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あの日あの時見たものは 前編

どうも魁です。

かなり久しぶりの投稿ですね。

これは、少し考えて貰えるようにしました。

楽しんでください

城にある宝を全て散りばめてもこのような美しい星空にはならないだろう。

その言葉は、国王であるオルフェンス。魔王であるゾルディアの2人の頭から離れないのである。

君たちは生まれた。自らの欲のために。

争い。血を流し。得るために失い。そして互いに自滅へ追いやった。

だが、それでいいのだ。争え。闘え。血を流せ。我が望むものはそこにある。美しい星空はお前達のようなもののみが美しいと感じるものだ。

と。

あれは、勇者がゾルディアを倒しゾルディアが密かに挨拶をしに来た時のことだ。

―あの時

星が綺麗な夜だった。

城下は未だに寝静まることなく、魔王討伐を喜びお祭り騒ぎだった。

それはまさに私が望んだ平和そのものだった。

私は心の底から嬉しかった。

怯えることの無い民の純粋な笑顔が。

すると、私の部屋にノックの音が響いた。

こんな時間だと来客は、少ないがいないことは無い。

しかし、直接私の部屋になると大事だと思い私は「良い。入れ」と言った。

「国王」

そう言いながら私の部屋に入ってきたのは若き日の勇者だった。やや緊迫した表情を浮かべながらこちらに急ぎ足でやってきた。

「どうした。勇者よ。魔王がいなくなり城下はまだお祭り騒ぎ、主役の勇者がこんな所で出歩いていたら大変だろうに」

私は苦笑いをし少し同情した顔をした。

そんな軽いジョークを言った私の顔をもう一度見た勇者は意を決したように息を吸い込み、私のそばに寄ってきた。

「大きな声ではいえませんが王に来客です。来客の意思で私に案内して欲しいと言われました。決して、取り乱さないでください」

額に汗を垂らし、そう言ってきた。

来客は、珍しくはなかった。なにせ魔王を倒した勇者を導いたとされる王に、私はなっていたから他国の王がやって来ては協定やら、商売の話やら持ちかけられるようになったからだ。

王自身はそれを良いとはあまり思っていなかった。

しかし、今回は別だ。

その引き金ともなった勇者本人が私の元へ案内をするなど言わずもがな異様といえる。そして、案内した勇者は何か問い詰められた顔だったからだ。

「安心せい。私は、一国の王だ。そうそう取り乱したりはしないよ」

そう言うと、少し安心したように勇者はこういった

「入ってくれ」

玉座ではなく、私の部屋に他人を居れるなど本来はご法度。だが何故か、こうするしかないのではと私は心の隅に思っていたらしい。

焦る勇者もしかり、薄々していた異様な気配。

その答えは、部屋に入って来たやつの姿を見てハッキリとわかった。

それは人の姿ではなかった。話にしか聞いた事のないその姿。

大きく黒い翼、頭から生えた2本の角、額には謎の紋章があり、その手には鎌を連想させる爪。

スラッとした体に、そこから溢れるパワーを思わせる筋肉。

そして、胸から下腹部にかけての傷・・・

誰が見ても分かる。こいつは魔王。

しかし、何か違うのはやつからは肝心のパワーを感じない。

思わせる、とはそういう事だ。

「そうか、突然の来客の上わざわざ私が部屋にいる時間にやっていたのはそういうことか」

私は思った。

「きゃー魔王が来てるよぉ!怖いよぉ、なんで夜にきたんだよぉ。あー、勇者いるけどぉぉぉ…きゃー」

そんな素振りを見せては威厳がないので、私は顔を変えず頷いた。

「大丈夫ですか、顔色が良くないのですが・・・」

王とはいえ、顔色は操れん無茶言うな

「気にするな

それより、わざわざ魔王からこちらに出向いたのだ・・・

一体、何の用だ?」

民を恐れさせ、娘誘拐を命令させた張本人。

殺気は溢れ、こみ上げる怒りを抑えられずにいた。

「国王。申し訳ありません。ですが、これは今後の大切な話になります。魔王も我が手で抑えることに成功しました。

お怒りをお鎮めすださい。」

勇者は、そういい頭を下げた。

「なるほど。たしかにこちらを襲う様子は見受けられん。勇者にやられた傷もほとんど治っていないしな。そうなると何用なのだ」

私は、勇者の後ろにいる魔王に声をかけた。

「人の王よ、我はまず謝らねばならないな。すまない」

その言葉に私は目を丸くした。

勇者はその話を聞いていたのだろう

こちらに目を向け頷いた。

「我は、人の娘を攫い利用しようとした。それだけでなく、人を襲い畏怖させそれを楽しんでいた。我は、それは仕方のない事だといい。思い続けた。

解決には至らず、ついに我は敗れたがな」

魔王は、そう頭を下げながらこちらを向いた。

「ほう。わざわざ私の部屋に来て謝りに来るとは、随分律儀な魔王だな」

これは、皮肉だろうと自分も分かっていた。

謝られても、奪った命や娘の心の傷は易々とは消えない。

そう思えば思うほど目の前のやつが憎く、剣を取りたくなった。

今思えば、それではどちらが善でどちらが悪かわからないほどだった。

「怒りは、最もだ。だが、言い訳をさせてくれ。

我等は、自分達が安心して暮らせる場所が欲しかった。種族の違いや、見た目や、力の差などで、互いに襲い、襲われたのだ。

それは、そちらも同様なのではないだろうか」

魔王は、真っ直ぐこちらを見てきた。

その目は黒かった。そして、悲しいかな、私の目より光り希望がその目にはあった。

・・・

私は言葉が出なかった。一方的な被害妄想で相手の被害など考えていなかった。

もし、自分達が死にかけの時に魔物がこちらを見て笑ったら、それを復讐しようとするだろう。

しかし、逆の立場ならどうだっただろうか

魔物が死にかけている。助けを求めている。

当然助けることなどせずトドメをさすことを選ぶかもしれない。

やられ続けたのではない。殺られ、殺ったのだ。

「国王。私は、自分が善とは思っていません。私がやったのは間違いなく悪そのものです。

命を奪ったそれには種族は関係ないと思っています・・・」

勇者からその言葉を聞き、私は少し怪しくなった。

勇者は操られているのではと。

魔法の中にはそういったのもあるとは聞く。それこそ、魔族が得意とする魔法の中にだ。

魔王も替え玉で、本体は別にいるのかもしれないと。

「人の王よ。我は今すぐに信じて貰おうと思い来てはおらぬ。

しかし、これだけは伝えたい。我等王同士が協定を結び、平和を創ろうではないか」

それを聞いて私は剣を手に取った。

「協定だと!ふざけるな!

それが本心だと誰が信じる!

貴様ら魔族が奪った命と民たちの命を比べるな!

弱き民達を恐怖させ、強きを誇り遊び半分に奪っていった命を・・・比べるんじゃない!」

私は、その剣を魔王目掛けて振り下ろした。


魔王は、その剣を受けた。


飛び散る血は人のそれとは違い紫がかった色をしていた。

だが、それは紛れもなく生命を維持するためのものだった。

「国王!」

勇者は、私と魔王のあいだにたった。

魔王を庇うように・・・

「良いのだ。勇者よ。

我は言った。今すぐに信じて貰おうとは思っておらぬと。

この傷は、人の王の心の傷。

互いに傷を分かち合うことこそが、協定の、平和への道筋になるは・・・ず・・・」

魔王は、その場に倒れた。

「国王。疑いも怒りもごもっともです。

私自身、耳を疑いました。しかし、これは本当にチャンスなのです。魔王自身は、こうなると知っていて、それでも謝りたいと言いにここに来たのです

王の言葉もそうですが、相手も同じ王なのです。

民の身を案じ、民のために働き、より良い未来のために努力していたのです」

その一言は、私が勇者に言った言葉そのものだった。

王とは、民の身を案じ、民のために働き、そしてより良い未来のために努力するものと。

目の前に倒れている魔王を、勇者が魔法で治している。

何とも珍妙な光景だが、互いのより良い未来のため、そして民のためにと聞かされたら。私はそうするしかあるまい。

「魔王よ。すまなかった。私は。私の私欲で君を傷つけてしまった。君は民を案じここに来たというのに。それを私は斬ってしまった。殺されても仕方あるまい

だが、民は、民だけは見逃してほしい

頼む」

私は頭を下げ頼んだ。

正真正銘王としての最後の頼みだった。

体を起こし勇者に「すまん」と声をかけ立ち上がった魔王は

「お前を斬って何になる。

私はこうなると分かってきたのだ。平和のために。

今ここで、お前を斬ればそれは間違いなくなくなってしまう。

ははは。我はそこまで子供ではないからなぁ」

笑っていた。

私は、王としての責任を取らなくてはならない。

民のために。平和のために。互いのために。

こんなところで死んではいけないのだと、教えられてしまった。

それも、ついさっきまで怒りを覚えた敵だった存在に。

「私は、王として責任を取らなくてはいけないな。

君の協定きっと実現させよう。魔物という存在。人という存在。先は長いかもしれないが、私が生きているうちにきっとそうさせよう。

君を斬ってしまった罪滅ぼしもかねてな」

私は、その時わかった。同じ王として見ているものに違いはなかったのだと。

それを伝えるために勇者は、こうしてまで魔王をここへ連れてきて、斬られると分かっていてもここに来た魔王がいる。

そう遠くない未来。きっと叶う。

そう信じている。そうなる努力をする。


たとえどれだけ月日がたとうと。

散りばめられた星たちのように、互いを邪魔することなく輝き続けられる日が・・・

はい、どうも魁です。

人の王と、魔の王。どちらも立場が違うだけで存在は、全く同じなんですね。

生まれが違う。育ちが違う。国が違う。文化が違う。そんなの当たり前ですね。

この世に全く同じ人がいないのと同じで、みんな違います。意見も違えば、考えも違う。

でも。よーく話してみると根は案外同じかも知れません。

そう言う感じのことを伝えたくて前編としました。

後半は、前半の冒頭にあった言葉をどの経緯で聞いたのかってのを書いていくつもりです。

それじゃあまた次の作品で会いましょう。バイバイ

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