ソフィアを誘って我がホームへ
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楽しんでいただけると幸いです。
アリーの元に友人の貴族の令嬢たちから手紙が届いた時、アリーはフ、と微笑みソフィアや他の者が読んだとしても問題ない返事を書いた。
ただし、封筒を閉じるときにいつもと違う印を使った。薔薇の模様の判。これで意味は分かるだろう。
アリーはソフィアに頼んで手紙を出しに行ってもらい、両切り煙草をくわえて顔を上に向けた。
貴族の制裁はえげつない。
今回は自分は知らぬふりをした方がいいだろう。どうせ彼女たちは自分のいないところで狼のように喉元を噛みちぎる。
その前に軍に帰るか、と考え、ソフィアをどうしようか考えた。特待生として軍で勉強することは可能かどうかを主に。
ソフィアの居場所はこんな屋敷の厨房でも掃除をするための廊下でもなく、たぶん軍である。それも解読班か、翻訳か。一度ソフィアに聞いてみなければ、とアリーは考えた。
「私はそろそろ軍に戻るわ」
「そうか、いや久しぶりに顔を見れてよかったよアリー」
ノエル卿は晩餐の席で嬉しそうに言った。キャロラインも新兵訓練のために軍に3日後に控えているドゥエックも母のセシリアもあからさまにホッとした顔をしてアリーに対して笑顔を向けた。
「そういえば今年は新年祭には戻ってくるのかね?それなら...」
「いいえ。今年はアッカーソン公爵の家で過ごすことが決まっているの。エドワード少尉もホープ嬢も歓迎してくれてね」
「なに?」
ノエル卿はアリーの口から出た人物に驚いた。新年を祝う祭りをアッカード公爵の家で過ごす?この祭りは家族のほかは親戚などの身近な人間しかそれぞれ参加させない。ノエル卿は身を乗り出してアリーに尋ねた。
「アリー、それは君だけかね?もし...」
「アンタ達をアッカーソン卿に紹介するわけないし彼が招待するわけないでしょう?私の誕生日も生誕祭もなにもかもアンタ達に出る幕はないわ。じゃあ、私は明日の朝発つから」
アリーはそう言い、食後のワインを飲んだ後で席を立ち去って行った。残された家族はしばし呆然と見ていたが、ドゥエックが誇らしげに言った。
「大丈夫ですよ父上。私が軍に入ればアッカード卿もあの女ではなく私の方に目が向くに決まっています」
「そうか、それもそうだなドゥエック。頼んだぞ」
ノエル卿は笑い、アリーを抜いた楽しい食事を引き続き続けた。
「私は明日の朝軍に戻るわ。世話になったわね、ソフィア」
「いえ、こちらこそありがとうございました。アリー様」
荷物の整理をしているアリーにソフィアは礼を言った。アリーにしてもらったことは多い。アリーはソフィアの方を見、しばし考えて、口を開いた。
「軍の管轄の学校へ通わない?」
「え?」
驚いたように目を見開くソフィアにアリーは荷物を詰め終え、煙草に火を点けて言った。
「私、アンタならいけると思うの。まあ入学試験はあるけど軽いわ。メイドのアンタなら特に。学科試験の方はたぶん受かるだろうし、アンタはこんなところで芋の皮むきなんかしてる女じゃないと思うの。ーーまあアンタ次第だけど。どうする?」
「あの、私、」
「今すぐ決めなくていいわ。行きたくなったら私に手紙をちょうだ...」
「行きます」
ソフィアの言葉に今度はアリーが目を見開いた。
「軍に入ります。そして解読と翻訳をします。一緒にいかせてください」
「ーーなら、明日私と一緒に来なさい。ソフィア・オールストリー」
「はい、アリー・ノエル少佐」
2人は微笑んだ。
翌朝。
「あの、アリー様、これは...」
「こいつの馬力はこんなもんじゃないわ。飛ばすわよ」
二輪車の後ろに乗り、アリーの腰を掴み、ヘルメットをかぶったソフィアは人生で初めてこれ以上ないほどの悲鳴を上げた。




