↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
84/100

太陽に伸びる白き影

◇


 あれから一日が経過した。そう、今日はアマテラスの血を賭けたオークション当日である。


「なぁマル」


俺はマルメードに話しかける。

実はまだ会場に行く前の準備をしているのだ。マルメードとクフゾは終わっているようだが…俺はまだ決まっていない。


「どうした」


「俺はどういう役で居ればいい?適当に監視員とかでいいだろうか?」


マルメードは顎に手を当て悩む。


「そうだな。お主はそれで良い。いいスーツがあるからそれを着るとよい」


俺は貰った黒いスーツを身に纏う。

サイズはピッタリ。そして見るからに高そう。しれっと持ち去ってもバレないかな?


「ありがとう。てか、マルスの姿で大丈夫だろうか?」


身長はそこそこ高めとは言え、未成年の姿は色々とまずい気がする。


「関係者の顔は妾以外、念の為隠すことになっておるから大丈夫だ。仮面マスクが欲しいならやるぞ」


「いや、仮面はミロクの時に使うドミノマスクがあるから大丈夫だ」


ミロクの仮面…金色だけどまぁ多分そんな目立たないでしょ…そう思いつつ、俺は赤ワイン色の髪をしたミロクの姿から、黒髪赤メッシュの少年、マルスの姿になる。


「マルメード〜僕はどこに居れば?」


クフゾが宿の扉から顔を覗かせ、マルメードを見る。


「それでは会場の扉の前に居ておいてほしい。クフゾならディアマテ解放教の者か見抜けれるだろう?」


「それじゃあその代わり激辛アイス五個は貰うからね…!」


ニヤリと八重歯を見せながらクフゾは笑って扉を閉める。


「お前とクフゾ…いつの間にかいい関係に戻ってないか…?」


俺がマルメードに聞くとマルメードは静かな顔になる。


「もう恨む理由が無くなったからの。奴は何も悪くない…今はそう思える…いくら全知全能の悟りを開いたとしても、根は優しいままだ」


「そうだな…それじゃあ会場へと向かうか」


「うむ」


俺達はマルメードの開いた空間の中に入り、そのまま会場内へと入り込む――。


◇


「さて、着いたな…」


全く…アマテラスの血は開始価格で五十億だと言うのに、百万近くの人数が集まるだなんて…世界の人口はこの世界の方が多いとはいえ…流石に多すぎる。


「ん…」


視線の先に居るクフゾと目が合う。クフゾは無言で頷き、オークションに来る人の一人一人を細かくチェックしている。


「ディアマテ…何人で来るんだ…」


アマテラスの血…このチャンスを逃せば、次はいつ見つけられるか…いや、一生見つけられないかもしれない。それほどにレアな代物。白マント共が総動員してもおかしくない。一応エルフの国丸々一つ破壊出来る規模の魔法はポンポン撃てはするが…それは出来ないから手加減しないといけない。


「緊張するぜ全く……」


オークション会場なのに、コツコツと響く足音だけが響くほどに静か。物が物なだけに、全員が勝ち取るために来ている。

そして、俺の心臓の音が高鳴る。絶対に逃しはしない…"奴ら"を。


「――あーあー…皆さん――、長らくおまたせ致しました」


マルメードの声が響くように聞こえる。

響声(きょうせい)の魔法具の効果だろう。この世界にマイクは存在しないが、便利なものだ。


「エルフの国代表、マルメード・エルフ・マナノリスカです。今回、お越しいただいた理由は、このアマテラスの血を信頼出来る…つまり、資金の力で守れる才のある人達を決めるためにここに呼びました」


マルメード本人が保管した方が絶対に安全だと言うのに…国の女王の言葉の影響と言うのは凄いもので、会場の人達は迷いもなくこくこくと話を聞いて頷いている。


「クフゾ…今のうちに俺達はこの辺を徘徊するぞ…いつ奴らが来るか分からない」


俺はクフゾを見てこそこそ話しかける。


「それは同意だが…君はこの空間の違和感に気付かないのかい…?」


そう言いクフゾは会場の中を指差す。

一見、マルメードと客だけが居るように見えるが…


「ん…?まさか"アイツ"のことを言っているのか…?」


俺が魔力で視力を強化して見ると、明らかに一人だけ魔力量の多い客が一人居る。ガタイのいい茶髪のただの男のように感じるが…


「ただ単に魔力の量が他より多いってだけじゃないのか…?コイツらは少なくとも五十億以上は用意出来るほどの資産の持ち主達だ…それくらいの実力はあってもおかしくないはず」


クフゾは「ん〜…」と唸り声を上げて悩ませる。


「どこか怪しい気もするんだけどなぁ…マルスくん。一応彼には要注目だ」


「あぁ…了解した」


会場内に視線を戻すと、もうオークションが始まるようだ。


「それでは、五十億からスタート!!」


「――五十一億!」


「――五十三億二千万!!」


とんでもない金額だ……まぁエイメノカサスとネオミシスカの資産は俺が握ってるも同然だから、俺の総資産の方が多いがな…!


「そういえば、もし仮に買い取れる金額を持つ者が現れた場合どうするつもりなんだい…?そのまま渡しちゃうなんてことはないよね…?」


「あぁ…俺の設置した魔法人形がある…その魔法人形が一番金額のデカい奴を越えれる金額を言うように設定してある。奪われることはまずない」


白マントは中々現れない…まさか奴らはこの絶好の機会を逃すはずはないだろう…警戒を緩めずに監視はしているものの、魔力に一切の乱れは発生していない。


「――百億五千万!!」


その時、おじいさんの低い声が響く。

会場全体が静まり返る。


「――百億五千万だって…?」


「――元の二倍以上…」


「流石にこれ以上は……」


どうやら客達は完全に参ってしまっている様子だ。

まぁ当たり前と言えば当たり前か…しかし、あの爺さんは中々凄い。だが、俺にだって秘密兵器がある。


「――二百億九千万…」


「なんだとっ!?!?」


本当はもっと勝負を長引かせてもよかったが、客たちに白マントの被害を出させるわけにもいかない。ここで決着をつけることにする。と言うわけで、俺は魔法人形を操作し、あの爺さんより遥かに高い金額を言ってもらう。


「うぅ…ワシの負けじゃ…そなたに譲ろう…」


周りからは啞然とした空気が感じられる。拍手が響く中、俺の魔法人形は前に行き、アマテラスの血を貰おうとする。すると――


「――うぁぁぁあああああっ!!」


誰かの雄叫び声が会場全体に響いた。声の正体を探ろうと俺は探すと、その視線はゴツい茶髪の男に留まる。そう、あの茶髪のお兄さんが叫んでいたのだ。


「――ど、どうした?」


「――いくら取られたからって悔しがりすぎだろ」


「――ドンマイ兄ちゃん」


客達が憐れみの視線を向けて茶髪の男に声をかける。


「それが!それが無いと俺は…!!俺は…!」


すると、いきなり頭を抱えだし、目と鼻から流血をしだす。


「おい…クフゾ…あいつはどうなんだ…?」


なにか攻撃的な魔力の流れをするかと思えば、そういうわけでもない。コイツは何をしているのだ…?


「まぁ…ただの迷惑客かな…ここは監視員としての僕たちで彼を追い出そう」


「あぁ…」


俺とクフゾが会場内に入ろうとした時、男の体が膨れ上がる。それと同時に目と鼻…果ては耳からの流血をし始め、最初の頃よりも流血の量が増え始める。まるで、強制的に血が膨張しているかのように見えた。


「オレラノ…アマテラスノチ…ゴボッ…!オマエラ…コロス」


――バシャン!ザザザザザザッ!


「はっ――!!」


茶髪の男の身体が破裂し、血が舞うと思えば…その血は針のような形になって観客たちに飛んでいく。


「――ああぁぁっ!!」


「――ぐあぁぁっ!!」


観客たちの悲鳴が響く。会場内はパニック状態だ。

よく見たら俺の魔力人形も破壊されている。


「――うぐぅっ!!」


――バンッ!!


「嘘…だろ…?どうなってんだ…!!」


血の針の刺さった観客たちは、茶髪の男のように破裂していく。そして、その破裂した針がまた飛び散り、また爆発を起こしていく。


「こ…この異常な力は……」


クフゾが隣で息を呑み、魔力を高めていく。


「あぁ…これは…」


百万と居た客達の死体が一斉に静かになり、その場は血の海となる。マルメードは司会席の前で魔力防御をし、警戒しながら立っている。

すると、身体の大きい男の死体が一つ蠢き、その中から手が一本出てくる。


「よぉ…エルフの国の女王…全知全能の女…そして…ミロク・プリンス…!!」


唸るようなどすの効いた声。赤い髪をした男が、身体の大きい男の身体の中から這いずり出てくる。


「俺は赤血司祭……シメルド・カンノメルド!!アマテラスの血を貰いに来たぜ……」


その言葉と同時に、会場の扉から白マントを被った集団が一斉に入ってくる。


「ようやくお出ましか…ディアマテ解放教!!」


俺はマルスの姿を解き、ミロクの姿へと変身する。


「シメルド…この前のネオミシスカではうちの手下が随分と世話になったな…そして勝ち逃げしたそうじゃないか」


シメルドは顔を歪める。


「あぁ…?勝ち逃げだ?俺はボッコボコにしてやっただけよ…魔法陣斬られるのはダルかったけどな」


俺は黒い魔力から剣を生成し、それを固く握る。

そしてその剣先をシメルドに向ける。


「かかってこい…ディアマテ解放教――!!」

スキーです!

今回の話はどうだったでしょうか!面白ければブックマークや評価をしていただけると励みになりますのでよろしくお願いします!宣伝や拡散もよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。