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命の投げ合い

 ――ネオンの光が交差する街の中心。

ミロク、ミナノ、サラム、そして男達を囲むように

ネオン色のレーザーが地面に走っていた。

観客のざわめきが広がる。


「――やっちまえ!」


「――罪人は裁かれるべきだな!」


「――命張れよ!」


俺は眉をひそめる。


「……なんだこれは」


ミナノが小さく息を吸った。


「ミロク様……これはネオミシスカの遊戯です」


「遊戯だと?これがか?随分と物騒な感じがするが…」


「はい」


ミナノはレーザーの壁を見ながら説明する。


「この街には、ギルティ・ジャッジという決闘制度があります」


「決闘?」


「簡単に言うと――」


ミナノは男の持つ銀カードを指差す。


「あの銀のカードを掲げた側が『罪人を裁く側』になります」


「それが『ギルティ・ジャッジ』」


「そして挑まれた側は」


ミナノは自分達を指す。


「『クライム・チェイス』」


「つまり罪人として追われる側です」


サラムが首を傾げる。


「なんか嫌な名前だなそれ」


ミナノは続ける。


「このゲームは最大で三対三」


「両チーム合わせて最大六人まで参加できます」


「そしてゲームが始まると――」


ミナノは周囲のレーザーを見上げる。


「どちらかが勝つまで終わりません」


俺は小さく笑う。


「ほう…」


「勝ち負けはどう決まる?」


ミナノは少し間を置いた。


「……基本は戦闘です」


「お互いが勝負方法を決めて戦います…」


男達の一人が笑う。


「そうだ」


「ルールは自由!」


ナイフをくるくる回す。


「魔法も武器も魔法具も全部ありだ。決めたきゃ決めていいが…基本の選択権はギルティ・ジャッジ側にある」


「なるほど、単純だな」


「好きなだけ殺し合うぞ」


「ん?殺し合い?」


ミナノは静かに頷いた。


「……はい」


「このゲームの勝敗条件は…」


「どちらかが死ぬまでです…」


「え、まじか」


サラムが一瞬黙る。

観客達は楽しそうに笑っていた。


「そして勝者には報酬があります」


「ギルティ・ジャッジ側が勝った場合…クライム・チェイス側に設定されているポイントを手に入れます」


「そのポイントはこの街の換金所で現金に交換することができます」


男が笑う。


「つまり賞金首ってわけだ」


「じゃあクライム・チェイス側が勝ったらどーなんだ?」


サラムが聞く。


「逆にクライム・チェイス側が勝った場合、ギルティ・ジャッジ側に設定されている懸賞金を手に入れることができます」


サラムが目を丸くする。


「つまり……」


「お互い命を賭けて…金を奪い合うってことなのか…」


ミナノは頷く。


「そうです」


「さらに――」


「ギルティ・ジャッジは勝てば勝つほど懸賞金が三千円ずつ増えていきます」


「そしてクライム・チェイスは勝てば勝つほど二千ポイントが譲渡されていきます」


俺はネオンに照らされた街を見る。


「なるほど」


「この街は――」


「命まで娯楽にするわけか……」


男達がニヤニヤ笑う。


「理解が早ぇな」


男が指を鳴らす。


「で?」


「どうする」


「逃げるか?」


「それとも死ぬか?」


観客達は盛り上がる。


「――やれ!」


「――早く始めろ!」


俺は首を少し傾ける。


「…一つ聞く」


俺は男を見つめる。


「勝負方法は?」


男は肩をすくめた。


「自由にしてやるよ」


「魔法具も使い放題!上級魔法も好きに使え、好きな方法で殺し合うぞ」


俺は小さく頷く。


「そうか」


拳を強く握る。


「じゃあ、俺達の勝ちだ」


――ドンッ!!


突風が吹き荒れた。

男達の体が一斉に吹き飛ぶ。


「なっ!?」


「ぐあっ!?」


男達は地面を転がる。

そして――。

ネオンのレーザーが弾けた。


――バチンッ!!


戦闘エリアが崩れる。

観客がざわめいた。


「――おい!」


「――エリアが壊れたぞ!?」


男の一人が叫ぶ。


「なんで壊れる!?」


俺は静かに言う。


「はぁ…当然だろう」


男達が顔を上げる。


「まだ俺達はクライム・チェイスの申請を受けてないんだからな」


観客がざわめく。


「つまり…ゲームは成立していない」


「始まってすらいないんだよ。俺達はただの旅人だ」


しばらく沈黙が続く。

そして――。

男達が吹き出した。


「ははははは!」


「なるほどな…」


男が立ち上がる。


「命拾いしたな…俺が手加減をしていなかったらどうかってたか…」


ミナノとサラムは驚いていた。


「ゲームを成立させる前に」


サラムが呟く。


「エリア壊したのか……」


男は服の埃を払う。


「安心しろ」


「俺達は別に喧嘩屋じゃねぇ。ゲームに参加してねぇなら特になんもしねぇよ」


男はポケットから名刺を出した。


「俺達はカジノ経営の営業だ」


ミロクに差し出す。


「興味あるなら来てみろ」


名刺には店の名前が書かれていた。

男は笑う。


「お前らみたいな奴は歓迎だ!面白いからな…」


そう言うと男達は去っていく。

レーザーが完全に消え、観客達もつまらなさそうに散っていった。


「――なんだよ…」


「――もう終わりかぁ」


「――つまんねぇ」


ネオンの街に再び騒音が戻る。

俺は名刺を見る。

そして――

ミナノとサラムと目を合わせた。

俺達三人の考えは同じだった。

サラムが言う。


「……カジノですか…」


ミナノが頷く。


「賭けのために宝石も多く集まる場所です」


「なるほど…じゃあ」


俺は名刺をポケットに入れる。


「行くぞ」


ネオンの街の奥。


「ミリア・カーシャが居るかもしれん」


俺達は同時に歩き出す。

目的地は――。

ネオミシスカ最大のカジノ。

メステイスマリア――。

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