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本質

 「――お前…が…全知全能…?」


衝撃で正直言葉が出ない。この目の前に居る少女が全知全能だなんてことは今の俺には理解出来ない。


「信じられないと言った顔だね、まぁ無理もないか…じゃあさ――」


クフゾは口角を上げ、俺の胸に指を押し当てる。


「君の中に居る人と話させてよ」


「俺の…中に…ハッ…!」


俺の意識は徐々に失われていき、やかで何も見えなくなる。


***


暗い闇だけの空間、そこにクフゾは突っ立っている。


「ここが…ミロクの…予想通り未知そのもののような…」


「――人の心の中に勝手に入るだなんて教育がなってないわね…」


クフゾが後ろを振り向くと橙色の髪をした女性。女神が豪華な椅子に座ってクフゾを睨む。


「あぁ…なるほど君がミロクの中に居る異物か…君を除けば彼も変われるかい?」


女神はキッとクフゾを睨み、圧を叩きかける。


「変わらない…彼の意志は私が守るもの…それに全知全能の紛い物如きが粋がって私に話しかけないでくれる?」


「全知全能の紛い物だなんて失礼な…まぁ確かに、正解でもあるし、そうじゃないかもしれないけどね」


クフゾは毅然とした態度で女神に反論する。


「そうだ、君の名前を教えてほしい…僕の知らないことを、君が教えてほ――」


クフゾが両手を広げたその瞬間に、


――ゴトッ。


クフゾの両手、両足が切断される。

クフゾの胴体だけがその場にゴトッと落ちる。


「精神世界だから痛みは無いとはいえ、少し残酷すぎないかな?」


クフゾは「ふふっ」と体が切られたとはおおよそ思えない反応をする。


「さ、君の名前を教えてほしい。わざわざ精神世界から出さないってことは、君も少なからず僕に興味があるということなんだろう?」


クフゾは期待の宿った目で女神の神威に屈することなく質問し続ける。


「私には名前が無い。特に決められた呼び名なんて無いの…でも、一つだけ呼び名があるわ」


女神は諦めたように淡々と語る。


「"世界権能の本質"――」


その言葉にクフゾは初めて、恐怖をする。

口角も段々と下り、やがて睨むような表情になる。


「ねぇ、君…ちょっと嘘付くにしては下手すぎるよ。本質持ちは神なら分かるけど…世界権能の力だって?そんな冗談みたいな話…!」


「それが、あるのよ。全知全能の本質を持つあなたニなら分かるでしょ」


「全知全能の本質とは言ってもその一部だけどね…そして、君がなんでミロクに着いてるのか…教えてほしいね」


女神はやれやれと言った顔で話す。


「そんなの私にも分からないわ…ただ、この子の意志の力が強すぎたのよ。そうとしか言いようがない…それ以外の理由が思いつかないもの」


「そうかい…こんな所に居たら逆に僕が君に吸われてしまうな…全く作戦失敗だよ…」


「あなたの負けよ。全知全能…せいぜい私の存在の下で世界の更新を進めるといいわ――」


***


「うぐっ!?」


俺は目が覚める。目の前にはなぜか汗をかいているクフゾが居る。


「なんだ…?冷や汗…?」


「なんでもないよ…調べれることは全部調べた…いいよ。君の手下になってあげるさ…しかし、僕が楽しくないと判断すれば即座にここを抜けさせてもらうさ」


なにを言っているのか俺にはよく分からないが、それだけは避けなければならない。


「馬鹿だな…そんなこと出来ないし、させない…それはそうとまだ聞きたいことがある…色々と聞かせてもらうぞ、クフゾ」


「あぁ、構わないさ…好きにしたまえ…性奴隷とかでもいいよ?」


「馬鹿なことを言うんじゃない!!」


俺は軽くクフゾの頭を叩く。


「酷いな…女性を叩くだなんてさ」


「黙れ…」


クフゾは「ふふっ」と笑って牢獄の扉の鍵を簡単に開ける。


「さ、出よう…外で誰か待ってるだろう?」


「あぁ…」


外に出ると太陽の光が眩しく俺の目に突き刺す。

前にはマルメードがそわそわした様子で立っていたが、俺を見た瞬間に安心したように俺に飛び付いてきた。


「おお!無事に帰ってきたか!よかったよかった…」


「一体全体なんなんだ…いきなり全知全能名乗る奴に会うし…わけの分からないことをされた…」


「あぁ、彼女…クフゾは確かに全知全能…だけど、その力の一部しか彼女は持たないんだ」


「その力の…一部…?」


「"本質"と言えば分かるだろう?」


「本質…!」


――本質はその人とその持つ力が一体化したいわゆる概念とか存在そのもの自体なものだ。例えば、クフゾが全知全能の本質を持つなら、彼女自身が全知全能そのものであり、全知全能という概念がクフゾなのである。一見当たり前のように聞こえるが、クフゾを殺したとしてもそれがクフゾ本人の本質ではないため、全知全能という概念が残っている限り真の本質としてクフゾを殺すことは不可能なのである。


「正直俺も曖昧なことだらけでよく分からんやつだな…というかまぁ俺が本質持ってない…と言うより、俺は俺自体が本質だからどのみち本質の力使えないし…」


「いや?そうとも限らない…本質は生まれつきで与えられる宿命では無いんだ…お前にはまだ本質扱えるチャンスが来るさ」


「――いや、もう彼は既に本質を持っているよ…」


俺の後ろから声が聞こえた。

その声だけでマルメードは顔を青ざめる。


「きっ…貴様…いつから…」


「いつからって…さっきから…」


俺の後ろから金髪の髪を揺らしてクフゾが笑顔で出てくる。

マルメードは怯えたように後ろに後退する。


「み、ミロク!なぜこやつを連れ出した!」


マルメードは攻撃魔法の魔法陣を展開し、それを俺とクフゾに向ける。


「ど…どういうことなんだ…」


「なるほど…彼女はどうにも勘違いをしてるようだ」


マルメードの放った魔力弾幕はクフゾが手を横に振るだけで簡単に弾き返される。


「ちょっと待ちたまえよ、マルメード。僕は彼を飲み込んじゃいない。むしろ彼の本質に僕が飲み込まれそうになったくらいなんだけど?」


「なっ…俺に本質があるだと…?」


「なっ…本当なのか…!?」


マルメードは手を下げ、クフゾに向けた魔法陣を消す。


「僕もとてもじゃないけど信じ難い結果だったさ…とはいえ今言えば怒られそうだからあまり言いたくはないんだけどね〜」


「誰に怒られると言うんだ?」


「それは君の中に眠る彼女に聞いてくれよ」


女神…あいつがなにを握っているのかは知らないが、俺の中でアイツはなにを企んでいるんだ?


「と…というかあまりにも情報量が多すぎてよく分からないんだが…?」


いきなり本質がどうのこうの言われ、クフゾの正体も、マルメードとの繋がりも全くもって意味不明だ。


「それもそうだな…クフゾ。お前のことをコイツに話すが、良いな?」


マルメードはクフゾの目を見て確認する。

それをクフゾは二つ返事でいいよと返す。


「別にやましいことがあるわけじゃないしねぇ」


「というわけで話そうか…クフゾ・アルカミットについての話を…!」

クフゾの設定について少し話します。

クフゾってキャラは結構前から出そうと決めていて、全知全能の力を使うってのは結構前から決めてたんですよね。でも、どんな性格のキャラにしようかな?と思った時少し迷いまして…全知全能だけどおっちょこちょい系のキャラにしようか、真面目系のキャラにしようかとか色々考えたんですけど、自分的に全知全能ってのは未知だとか、凄いみたいなイメージがあるんでクフゾは何を考えてるのかよく分からない不思議ちゃん系のキャラにしました。不思議ちゃん系はまだこの作品には居なかったし、不思議ちゃん系キャラは好きなので結構お気に入りです。

ちなみにクフゾの好きな食べ物は辛いものです。本人は辛いものを食べると辛いことに満足感を得られるからという理由で食べているそうです。

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