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第九話

またまた遅くなりました。

雪山に入り、これからいよいよクッマーン討伐。本当にユージン一人で大丈夫なんだろうか。未だに心配ではあるのだけれど、ユージンが大丈夫だというので見守ることにする。


ユージンはいつものように私の周りに結界を張り、この中から出ないようにと言った。それからいつも持っている剣を抜き、呪文を唱えると、剣が槍に変わった。おお、形状を変えられるんだ。


特に辺りを見回したりすることもなく、槍を雪の中に刺しては引き抜く。右手に持ったり左手に持ったりしながら槍を雪に沈めて歩いている。雪の深さでも調べているんだろうか。


しばらくすると、ユージンが槍を刺したあたりの雪が盛り上がってきた。何が起きたのかと思ったが、よく見てみると雪の白さとは少し色が違う。段々と全体が見えてきて驚いた。クッマーンのお腹だったのだ。動かない。死んでいるみたい。え?もしかして、ユージン、クッマーン倒しちゃったの?


次々とクッマーンが雪の上に上がってくる。この雪が水なら死んだ魚がお腹を上に向けてぷかぷか浮いている感じなんだろう。っていうか、普通は最低でも4人で倒すんだよね?ユージン軽々と一撃で倒してるんだけど。ああ、そう言えばユージンにクッマーンの倒し方を聞いたとき『雪に剣を刺す』とか言ってたよね、槍に形状は変化してるけど、その言葉通りだ。


ユージンがいきなり突き刺した槍を軸にジャンプした。するとすぐにさっきまでユージンがいた位置に下から大きな口ががばっと出てきた。うわー。サメの映画思いだすよ、怖っ!


でもユージンは慌てることなく別の位置に着地して槍を引き抜き、クッマーンの急所に槍を突き立てまたすぐにジャンプする。また別のクッマーンが現れたのだ。ユージンの着地地点にも別のクッマーンの口が開いてる!


「危ない!!」


ユージンは空中で少し軌道をずらしたらしく、足元に現れたクッマーンを蹴ってまた別の場所に着地。クッマーンが雪の中に戻らないうちに急所に一撃・・・なんか余裕っぽい。ユージンの全然慌ててない感じにこちらの緊張感も少し薄れてきてしまったみたい。しばらくすると、クッマーンも雪の中から出てこなくなって、ユージンも槍をまたいつもの剣に戻した。


「ここら辺は片づけた。」

「ここら辺ってことは、この山にクッマーンはまだいるの?」

「うん。もう少し上の方ともっと上の方。」

「こっちには来ない?」

「縄張りが違うみたいだから平気。」


なるほど、じゃあ、次は私の番だ。その前に、このでかいクッマーンが邪魔なので、さっさとギルドに転送してもらおう。ユージンはロープを取り出して、クッマーンを囲んでいく。今まで私たちはこんな大きなモンスターを倒したことはなかったし、討伐依頼を受けたことがなかったから、これを見るのは初めてだ。


「ユージン、クッマーン、転送。」


囲み終わってユージンがそう言うと、10体以上いたクッマーンが全部消えた。冒険者の名前、討伐したモンスターの名前を冒険者本人が言葉にすることによってギルドにある冒険者個人個人のボックス(倉庫みたいなものかな?)に送られるらしい。便利だよね。このシステムがなくちゃ自分でギルドまで担いでいかなきゃいけないし、これだけ数があると一回で運びきらないだろうし。


「神奈、もうちょっとそこにいて。雪をどかす。」

「う、うん。わかった。」


どかす?解かすじゃなく?ユージンは範囲を指定してその部分の雪を上に持ち上げて固定した。薬草の採取が終わったらまた元に戻すらしい。急に部分的に雪を解かしたら雪崩が起きる可能性があるから、また元の位置に雪を置くという理屈はわかったけど、落ちてこないかドキドキする(汗)


やっぱり雪はかなり積もっていて、私がいる場所から結構な段差がある。ユージンが近くに来て私の周りの結界を解いて下ろしてくれた。


私は鞄の中から貼って剥がせる付箋を取り出す。これはもちろん、就職活動で使っていた道具です。しかし、これもきっと太郎さんが改造してくれたのだろう。魔法道具になってました。この機能に気付いたのは偶然だった。レンダやそのほかの薬草を買ってきたのはいいが、瓶に詰める際、何がどれだかわからなくなってしまったため、付箋をつけて貼ってみた。すると、貼った付箋に〇や✕が書かれたのだ。✕がついたのを正しい瓶に張り替えると全部が〇になった。


つまり、この付箋を貼ればタツカイヨオとヤツスイノオが見分けられるのだ。私は紙に『タツカイヨオ』と書いてユージンに渡した。


「複製、散。」


ユージンは付箋をコピーしてそのまま一気に生えている草に飛ばした。


「うわー。ものの見事に✕ばっかりだ。〇ってあるの?」


思った以上にタツカイヨオがない。しかも、付箋が〇なのか✕なのか近くまで行かないと分からないし、見づらい。これは時間がかかるなと気落ちしていると、ユージンが〇を見つけてくれた。


「神奈、一つだけあった。」

「え?一つだけってあとは全部✕ってこと?」

「うん。」

「え?もう全部見たの?」

「うん。」


どうやらユージンはものすごく視力もいいようだ。必要なのはタツカイヨオの葉と花だけなので根っこは残しておく。そうするとまた、そのあたりにタツカイヨオが生えるらしい。、しかし、こんなにいっぱい生えている中でタツカイヨオの確率が低すぎる。しかも今回付箋という道具を使って、尚且つユージンに色々と手伝ってもらって見つかったけど、普通だったら見つけるのにどれだけ日数がかかるんだろうか。雪を何とかするところからだもんね。こりゃ高級薬草になるわけだよ。


一応、ギルドの依頼でヤツスイノオの採取依頼も見たことがあったのでヤツスイノオも少しだけ摘んでいく。毒草もモンスターを倒すための毒薬を作るために必要なので、需要はあるのだそうだ。タツカイヨオほど高額なわけではないけれど、やっぱり、ヤツスイノオも雪の下に生息するものだから、そこらで取れるものじゃないので、採取依頼が出るみたい。



そこでの採取が終わると、空中にあげてあった雪を元に戻して、また雪山を上の方へ登っていく。クッマーンを退治して、雪をどかして、採取して、それを3回繰り返したらお昼になった。お昼ご飯は宿を提供してくれたうちの人が作ってくれていたので、有難くそれをいただく。


「神奈、あと少し登ってクッマーンを倒せば終わる。」

「え?そうなの!?もう終わるの?」

「うん。一番上のは元々いた奴らだからそのままでいい。」

「じゃあ、夕方にならないうちに終わるわね。」

「うん。今日帰ろう。」

「ああ、泊まらずにってこと?そうね。あの『ご領主様』がいるんじゃ、もう一泊する気にはなれないわよね。」


あれ?今の私の発言だとユージンと同じ一室なのは構わないって意味に取られちゃわない?慌てて言い直そうとしたのだけれど、もうユージンは立ち上がって次に行く場所を見定めていたので声をかけなかった。私が安全に見ていられる場所を探してくれてるみたいだし、邪魔しちゃ悪いなと思ったのだ。決してそういう意味に取られてもいいと思った訳じゃない。


「神奈、動くよ。」

「はーい。」


ユージンに向かって両手を差し出す。恥ずかしけど抱き上げてもらわないと、雪の上を自力では進めそうにないし。それに、もう、これ、条件反射になっちゃってるな。私はユージンに秘書としての距離をきちんと取らないといけないのに。

ユージンのカッコイイ話だったんですが、戦闘シーンって書くのが難しいですね。まあ、ユージンは強いんだよということで。

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