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練習終了


「オトモの気配が随分前から動かないと思ったら……」


「ダリア様!

 魔法使いにも休息は必要ですよ!」


 オトモの言葉に、ダリアは鼻で笑う。


「そう言う生意気は、きちんと仕事してから言うんだね。


 それより……シロウ。今やってる魔法の件だけど……」


 志朗は、バツが悪そうに目をそらす。アルメルシアと話していた辺りから魔法の練習をすっかり忘れていたのだ。


 ――気配遮断も全く気にしてなかったから、ダリアさん直ぐに気付いたよな……。


 怒られる事を覚悟して固まる志朗に、ダリアは口を開く。


「気配探知は何とか感覚を掴めたみたいだね。気配遮断も問題無い。


 この短時間でよく頑張ったね。後はゆっくり休んで明日に備えるんだ」


 思ってもいなかったダリアの言葉に、志朗は驚きながらも頷いた。


 その後、オトモと別れ、ダリアに今日休む部屋を案内して貰った。

 ホテルの様に綺麗に整えられた部屋。ベッドには、白く清潔なシーツがシワひとつなく掛けられている。

 側の椅子に、志朗は持っていた荷物を置いた。


「そういえば……」


 志朗は、ダリアに問い掛ける。


「ダミアさんの荷物……持って来てしまって、ダミアさんは困っていないでしょうか?」


「あぁ、問題無いよ。その荷物は、元々アンタに渡す物だったからね」


 なんとも無いといった様子で言ったダリア。

 少しの間、沈黙が2人を包む。


 ダリアから色々聞けるのは今しか無いと思った志朗は、気になっていた事を質問する事にした。



「あの……ダミアさんは、今何処に?」


「アンタが居た世界に留まっているよ。


 ここと向こうは随分と遠い。1度繋げても2度目は上手くいくか分からない。


 確実にアンタをあちら側へ返すには、アタシかダミアのどちらかが向こうへ留まり、向こうへの道を繋ぎ続けるしか無い」


「……それは、大丈夫なんですか?」


「心配は要らない。あんたが西の魔法使いの隠れ里で呪いを解く方法を見つけてくれれば、望み通り直ぐにでも返してあげるよ」


「それもなんですけど……」


「?」


「そんなにすごい魔法を長時間使い続けていて、大丈夫なんですか?」


 魔法を使い続ければ消耗するし、集中力も切れる。

 ダミアから貰った杖を使ってもこれだけ消耗するなら、自力で魔法を使っているダミアはかなり消耗するのではないかと志朗は思っていた。


 意外だったのか、呆気に取られたような表情をするダリア。


 しかし、それも一瞬の事で、直ぐに腹を抱えて笑いだした。志朗の心配もそっちのけである。


 そして、ダリアは釈然としない志朗の顔を見ながら、


「お人好し」


 と言ったのだった。



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