手紙の真実 後半
どうも、魁です。
今更思ったんですけどここら辺てプロローグっぽいなぁって。そんなんでプロローグのラストです。
私は今、聞き間違えたのだろうか。
王は今なんと言ったのだろうか。
たしかに今、現魔王は私に恋してると聞こえたんだが、本当にそうなのだろうか。
もしかしたらセレナという可愛いらしい妻をもてて自惚れてる自分がいるのかもしれない。
もう一度王に聞くことにしよう。
「失礼ですが、もう一度仰ってもらってもよろしいですか?上手く聞き取れなかったみたいで申し訳ありません。」
その言葉を聞いて、王は王で言いずらそうにこう言った。
「現魔王は。君に。恋を。している。」
やはり、間違ってはいないようだ。
王様はわざわざ聞き取りやすいように言ってくれた。それは、嬉しいんだが・・・
え?それは本気で言ってんのか?
だって。あった事のないいいとこのおっさんだぜ。
しかも、現魔王って女なのか?たしかに王も、男だなんて一言も言ってないが、普通に考えたら魔王なんだから、王なんだから男だよな?
あれ?もしかして。男にラブされてる?
えぇー。何この展開。
「オッホン。色々考えているようだが、言わせてもらうぞ。」
王は一つ咳払いをするとこちらに向けてこう言った。
「君宛の手紙にも、同じようなことを書いているんだ。」
王は真っ直ぐな目でこちらにそう言ったのだ。
なんということでしょう。
私は手紙を最期まで読んだつもりでいたのか。
いや、だが、ちゃんとbyオルフェンス・レナーテって、書いてたし。
そう思いながら何となく持ってきた手紙を開いて見た。
byオルフェンス・レナーテ
ps君が来ないと魔王から来るってさ。
愛しい君に会うために。
なんだこれ、何気に重要な部分追伸にしてんじゃねぇよ!
「王!なんで追伸に、重要なこと書いてるんですか!」
私はもはやなりふり構わず王にそう言った。礼儀なんてそこにはなく、ただただつっこんでしまった。
「いやー。手紙書き終わった頃に思い出してさぁ。ゾルディアに勇者にも絶対伝えとけって言われたんだよねぇ。だけど、せっかくいい流れで書いたものを消すのも勿体ないからさ、追伸にしたのよ。」
これは、どうやら本気で忘れてたらしい。そして王はめんどくさがったらしい。
その言葉を聞いてわたしは、いや、俺は
「だったら、最初から俺を呼べぇ!
手紙でかく必要なかったろ!
セレナに伝えるのも妃様づてでよかっただろうが!めんどくさいことして、めんどくさがってんじゃねぇぇ!」
と言ってしまった。
つい。ついだったんだ、セレナとのこともあるしあたってしまったんだ。よりによって、王様に。
しかし王はそれを見て
笑っていた。
「いやいや、本当に悪かったよ。こんな形で知らせることになるとは、思ってもなかった。だけど、まあ、君が少し元気になったように見える。それなら結果オーライだね。」
私は、そう言った王が、少し怖く感じた。
たしかに、いきなりたくさんのことを言われて、いきなり妻が妻じゃなくなって、現魔王に間接的なプロポーズを受けて。その真実を知りたいと思い、焦って気が付かなかったが、考えすぎて私は疲れていた。それは、私自身気が付かなかったのに、この場にいる王はいとも容易く見抜き、狙ってか狙わずしてか、私に元気をくれた。
怒る気も失せた。
知りたいこともたくさんあるし、やらなくてはならないこともたくさんある。だが、焦ってはいけない。ひとつずつ確実に終わらせれば答えはすぐに見つかる。なんとなくだが王からそう言われた気がした。
「・・・すいません。私は少し焦っていたようです。疲れも多少あります。ですが王のおかげで緩和出来ました。王のおかげで落ち着くことが出来ました。感謝します。」
私は、先ほどの無礼を詫びるとともに王に感謝を伝えた。それは紛れもない本心からのものだった。
「よいよい。そんなこと気にしておらん。セレナのこともある。私自身も何かと起こりすぎて混乱している所もあるからな。」
そう、王は言ってくれた。セレナもそうだが、私の周りには、私を導いてくれる人が多い気がする。
まあ、血族だし性格も似てて当然と言えば当然だが、それぞれ違った形で、元勇者という私を、勇者にしようとしてくれている。それに感謝しなくてはならない。当然の事ではないからな。
「ありがとうございます。それで、現魔王に私が好かれてるようですがそれとセレナは関係ないのでは?」
現魔王から、好かれているにしてもセレナとの関係に、関わりはないはず。
仮に、攻められて来たとしてもセレナが居ると言えばそれで済みそうなものだが・・・
「うーむ。確かに、その通りなんだが、よーく考えてみろ。相手は現魔王。1人の女ごときどうってことあるまい。仮に君がついていたとしても、ほとんど準備不足の今の君じゃ帰って現魔王に殺され兼ねないだろう。」
王は難しい顔をしながら言った。
たしかに世の中には話せば分かる奴は多くないだろう。それは力を持てば持つほどそうなのかも知れない。自分ならできると、そう思ってしまうのが生き物なのだから。
「なるほど。では私はどうしたらいいのでしょうか。このままセレナと共に魔王を目指し、対峙することになるでしょう。そのあとは私は何を目指せばいいのでしょうか。」
うすぼんやりだが、話が分かってきた。分かってきたんだが、今回は今までとは何かと勝手が違う。このままでは、なにか分からなくなってしまいそうだった。
「だからこそ。セレナとの結婚をなしにしたのだ。」
そう言えばそんなことをさっきも聞いた気がする。だが、やはり。だからこそ。という意味がよく分からない
「現魔王が君に恋をしているということはゾルディアが言ってるからまず間違いがない。その理由も君の強さ、賢さ、心の広さ、などといった多くの面であることも分かっている。それはまるで普通の乙女のようだと聞いている。こう言ってはなんだが、ゾルディアのように仲良くなれるかもしれない。現魔王と最強の勇者が婚約を結ぶなんてことになれば。魔物との共存も、可能になるかもしれない・・・」
後半に行くにつれ王もだんだんと言葉を失っていった。
魔物との共存。
対立のない世界。
誰もが望み、叶えられなかったもの。
それが、自分次第で可能になるかもしれない。
王はそれを望んでいる。
しかし。その望みが叶って欲しくないとも思っている。
きっと王も私にその責任を追わせたのを少なからず申し訳ないと思っているのかもしれない。
王が静かに立ち上がり私の手を握った。
「君に、任せてしまってすまないとはお待っている。だが、私がやれば間違いなく私情が入ってしまう。きっとゾルディアもそうなのだ。
大切な娘だからこそ。幸せになってもらいたいのだ。
だから君に、君たちに、幸せになって、その上で世界を幸せにしてもらいたい。」
王の決意があったからこそ、結婚をなしにするという決断になったのだ。誰も軽い気持ちでそんなことをしていなかった。
それに気がつけなかった自分が情けなく、そんな自分に任せてくれたことが、勇者として、1人の男として、嬉しくもあり、何より重く感じた。
セレナと、話をわけたのはこう言ったことをセレナの前では話せないからというのが、大きいのだと思う。
セレナが聞けば、セレナ自身の幸せより、確実に私と王と世界が望んだ幸せを叶えようとするだろう。
これは、楽な冒険では無いことが遅まきながら感じ始めた。初めての冒険のように心が熱くなり、寂しくもあり、強いプレッシャーを感じる。
私は、元勇者だ。1度世界を救っている。
だが、また世界はピンチに陥ろうとしている。
それは、私自身のピンチであり。セレナも、現魔王も、ピンチになってしまった。
だからこそ、私が止まるわけには行かない。
王の手をしっかりと握り返し。昔より歳を取った互いの顔を見つめ合う。
「わかりました。私が救います。世界も、セレナも現魔王も。
王様。信じてください。私は、勇者としてそして男として。最大の危機に直面しています。ですが、そこから背を向けることなく立ち向かいます。」
私が止まるわけには行かない。
なぜなら、私は役目が終わった最強の勇者だからだ。1度出来たんだもう一度できるはず。
ここから先は、きっと、
役目が終わった最強がもう一度頑張る物語が始まるだろう。
ハイハイ、魁です。
どうでしょう。プロローグの最後でしたがね。自分なりに上手くまとまった気がしてます。
1度救ったことを繰り返すのでは無く、新しい危機に直面し、世界を救う。ということをやりたくてこう言った形にしました。
現魔王も、今のところ名前が決まってませんし、ゾルディアは、ゾルディアのままなので、何となくそこら辺をちょこちょこ打線っぽく出していきたいと思ってます。
ご愛読ありがとうございます。次回もお楽しみに。




