語らいの後に
「探しましたよシロウ様……!」
「うわぁ!?」
真後ろにいたオトモに、志朗は驚きのあまりベンチからずり落ちそうになる。
「待っててくださいって言ったではありませんか……!」
地団駄を踏みながら言ったオトモ。尻尾も苛立たしげに揺れている。
「お……オトモさん……」
「せっかく美味しいご飯を貰ってきたのに、冷めちゃうじゃないですか!」
短い手足をじたばたさせながらオトモは言った。手に持っている紙袋がガサガサと音を立てる。
その時、
「姫様」
アルメルシアを呼ぶ声がした。
志朗は振り向く。アルメルシアの視線の先には、肩口でバッサリと切りそろえた茶髪の女性が立っていた。
先程廊下で会った給仕だった。
「エミリー」
「姫様、明日は早朝に王城を発たねばなりません。
お部屋に戻り、お休みになってください」
給仕……エミリーの言葉に、アルメルシアは苦笑しながらも頷いて立ち上がる。
そして、志朗の方へ向き直ると、
「シロウ、おやすみなさい。
また明日」
「は、はい……おやすみなさい。
……ルシアさん」
志朗の言葉にエミリーは目を見開いた後、すぐさま志朗を睨みつける。
アルメルシアは満足そうに微笑んでいた。
「……姫様」
「私がそう呼べと言ったのよ。
ほら、早く休まないと。明日は早いのでしょう?」
笑顔のアルメルシアに手を引かれ、エミリーは廊下の向こうへ歩いて行く。その表情は、どこか釈然としない、不満そのものの表情だった。
後に残された志朗とオトモ。
オトモはまだ怒っているようで、膨らんだ尻尾が大きく揺れている。
「オトモさん……すいませんでした」
「……まぁ、姫様に誘われたなら、断りようがありませんし……仕方ないですね」
一人(?)大きなため息を吐きながら、納得するオトモ。
直ぐに志朗に向き直ると、手に持った紙袋を差し出した。
「かなり遅くなってしまいましたが、夕食にしましょう!
私のおすすめのものを選んで参りましたよ!」
嬉しそうに耳を動かすオトモに、志朗は少し安堵しつつ頷いた。
オトモの選んだ食事は、肉や魚がたっぷり入ったサンドイッチだった。
元の世界で食べるサンドイッチよりも少し固くざらりとした食感ではあったが、志朗にはとても美味しく感じられた。
「美味しいでしょう?私の1番のお気に入りなんですよ」
オトモも、サンドイッチを頬張りながらご機嫌である。
「シロウ、ここに居たのかい?」
志朗が振り返ると、そこにはダリアが立っていた。




