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アッカーソン公爵との出会いと現在

更新しました。

楽しんでいただけると幸いです。

ジョシュ・ハミルトン・アッカーソン公爵とアリーが出会ったのはアリーが15歳の時だった。


当時少年兵であったが、あまりにも死を恐れずに敵に突進する娘がいると聞き、自らも豪傑な軍人で当時から名を馳せていたアッカーソン公爵は興味を持ち、野戦病院へ赴いた。


そこには先の戦闘で腹に傷を負い、入院しているアリーがいたが、彼女は額と左目に包帯を巻き、青色の瞳を底の無い水中のように曇らせて、アッカーソン公爵を見た。彼はそれを見て言った。



「なぜ君はそれほどまで死にたいのかね?」

「ーー誰も私を愛さないからよ」



アリーは公爵相手でも物怖じしなかった。というよりどうせ近々死ぬのだからここで上官にぶっきらぼうな物言いをしたところで何も問題はないと判断したのだろう。アッカーソン公爵はアリーのそのような思惑と諦念を見破り、椅子に座ってアリーに尋ねた。



「誰も君を愛さないという完全なる証明があるのかね?」

「少なくとも家族は誰も私を愛しちゃいないわ。名前すら覚えていない」

「アリーといったな。賭けをしてみないか?」

「賭け?」



アリーが不思議そうにアッカーソン卿の方を見るとアッカーソン卿は挑戦的に笑った。



「我々が君を愛するか、という賭けだよ。愛すれば君の勝ちだ。君は好きなことができる。愛さなければ君の負けだ。君の言うとうり、君は死ぬことになるだろう」

「じゃあ私が負けることは決まっているじゃない」

「そうとも限らないぞ?私はお前の戦い方を知り、お前に興味を持った。話してみればなかなか肝が据わっていて好ましい。少なくとも私には賭けで勝つだろう」

「.....」

「人から愛されたいならまずは自分を愛することだ。愛せる自分を目標にして愛せる自分になりきり、努力し、そして目標を達成しろ。目標を達成することを諦めない人間を好ましく思う人間はここには特に多い」



それと、とアッカーソン卿はアリーに言った。



「皆に愛されようと思うな。それは無理だ。どのような人間でも嫌う奴は嫌う。猫も犬も可愛らしいが嫌う奴はいるだろう?そういうことだ。誰と友として付き合いたいかを自分で決めろ」

「ーーなら私はあなたと付き合いたいわ。強そうだし」

「ハハハ、良いだろう。私の部下になると良い。お前の戦い方は無茶苦茶だ。やり方を教えてやる」

「ええ、よろしく、...」

「ジョシュ・ハミルトン・アッカーソン公爵だ」

「アリソン・クリスティアナ・ノエル。皆はアリーって呼ぶ。アッカーソン公爵」

「そうか、ではアリー、退院したらうちの部隊に来なさい。すべて教えてやろう」



そうしてアッカーソン公爵は去って行った。アリーは物好きもいるものだとその日思ったものだった。




そして現在。



「アッカーソン卿、ソフィアとアナスタシアの様子を見てくるわ」

「いい加減父と呼びなさい、アリシア」

「ーー慣れないのよ。しょうがない、行ってくるわ『お父様』」

「よろしい。エドワードの様子はどうだ?」

「よくやってるわ。彼のおかげで兵士の死亡率が減ってる。生粋の医者ね」

「ふむ、まああやつは昔からそうだったしな。何より本が好きだった。では晩餐までに戻るように」

「ええ、では」



アリーは公爵に挨拶をし、ソフィアとアナスタシアが特待生として通っている軍内の学校へ向かった。ソフィアは言語の解読と暗号解読のために学び、アナスタシアはいずれこの国の軍の司令官となるために戦略や作戦など幅広く学んでいる。


成績はアリーのもとに報告が来るが、良いことは良いが、無理をしていないかが心配だった。無理をしても大した結果を残すことはできないというのは身をもって知っている。



「ソフィア、アナスタシア、元気?」



食堂に顔を出すと生徒全員が立ち上がり、敬礼をしたのでアリーは「いいの、座って、食事を続けて」と皆を座らせた。そしてソフィアとアナスタシアの席へ行き、2人の顔を見ると顔色は良く、それほど無理はしていないようだと内心安堵した。



「成績がとても良いと教官が褒めていたわ。2人ともがんばって。ーーあとアナスタシアは今度の休みに家に帰って。陛下が寂しがっているわ」

「わかりました、アリシア少佐。ーーこの度は」

「ああ、それはまだ正式に決まっていないわ。告白されただけ。これから『お付き合い』ってやつを始めるの」



アリーは先日バーナーズ大公爵家の長男・ベネディクトと交際をしているという噂が流れたのは最近だった。しかし実際は噂が1人歩きしているだけらしいということを2人も周りの生徒も知った。



「そうなんですか」

「そうよ。噂なんてそんなものよ。じゃあアナスタシア、伝えたわ。あとソフィア、あなたは今度の長期休み、アッカーソン公爵家に来なさい。公爵ーー父が興味を持ったのよ。話してあげて」

「は、はい」


ソフィアは頷いた。豪傑な軍人とはどのような人物であるのか、ソフィアは興味が湧いた。それを見ながらアリーはアナスタシアに囁いた。



「先にバーナーズ大公爵の方がいいかしら?あの人マイ・フェア・レディ好きでしょう?」

「オールストン公爵も気に入ってますから、名字をいただいた手前、そっちの方からがいいかと」

「迷うわね」



アリーとアナスタシアが密かにソフィアの婚約相手を探そうとしていることをソフィアは知らない。


そしてアリーはアナスタシアが親友として王宮にソフィアを連れて行き、家族を紹介し、そこでスティーブン王がソフィアに興味を持ち、第二王太子のヒューゴとアナスタシアと共にソフィアについて話していたことを知らない。


スティーブン王は功績さえあげればソフィアに爵位を与えることも可能だし、逆に貴族制を廃止することも可能だとほのめかした。



アナスタシアは気が早いと笑っていた。




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