お前は何者だ
更新しました。
楽しんでいただけると幸いです。
訓練を続けていたある日、アリーがやってきた。50人いた訓練生のうち20人はすでに脱落し、30人になっていた。アリーは木刀を持って笑って言った。
「今から模擬近接戦を行う。各自木刀を持って1人ずつ私にかかってきなさい」
そう言ってアリーは1人ずつ相手をし、ものの5分もかからず倒していった。腕や脇腹を押さえてヨロヨロと立ち上がり元の位置に戻る訓練生を尻目にアリーは「次」と言った。ソフィアの番だった。
ソフィアは木刀を持ち、アリーの前に立った。そして躊躇した。アリーを攻撃することなどできない。躊躇しているとアリーがソフィアの脇腹に思い切り木刀を打ちつけた。
ソフィアは息ができなくなりうずくまった。その彼女をアリーは足で仰向けに倒し大声で罵った。
「お前は私を倒せないのか!」
「違い、違います、ノエル少佐」
「お前はちょっと世話になった程度で敵を見逃すのか!」
「違います、ノエル少佐」
「お前は未だ芋の皮むきをしているメイドか!」
「違います、ノエル少佐!」
「お前は主人に言われたことしかできない人形か!」
「違います、ノエル少佐!」
「お前は貧弱な負け犬か!」
「違いますノエル少佐!」
ソフィアはアリーの腹を隙を見て木刀で突き、飛びのいたアリーの前で息を乱して立ち上がった。
「私は負け犬ではありません!私はメイドではありません!私は人形ではありません!私はソフィア・オールストリーです!あなたの右腕になる存在です!」
ソフィアの血を吐くような宣言にアリーは笑い、木刀を肩に担ぎ、皆が沈黙して見ている中で言った。
「だったらもう一度くるがいい。こんなことに躊躇するんじゃない。ちゃんとやれ。来い、ソフィア・オールストリー」
そうして10分間の格闘のもと、ソフィアがとうとう倒れて指一本動けなくなったときにアリーは言った。
「もっと強くおなり。お前ならできるはずよ。お前は今日主人から離れた。1人の女兵士よ。私の右腕になりたいならもっと強くおなり」
そう言うとアリーは「次」と木刀を振るった。教官がソフィアの腕を持ち、支えて、救護班のもとへ向かう時、ソフィアは朦朧としながら考えていた。
もう私は、主人の言うことを聞いているだけの存在ではないーーー
そのことがソフィアにとってはなによりも嬉しかった。
そしてソフィアとアナスタシアは訓練完了生の22人の中に入り、無事訓練を完了することができた。あの日、アリーに自分はソフィア・オールストリーだと宣言してからソフィアの世界は180度変わった。
銃の訓練も肉体的な訓練もすべてを自分の意思でやっているように思えた。自分が自分であるということがここまで心地よいとは思いもしなかった。
卒業の日はアリーがスピーチを行った。
アナスタシアやソフィアはそれを誇らしく聞いていた。軍服を着、バッヂをつけて、22人の新しい女性軍人たちは写真を撮った。
その時にはソフィアとアナスタシアは親友になっていた。




