五国の最強達
「ミロクくん!大丈夫かい!」
「ん…あ…」
気付けば戻ってきていた…なんか一気に現実に戻された…
「クフゾ!ミロク!空間が閉まる!早く元の次元に戻れ!」
「あ…あぁ…!」
俺はクフゾとマルメードと一緒にエルフの国の宿へと戻る。
◇
「はぁ…疲れた…」
ほぼ泣きつかれかもしれない…そのぐらい泣いたからなぁ…
「ミロクくんめちゃくちゃ唇噛んでたりいきなり泣き出したりしてたから心配だったよ」
にししと八重歯を見せながらクフゾは笑う。
見てやがったのかちくしょう恥ずかしい!!
「お、男の泣き顔を覗くのは無礼だと思うのだが…」
「それよりだ。しっかり試練は成功させたのであろうな」
マルメードはじっと俺を見る。
「もちろんだ。今まで魔力が身体全体にバラバラに流れていた感じだったのがちゃんと流れるようになったというか…調和出来るようになった気がする」
「おぉ…その感じなら大成功だね、良かったよ。いざという時はその女神の力も好きなように解放出来るよ」
「使う場面があるかどうかは分かんねぇけどな…」
「そうだ…ミロク」
マルメードは俺を呼び寄せる。
なんだろうか…
「明日の首脳会議だが、妾の付き人役をお主に任せていいか?」
「えっ…」
あれ…これって俺は白マントを潰すために外に居たほうがいいやつなんじゃ…?
「マル…お前の付き人は居ないのか…!?」
「居るにはいるが、あいつらはそれこそ外の警備員として回してあるからのぉ…だからこそお主に任せたい。お主のマルスとしての強さはエクスの話とエイメノカサスの件で色々と広まっておるから妾の隣に居ようともおかしくはない」
「いや、おかしいだろ。一応課外授業中の生徒だぞ」
「勇者推薦候補者が何を言っておる!!別にいいだろ〜?」
マルメードは自身の豊満な胸に俺の顔面を埋める。苦しくて死ぬわ。
というかまぁ…どうせ外にはクフゾも居るしな…そこまで気にするものでもない…か
「って死ぬわ!?くそ苦しいぞ…お前…お前の付き人になるからやめてくれ…」
「あぉう…すまん…」
「マルメード。それは僕に対する侮辱かい」
クフゾはギラリと目を光らせて言う。
まぁ、言いたいことは分かるがな。お前はちょっと育ってなかったな。
「何を言っておる…?」
コイツはド天然すぎる。
「よし、じゃあ明日に備えて早寝だ早寝ー!」
「「はーい」」
電気を消し、眠りにつく。
◇
「おぉ…こ…ここが会議場…」
早朝、俺とマルメードはデカい城の扉の前に居る。
思わず見上げてしまうくらい高い建物だ…構造はカメアノサスの学園城に少し似てる。
「エルフの国代表、マルメード・エルフ・マナノリスカ様とその付き人、マルス・アンドラウド様ですね」
扉前の鎧を纏った門番が本人確認をしてから城の中へと通す。
重い扉を開けると――、
「な、中も広い…」
明かりが反射して中が眩しいくらいに金色に輝いている。既に色んな人がこの会議場に集まっている。
てかうわっ…壁の隅っことか柱の溝にすら埃がない…流石だなぁ。
「――やぁやぁマルスさん」
調子に乗ってるような、軽い雰囲気の声が聞こえる。
「か、カミス…」
「お久しぶりでございます。そちらがマルメード様ですね。俺はネオミシスカ代表のカミス・ネオンと申します」
「マルメード・エルフ・マナノリスカだ。よろしく頼むぞ」
そしてふとカミスの隣を見ると、どこか見覚えのある小柄な少女がカミスの隣に立っていた。
その少女は青空のような澄んだ髪で瞳はピンクと黄色のオッドアイだ。
「おまっ!?まさか…「エリカノス・アンメノリア」って名前…だったりするよな?」
俺がその小柄な少女に問うと少女は少し驚いた表情を浮かべる。
「あれ…?あなたと私ってどこかで会ってましたっけ…?見覚えがないのですが…」
前、ミリアが化けていた少女そのものだ。まさかオリジナルが居たとは…
「一応聞くけど君は本人…だよね?」
「え?そうですが…?」
エリカノスは怪訝な表情を浮かべて俺を見る。
「旧交を深めるのもいいが、ひとまずは上に上がるぞ」
そう言いマルメードは俺の襟を引っ張って階段を上っていく。その後ろからカミスとエリカノスは着いてくる。
「おぉ…」
上にに上がると国の首脳が一部を除いて殆ど集まっていた。
「やぁ、マルス。マルメードから聞いてはいたが、本当に来るとはね」
エクスだ。この前いきなり消えたくせに今は目の前に居る。
「えぇ…今回のアマテラスの血の件については俺個人としても思うことがあったので――」
「わぁ!マルスくん久しぶりー!!」
元気で明るい声…学園でほぼ最初に聞いた女の声…
「メノン…!!」
紺色の髪を揺らしながらこっちに歩いてくる。
星のような目がキラキラと輝く。
「なぜメノンがこんなところに居るのだ」
俺は問う。メノンは腕を組んで答える。
「私はエクス様の付き添い!ホントはレオル先生とかでも良かったらしいんだけど、私に頼みたいって!」
エクスが…?なにを考えているのか…あっまさかロリコンなのか?
「――それでは、皆さん席へ着いてください」
優しく胡散臭い声…俺は一瞬でその声の持ち主の顔が浮かぶ…
「まさか…」
「王都カメアノサス代表兼、十七代目勇者――。エクス・カメアノサスです。今回の会議の司会担当です。よろしくお願いします」
その言葉にその場に居た全員の視線がエクスへと向かう。
「それでは、今回の会議の出席確認をしていきます」
学園みたいなことするんだな…
「まず、先ほどもお伝えしましたが、カメアノサス代表は私、「エクス・カメアノサス」が務めさせていただいております」
「そして、私はエクス様の付添い人…「メノン・フライメド」と申します」
やっぱりこういう場ではしっかりしてるんだなメノン…
「エイメノカサスは、以前国王がお亡くなりになられた影響と、突如として現れた世界の支配者を名乗る者、ミロク・プリンスの影響によって出席者はゼロ…次はネオミシスカ国代表お願いします」
「はい、俺はネオミシスカ代表…「カミス・ネオン」。そして、隣にいるのが付添い人の「エリカノス・アンメノリア」…可愛いでしょ?」
その言葉に恐らくこの場に居た人全員が…引き笑いをする。いや、もはや笑ってるよりも引いてるがメインというか…
「ちょ、カミス様ぁ〜!?」
「あはは…それじゃあ次は魔王帝国からお願いします」
「私は魔王帝国代表…「レヴィア・デイビル・デスドラ」だ」
魔王の威厳が会場全体に広がる。魔族は最近悪さをしてないと言うのに、やはり魔族の偏見は多いものなのか…その場に居た人の大半は恐怖を覚えただろう。
「えー、俺はレヴィア様の付添い人、「ロッド・ブランデッド」の代役…「サラム・メズン」だ。よろしく頼む」
サラムも予告通り来てくれていたようだ…ここ最近のこともあってか、少し久しぶりに感じるような気もする。
「次はコクレクト共和国からお願いします」
コクレクト共和国…まだ行ったことない国だが、かなり賑わっている国だと聞いている。
そして、コクレクト共和国の席を見るも、誰一人として居ない。
「エクス様。誰も居ないようですが…」
俺は問う。それにエクスは苦笑して扉を見る。
「ん〜…もう少しで来ると思うよ…ほら」
耳を澄ますとなにか声が聞こえてくる。
「――あぁー!早くお家に返してくれよー!アタシは姫だぞ!?絶世の美女なんだぞ!?おおおおお!」
………え?
「いつにも増してわがままな姫だな…」
マルメードがため息をつく。
というか、ほぼ全員が「またか…」的な顔をしている。
「あぁ!?」
警備員に無理やり詰め込まれてギャン泣きしている赤髪の幼女っぽい女が一人と…タキシードを着こなしてレモン色の髪を後ろで束ねている女性がその光景を冷静に見ている。
「すみません。お待たせ致しました…彼女はコクレクト共和国代表王女「メグメルス・A・レイズス」。そして私はその付添い人、「アサトラム・エンヴィーナム」でございます。よろしくお願いします」
あ、あれが…王女なのか…厳格など全くない。
フリフリのドレスを付けていて王女という感じはするが…魔力も殆ど無いようだし、なんなんだコイツは。
「そして最後にエルフの国からお願いします」
そう言われ、俺とマルメードは席を立つ。
「妾はエルフの国王女、「マルメード・エルフ・マナノリスカ」と申す」
「俺はマルメードの付添い人、「マルス・アンドラウド」です。よろしくお願いします」
「ひとまず、これで招集した国はお揃いですね、あとは…アマテラスの血の現物をここに持ってきます…」
「ん…?マルメードがエルフの国で管理してるのではないのか…?クフゾの昔の話を聞く限りではエルフの国にまだ残ってるのかと思ってたのだが」
「いや、"とある男"に託したのだ…管理はの者に任せたほうがよいと思ってな…」
その時――、再び会場の扉が開く。
「皆様…お待たせ致しました」
「…!お前は…!」
最強という言葉が最も似合うであろう男…
「お久しぶりでございます。「カーンズ・シャ・エレクエス」。今ここに…!」




