねぇ」


すると柏木は少し照れくさそうに口を開いた。


「それは…今日のデート楽しみだったからだよ…?」


何その上目遣い。何その甘い言葉。何そのもじもじしてる感じ!今までそんな顔見せたことないじゃねぇか。正直めちゃくちゃ可愛いんだけど!


「んぐぅ!!」


俺に電流が走る。


「ははーん、引っかかった。私が本気を出せばこんなもんよ」


電流に苦しむ俺を柏木は嘲る。


「お前、一芝居打ちやがったな…」


「新田ってば、あれでドキドキしちゃったんだ?ウケるんですけど。ぷぷー」


こいつ後で覚えてろよ。俺だって芝居の一つや二つ打てるわ。この電流勝負、勝つのは俺だ。


「ま、別に芝居じゃないんだけどね」


柏木はポツリと呟いた。


「あ?なんか言ったか?」


「ふん、別に」


「そうかよ。で、今日はどこに行くんだ」


「え、私何も考えてないわよ?こういうのって普通男の人がリードしてくれるもんじゃない?」


「んなことだと思った。一応俺の方で予定は考えてきた」


結局、昨日の段階ではどこに行くかも決定しなかったため、俺は家に帰ってから作戦を練った。そう、このデートは普通のデートではない。相手を如何にしてドキドキさせるかのデートなのだ。俺のプランはそれを考慮したものとなっている。柏木のバカめ、俺に有利な舞台で今日は進めさせてもらうぞ。


「さすが新田。頼りにして正解だったわ」


調子のいいやつめ。


「じゃあ最初の目的地まで着いてきてもらおうか」


「ふふん、れっつごー!」



俺が最初へ向かったのは映画館。ここで今上映している最恐のホラー映画を柏木に見せ、驚かせる算段だ。当然びっくりして脈が早くなった柏木には電流が流れる。我ながら完璧な作戦じゃないか。


「へー、映画館か。定番っちゃ定番よね」


にしてもこいつ、いつにも増してニコニコしてるな。

俺の作戦なんて知らずに。


「それで、何見るの?」


「俺はこれが見たい」


俺はホラー映画のポスターを指差す。


「これホラーじゃない。悪いけど絶対嫌よ、私」


「ごたごた言うな、いいだろ別に」


「私は嫌なの!せっかくなんだし、私は二人で楽しめるのが見たい!」


柏木の純情な訴えに俺は少し迷う。もちろん電流のことはこいつも頭にあるんだろうが、様子から察するに柏木は楽しむことを第一に今日ここに来てるようだ。そんな柏木を無碍にして、勝負を優先してしまうのは人としてどうなんだろう。それなら勝負のことは後にして、俺も柏木と今日を楽しむことをまずは考えるべきなんじゃないだろうか。


「どうしたの?そんなに考えて」


柏木は俺の顔を覗き込んで聞いてきた。


「いいや、なんでもない。そうだな、二人で見れるものにしよう」


「へへっ、やった。それじゃあこれは?」


柏木が指差したのはコメディ系の洋画だった。


「へー、面白そうだな。これにするか?」


「うん!新田がいいなら」


俺もコメディはどちらかというと好きだ。基本バッドエンドがないからな。

俺は柏木の言葉に頷き、今日見る映画が決定した。


「じゃ、早速チケット買いにいこっか」


そして俺たちはチケットを券売機で買い、劇場へ入場しようとした。


「まだ開場まで時間あるな。そうだ、ポップコーンとか買ってないじゃんか。柏木も一緒に買うか?」


「うん、私もポップコーンは食べたい派〜」


そして俺たちは注文の列に並んだ。


「ねぇねぇ、カップル割だってよ」


柏木が指差すメニュー表に視線を移す。どうやらカップル割でポップコーンとドリンクのセットが幾許か安くなるらしい。


「俺たちカップルじゃないだろ」


「でも周りにはそう見えるんじゃない?おそろのリストバンドも着けてるんだから」


リストバンドって言っても中身は夢のないひみつ道具なんだけどな。


「次の方どうぞー」


店員に呼ばれた俺たちはレジへと向かう。


「ご注文はお決まりでしょうか…ってあれ?新田さん?」


案内された先で待っていたのは今ではすっかり顔馴染みの天木かのんだった。


「それに柏木さんも。ふふっ今日はデートですか?お揃いのリストバンドまで付けて」


見知った人間に柏木と二人で出かけているところを見られ、俺の脈拍は上がってしまった。


「ふ、ふぎゅ!」


「ふぎゅ?どうしたんですか?新田さん」


「い、いやなんでも。まぁ、デートはデートなんですけどちょっと特殊なのですね」


電流に苦しめられながらも俺は、横の柏木に会話を振った。


「そ、そうねぇ…。ふふふ、普通のデートではないわ」


横の柏木も俺同様電流の刑に処されていたらしい。


「ていうか天木先輩バイトしてたんですね。しかもここの映画館で。柏木は知らなかったのか?」


「私は知ってたけど、いるとは思わなかったから。さっきは気づいてびっくりしちゃった」


「一年生の頃からやってるんですよ。ちなみに社割とかはお二人には使えないんです。すみません。あ、そういばカップル割使えますけど、使います?」


天木先輩は微笑みながら例のカップル割をおすすめしてきた。安くなるなら使うべきか。


「じゃあそれで」


俺たちはポップコーンとドリンクの味を選び、注文を済ませた。天木先輩は慣れた手つきでそれらを用意する。


「じゃあ、映画楽しんできてくださいね!」


「はい、ありがとうございます。じゃあ行くか」


「えぇ。ありがとう、天木先輩」


各々注文した商品を受け取り、劇場へと進んだ。



「はぁ、それにしてもあの映画面白かったわね!」


映画を見終わった俺たちは映画館を出て、近くのイタリアンの店で食事をしていた。


「あぁ、思ってたより全然良かったな。意外と泣けるような胸熱シーンもあったりして」


俺はパスタを頬張りながら映画の感想戦に参加する。


「そうそう。って、食べながら喋んないでよ」


「いいだろ、お前の前でくらい。別に周りの客が見てるわけでもないし」


「何それ、私の前でくらいって」


「ぶっちゃけると、それくらい俺はお前に気を許してるってことだ」


目の前にいるのが柏木ではなく、他のクラスの女子だったなら、テーブルマナーを気にしすぎて目の前の美味そうなパスタにがっつけなそうだ。その点、柏木には俺の汚い姿を見られても別に何も気にならない。


「それ…、私を照れさせてビリビリさせようとして言ってる?」


確かに少しくさいセリフだった気がするが、あれは俺の本音で間違いはない。


「いや、本音だよ」


「ふーん。なら良いけど」


そう言うと、柏木も俺の目は全く気にしないのか、パスタを口いっぱいに頬張った。柏木の小さな口に対して量が多かったのか、口にしたパスタで両頬が膨らみ、颯爽ハムスターのような容姿になっていた。


「ははっ、ハムスターみたい」


「何よ〜、新田が私の目は気にしないって言ったから、私もそうしたのに」


「いや、別に咎めてるわけじゃなくてさ。ちょっと愛らしいというか」


俺は笑いながら柏木の言葉に返した。


すると柏木は静かに悶えだす。


「あ、新田、それわざと言ってるでしょ」


「いや言ってないって」


「本当かしら。いい加減電流の痛みには慣れてきたけど、その分回数は新田より多い気がする…」


どうやら俺の言葉でまたビリビリがきたらしい。俺にも言えることだが、お互い意識はしてないとか言っていたのにこの体たらくだ。この光景を鹿苑が見たらニヤニヤして喜びそうだな。


「まぁ、正直なところ意識しないってのは無理なんじゃないのか?ましてや二人で出かけたこともない俺たちがいきなりデートさせられてるわけだし」


「そうね。私も男女の友情は否定派だし」


「そうなのか?」


俺も否定派な人間だ。異性どうしの交流なんて重ねていけばどちらかが相手を恋愛的な目で見だして友情どころじゃなくなるのがオチだ。しかし、柏木も同じ考えなのは意外だった。相手が異性かそうじゃないかで接し方を変えるやつじゃないからだ。


「えぇ。私は仲良い友達だって思ってても、男側がどうせ意識しだすでしょ?だからよ」


なるほど。あくまで柏木個人は友達として関われるけど、相手の男側がそうじゃなくなってしまうからってことか。


「じゃあ、俺との友情は成立しないと?」


「私の持論で行けばね」


「なるほど、ね。それはちょっと寂しいけどな」


柏木は友達だが、こいつの持論でいけばそうじゃなくなるらしい。でもそれは寂しい。俺が意識してしまった結果、柏木がそれを拒絶して関係がギクシャクしてしまうのなら、俺はそうならないように努力はしたい。なんせ高校初めての友達で、高援部を一緒に発足した仲間であるわけだし。


「べ、別に私は友情じゃなくたって新田なら全然歓迎なんだけど…」


柏木は小さな声でそう呟く。その言葉を俺の耳は聞き逃さなかった。


俺は馬鹿じゃない。世に蔓延る鈍感系主人公なら、そもそも聞こえていなかったり、聞こえてても聞いていないフリをしたり、聞こえたが意味が分からなかったりなどするだろう。しかし、俺は柏木の言葉を聞き逃さず、その意味を理解したつもりだ。すると何か?こいつは俺のことが好きなのか?俺に迫られても歓迎するよということはそういうことだろ。なんだこの急展開。あ、これやばい。


「んっぐ!!」


俺の高鳴る胸と呼応して、手首の電流脈拍測定器から電流が流れた。


「え、もしかしてさっきの聞こえてた?」


柏木は電流に襲われる俺を見て、顔を赤くしながら言った。


「そりゃあ聞こえるだろ。この距離だし」


「嘘でしょ…。はぎゅう!!」


俺たち、二人揃って飯屋で何してるんだろう。


「さっきの、聞こえて都合の悪いことだったなら忘れるけど…」


このままだと微妙な雰囲気が流れそうな予感がしたので、俺は柏木へパスを出した。


「別に悪くはないんだけどさ、一旦聞かなかったことにしてくれる?」


「あぁ、分かった」


「そ、そう」


そして二人の間に沈黙が流れる。なんだかんだで結局微妙な雰囲気が流れてしまった。


「もしかしてさっきの、俺への告白だったのか?」


俺は雰囲気に耐えきれず、思わず先ほどの言葉について言及してしまう。


「そ!そんなわけないでしょ!!てかさっきこのことは聞かなかったことにするって…ぐはっ!!」


「いやまぁ、そうは言ったんだけどやっぱり気になるというか」


「いいから忘れて。なに?それか返事くれるの?」


「返事ってそれ、完全告白じゃねーか…。まぁ、返事ってわけじゃないけどな、俺は柏木とはこれからもずっと一緒にいたいと思ってるよ。それが友達でも、それ以外の関係だとしても」


「そ、そっか…」


「う、うん…」


二人の間に再び沈黙が流れたと思いきや。


「「はぐぅ!!」」


よく漫画やアニメで恋に落ちたとき、ビビッ!って擬音が使われたりするが、実際に人が恋に落ちた時、ビリビリって体にくるのかもしれない。


それなら俺たちのこのビリビリは…。


恋はビリビリ⚡️最終話へ続く。

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